「人間が想像できることはすべて実現可能」とジュール・ヴェルヌは喝破しましたが、その逆もしかり、想像できないことは十中八九失敗します。
成功の道筋が見えていなければ、効果的な打ち手が思いつくはずも、肚を決めて実行に移れるはずもありません。では目的を設定するにあたり大切なことは何か。本稿ではこれについて書いていきますので、参考になると嬉しいです。
目的は絶対に必要
目的を決めずに始めたことはほぼ確実に失敗します。勝利条件がないからです。負けなければおのずと勝ちとなる……と説いたのは個人投資家で著名なテスタ氏ですが、「勝たなければおのずと負けとなる」のもまた然りです。
特に、目的を経済効果に紐づけると、打ち手が明確になります。経済効果に紐づいていない目的の設定は、無限に赤字を垂れ流す羽目になり、持続可能性に乏しくなります。続けていくためにも、目的は絶対に必要です。

目的の立て方
さて、目的の必要性はわかっていただけたと思います。では目的を設定するとして、どう設定するか。
目的とは理想の具体化である
自分がどうなりたいか。あるいは周りをどうしたいか──ここが最初の出発点です。
人の欲は際限がないので、どうなれば自分は満足するのか考えなければ、欲に身を滅ぼされることになるし、自分の幸福追求から遠回りすることになります。
「自分が幸せでないのは、家庭環境が悪かったからだ」と言う人がいたとします。事実だったとしても、今更変えようがない以上、縁を切るくらいしか打ち手がありません。しかし、縁を切ったら自分は満足なのか?その先に本当に未来が待っていて、自分の幸福追求に寄与するのか?
この部分を考えなければ、後で後悔することになるかもしれません。今回は家庭環境の話ですが、選択には可逆なものと不可逆なものがあります。不可逆な選択については、あくまで自分の理想の実現を目的に置いて、慎重に判断すべきです。

SMARTな問題設定
問題設定の枠組みで有名な略語があります。具体的で(Specific)、測定可能で(Measurable)、実行可能で(Actionable)、関連性があり(Relevant)、時間枠が設定されている(Time frame)──の頭文字をとって、「SMART」ですが、問題設定と目的の設定はほとんど同じです。(問題を定義した時点で解決が目的になるのですから、当たり前です)
このSMARTに反している場合がしばしば見受けられます。会議で議論が発散する場合、基本的にこれらのどれか、しばしばすべてが欠けています。
なお、関連性がある(Relevant)とは、個別最適化的な課題解決でなく、組織全体として課題解決の好影響が出るように設計することを指します。この文言によって、Specificを意識するあまり視野が狭くなるケースを防止しています。

比較の問題
事を進めていくと、必ずどこかで選択を迫られる場合があります。Aを取ればBが取れない、両取りが理想なのはもちろんですが、理論上不可能な場合もあります。(その問題はしばしば、体が一つしかないことに起因します)
比較で最も大切なのは、属性で分割することです。計算機科学の分野には「オブジェクト」なる概念がありますが、これはあるものの持つ特性をすべて抽象化して、抽象化した結果、残ったものをそのものと定義する試みです。この考え方は実生活でも大いに活用できます。
たとえば商品Aを買うか、商品Bを買うかで迷っているとします。商品Aは10,000円で、見た目がよく、ブランド価値があり、再販してもそこそこの値段で売れるが、実用性がない。商品Bは8,000円で、見た目は商品Aにやや劣り、ブランド価値もあまりないが、口コミで実用性が十分と聞いています。
この場合、見た目やブランド価値を重視するなら商品A、実用性を重視するなら商品Bでしょう。使う年数や値段、それぞれの再販価値を踏まえてそろばんを弾き、より出費が少なく済む方を選ぶ人もいるかもしれません。
目的に即して、さらに先ほど設定したSMARTも踏まえつつ、最善のものを選択するのが大切です。(不確定要素も多いから、結局それが難しいのだが)

なんとなく不満な時
さて、成果物を見て、なんとなくしっくりこない場合もあります。
この場合、やることは二つです。まず、何が自分の気に入らないのかを考える。
商品を買う場合を想像してみましょう。色が気に入らないのか、形が気に入らないのか、値段が気に入らないのか、接客が気に入らないのか……。この辺りを勘案したうえで、買うべきと思うなら買うべきだし、そうでないなら買わなければいいのです。
議論でもそうで、具体性に欠けるのが気に入らないのか、儲からなさそうなのが気に入らないのか、そもそも商売のやり方が気に入らないのか。賛成できないなら反対すればよいです。反対意見の人が多ければ通らないのが、民主主義ですから。
もう一つは、今のものが条件として最高か、一度考えてみることです。最高の条件──妥協できるポイントは最大限妥協しており、必要なポイントは完全に満たされている条件──が今の条件だと考えられるのであれば、自分のしっくり来ていない感覚は、気のせいです。肚を決めて決断すべきです。

合意形成
過去に合意形成について持論を述べましたが、目的の設定こそ、合意形成が最も大切なフェーズです。人が多くなればなるほど合意形成が難しくなりますから、多くの民主的組織は、しばしば当たり障りのない計画を立て、漫然と進め、何とも言えない成果物を生成して、なんとなく終わります。
合意形成のコストや、ステークホルダーに腰を据えさせて物事を進めるコストを考えると、こうなるのはある意味自然の摂理です。少人数の中小企業やトップダウン型組織が強いのはここで、合意形成のコストがかからない分、機動的に決断できます。
ある人は言います。「明確に定義された問題は、すでに半分解決している(A problem well stated is a problem half solved)」。そして明確に問題を定義するにあたり、合意形成はアルファでありオメガです。
合意形成のためにも、普段からいろんな人とコミュニケーションを取って、個々人の意見と目指すところを把握しつつ、全体の最善を追求する。これが優れた問題解決者の条件です。












































