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投稿者: 田中一郎

  • 西陣織物館記(~明治18年、西陣織物業組合設立)

    西陣織物館記(~明治18年、西陣織物業組合設立)

    同組合設立同意書の調印 

    イ、西陣地域内織物業者数及同組合設立同意者数 同業組合準則第一条は、地区内同業者の四分の三の、同意を以て設立すると定めている。 西陣織物業組合でも地区は京都市全域とすべきは当然であった。当時京都市は上下二行政区になって居た。其内上京は四十一地区に分割せられ、之れを組と称した。

    織物業者は、一組乃至九組、十五、十六、十八、十九組内に密集し、十三、十四、十七、組内にも若干存在した。道路筋を以て見れば、大略、南は出水通、東は室町通、西は御前通り、北は蘆山寺通が此年代の織屋部落であった。 明治十七年七月から、同十八年一月迄の右地域内織物業者数は、一、五九二戸が平均数であることは第一節第一項表の通りである。

    右織物業者を社別にすると、紋織社、三二二戸。生紋社、一三八戸。博多社、一八六戸。羽二重社、一一〇戸。繻子社、二四九戸。縮緬社、一九三戸。天鵞絨社、七九戸。木綿社、三一七戸。となって居る。

    右数は何れも賃業者を含んでいない、所謂、自前業者のみである。

    準則組合設立には、右数の四分の三の同意を求めればよいのであるから、各社毎に肝煎が手分けして、同意調印を求めたとしても、其負担は極めて少数である。勿論各社所属織物業者が密集して居る場所もあるが、多くは西陣地域各組各町に撒在して居るのであるから、道のりはあっても、四分の三はおろか、全員数の同意調印を求める事も、さ程困難でなかったと思われる。

    ロ、西陣織物同業組合から西陣織物業組合へ変転 本章第一節第四で、京都府布達甲第十九号により組合設立の為山田泰蔵外四名が、京都府に出頭し、西陣織物同業組合を設立した旨を述べた。 所が農商務省令準則組合は、京都府布達甲第十九号組合とは根本的に設立精神が異るのであるから、右布達組合を解消して、新たに準則組合を設立すべきであるが、京都府は、右甲第十九号布達の面子を固守して、「此準則に抵触スルモノハ来ル六月三十日限更正又ハ追加規約ヲ作り更ニ開申認可ヲ請フベシ」、と云うたので、実は新組合設立と同様の手続を要しても、認可申請は規則改正開申とせねばならなかった。

    西陣織物業組合規約制定及認可 京都西陣織物業組合、規約御認可書之写、と題し一般組合員に配布した。

    送  達

    本年四月本部甲第五十号ヲ以テ同業組合準則御布達ノ旨趣ヲ遵守シ組合会議ノ決議ヲ以テ別冊ノ通規約改正開申候処御認可相成候条此段送達候也   明治十八年十月
    西陣織物業組合
    組 長  大 木 長 七 郎  
    議 長  植 田 利 七

    勧第四〇九号

    書面之趣認可候事

    明治十八年十月七日
    京都府知事 北垣国道代理
    京都府大書記官 尾越蕃輔

    右送達書には組合会議の決議を以て、規約を改正して開申したとあるから、其会議は西陣織物同業組合の会議であらねばならない。其決議記録が保存せられて無いから判らぬが、明治十八年四月には西陣織物業組合役員が決定して居るので、右開申認可申請は同年四月中に京都府へ提出したものと思われる。さすれば京都府の右認可迄には六カ月を要して居る。之れは京都府と農商務省との間に於ける、法令上の指導打合せに要したものと想像して間違いない。其理由は、右四月決定の役員職名及其員数が変更せられ、旧各社を組としたものが改名して部と称し、其他にも変更せられた箇所が数々ある事から見て、主務官省の指示を待った為認可が遅延したものであろう。

    西陣織物業組合規約 西陣織物同業組合規約を発見せないので、此組合規約が如何に改正したのか不明であるが、同業組合の「同」の字を削除したのは明白である。全文は六十五カ条と附則であって、之れを九章に分類し、一章毎に第一条から始まる珍らしい形式のものである。又各法文には漢字に意訳振仮名を付け、部所属織物品種を決定してある。次に規約全文を掲げ、初めの条文のみ右振仮名を付して参考に供する。体裁上認可書も再記する。

    規約御認可書之写   

    送  達

    本年四月本部甲第五十号ヲ以テ同業組合準則御布達ノ旨趣ヲ遵守シ組合会議ノ決議ヲ以テ別冊ノ通規約改正開申候処御認可相成候条此段送達候也   

    明治十八年十月
    西陣織物業組合
    組 長  大 木 長 七 郎
    議 長  植 田 利 七 印

    勧第四〇九号

    書面之趣認可候也   印割   

    明治十八年十月七日
    京都府知事 北垣国道代理
    京都府大書記官 尾越蕃輔 印

    第一章 組織名称

    第一条 当組合(このくみあい)ハ、西陣織物業組合(おりものをこしらえるひと)ト称シ織物製造業者(おりものをこしらえるひと)ヲ以テ組織(くみたて)シ同職工(おなじおりて)ヲ其附属(そのつきしたが)イトス

    第二条 当組合(このくみあい)ヲ大別(おおわけ)シテ八部(はちぶ)トス其名称(そのとなえ)及各部(かくぶ)ニ於テ製造(こしらえいだ)スル織物(おりもの)ヲ左ニ概記(あらまししる)ス

    八部名称及製品

    紋織部製品
    糸錦織(いとにしきおり)、緞子織(どんす)、遠州緞子織(えんしうどんす)、繻珍織(しゆちんおり)、厚板織(あついた) 大和錦織(やまとにしき)、雲繝織(うんけん)、漢唐緞子(かんとうどんす)、綾地織(あやぢ)、縷糸織(よりいと) 郡中織(ぐんちゅう)、風津織(ふうつ)、高麗縁織(こうらいべり)、錦織(にしきおり)、古金欄織(こきんらん) 広金織(ひろきん)、半金織(はんきん)、無地金織、地金織(ぢきん)、小石織、絽金織、小巴織(しょうは)、匹田織(ひった)

    生紋部製品
    綾織(あや)、顕紋紗織(けんもんしゃ)、紋綾織、唐綾織(からあや)、広綾織、固地綾織(かたぢあや)、絽織、紋絽織、紗織、紋紗織、紗綾織(さや)、絽金織(ろきん)、精好織(せいご)、紋白織(もんしろ)、綸子織(りんず)、絖織(ぬめ)、紋壁織(もんかべ)、縫紗織(ぬいしゃ)、紗金織(しゃきん)、薄板織(うすいた)

    羽二重部製品
    羽二重織、壁羽二重織、塩瀬織(しおせ)、壁塩瀬織、画絹織、平絹織、練織(ねり)、縬練織(しじら)、飾絹織(ふるいきぬ)、生絹織(すずし)、保多織(ほた)、綟子織(もぢ)、亀綾織(かめあや)、撰糸織(せんじ)、経織(へ)、絓織(しけ)、ハンカチーフ織

    繻子部製品
    黒繻子織、紋繻子織、色繻子織、縞繻子織、生緯(きぬき)繻子織(きぬき)、 綿緯黒繻子織、綿緯色繻子織、綿緯縞繻子織、南京(なんきん)繻子織

    縮緬部製品
    本逼織(ほんせば)、綿逼織、縞縮緬織(しまちりめん)、数寄屋織(すきや)、明石縮織、上布織、壁上布織、絹縮織、生縮緬織、平御召織、綿壁上布織

    博多部製品
    博多織、紋博多織、琥珀織(こはく)、茶鵜織(ちゃう)、一楽織(いちらく)、 八丹織、斜子織(ななこ)、高貴織(こうき)、呉絽織(ごろ)、小柳織、海気織(かいき)、綿博多織

    天鵞絨部製品
    黒天鵞絨織、色天鵞絨織、黒輪(くろわな)天鵞絨織、色輪(いろわな)天鵞絨、縞天鵞絨織、紋天鵞絨、底金(そこきん)天鵞絨織、色飛(いろかすり)白天鵞絨織、二重天鵞絨織、黒綿緯(くろめんぬき)天鵞絨織、色綿緯天鵞絨織、綿天鵞絨織、金華山織、長毛(ながけ)天鵞絨織、金版(きんばん)天鵞絨織、吉野天鵞絨織、綛(かせ)天鵞絨織

    木綿部製品
    小倉織(こくら)、小倉帯地織、小倉袴地織、真田織(さなだ)、今春織(こんぱ) 綿当麻織(めんたえま)、洋服紺地織、洋服白地織、綿縮織(めんち)、綿繻子織、小倉紋帯地織、肩懸地織、衿巻地織

    第二章 地区事務所

    第一条 当組合ハ上下京区内ヲ以テ其地区トス

    第二条 各部(かくぶ)内ノ戸数(やかず)ニ応ジ地ヲ図(かぎり)シテ区(さかい)ヲ定メ事務(つとめむき)ノ便宜(たより)ヲ図ル可シ
    但本文ノ地図(さかい)ヲ定ムルノ順序(てつづき)ハ別ニ之ヲ示ス

    第三条 当組合ノ事務所ハ上京区第八組橘町第七番戸内壱号ニ設置ス

    第三章 目的及方法

    第一条 当組合ハ共同(こころをあわ)シテ本業(おりもの)ヲ盛昌(さかん)ニシ物産ヲ拡張(おしひろめ)スルヿ以テ目的(めあて)トス

    第二条 組合事務所ヨリ証紙ヲ発行シ組合員ニ於テ製造スル物品(しなもの)ニ貼附(はりつけ)セシメ本組合員ノ製品(このくみあいのひとこしらえたしな)タルヿヲ証明(あかしおく)ス
    但其雛形及施行順序ハ追テ之ヲ定ム

    第三条 組合員ニ於テ製品スル物品(しなもの)ハ精巧(くわしきたくみ)ヲ旨(おも)トシ物産(しなもの)ノ名誉(ほまれ)ヲ毀損(そこなわ)セサルヿニ注意ス可シ其売価ノ如キ濫リニ低価(やすね)ヲ競フ等売買上不当ノ事ヲナス可カラズ

    第四条 組合員製品ヲ仲買商人ニ売渡シ仲買人ヨリ歩引或ハ値引等不当ノ支払ヲ受ケタルトキハ必事務所へ申出可シ然ルトキ組長ハ之レヲ役員会ニ諮リ相当ノ取扱ヲナス可シ
    但殊更ニ約定アル者ハ此限ニアラス

    第五条 取引上仲買商ヨリ不当ノ取計ヒヲ受ケタル者ハ其旨事務所へ申出可シ此場合ニ於テハ組長ハ能其実際ヲ査覈シ役員会決議ノ上其旨組合員一同へ告知ス可シ
    附タリ組合員本文組長ノ告知ヲ領知シタルトキハ其仲買商ト爾来断然取引ヲ為ス可カラズ

    第六条 組合員有益ノ織物又ハ織法等ヲ発明スルトキハ役員会ノ決議ヲ以テ其功労報酬トシテ若干金ヲ賞与ス可シ
    但此場合ニ於テハ特別証紙ヲ附与シ該品ニ貼附セシメ其発明ヲ証ス

    第七条 組合員ハ毎月ノ製造品及売捌品ノ数量代価等ヲ計算シ翌月二日迄ニ幹事へ差出シ幹事之レヲ三日中ニ部長へ差出シ部長之レヲ精算シテ四日中ニ組長へ差出ス可シ

    第八条 組合員ハ常ニ左ノ件々ニ注意考察シ其方法ヲ為ス可シ
    一、手術ヲ練磨シ製法ヲ工夫シ良品ノ製造新法ノ発明ヲ図ルヿ
    二、世上需用供給ノ釣合ヲ観察シ物品ヲ製造シ粗製濫造ヲナササルヿ
    三、原品産業ノ景況職工ノ能否其他消費ノ得失ヲ考へ製造費ノ減省ヲ図ルヿ
    四、時勢ノ変遷産業ノ興廃流行ノ適否ニ注意シ販路ノ拡張ヲ図ルヿ
    五、営業上利害ニ関スルヿアルヲ認ムルトキハ何事ニ拘ハラス組長へ報告スルヿ

    第九条 当組合ハ毎月一回事務所ニ於テ談話会ヲ開き当業ノ景況利害得失ヨリ矯弊図益ノ見込等ヲ談話スヘシ

    第十条 修業弟子及職工取締教育規約ハ追テ之レヲ定ム可シ

    第四章 役員職制

    第一条 当組合ハ左ノ役員ヲ置ク
    組長 壱名
    副組長 壱名
    取締 三名
    理事 無定員
    書記 無定員

    第二条 各部ニ於テ左ノ役員ヲ置ク
    部長 壱名
    副部長 壱名
    幹事 無定員

    第三条 組長ハ組合ニ係ル一切ノ事務ヲ総理ス其大要左ノ如シ
    一 組合員ノ名簿ヲ整理スルヿ
    二 組合員ノ組合ニ関スル願届書ニ調印スルヿ
    三 商工景況及統計書ヲ調製スルヿ
    四 組合会ノ決議事件ヲ施行スルヿ
    五 官庁及区役所等ノ諮問ニ答申シ及照会ニ応答スルヿ
    六 組合員ノ組合ニ関スル紛議ヲ和解スルヿ
    七 違約者処分ヲ施行スルヿ
    八 金品ノ出納ヲ整理スルヿ
    九 役員選挙ノ投票ヲ開査スルヿ
    十 諸役員ヲ監督スルヿ
    十一 理事以下ヲ進退スルヿ
    十二 当業改良ノ方法ヲ計画シ及利害ニ関スル事件ハ速ニ組内へ通告スルヿ
    十三 組合ニ関スル官令ニ対シ疑義アリト認ムルモノハ組合人ニ其心得方又ハ取扱方ヲ指示スヿ
    十四 証紙発行ノヿ
    十五 職工取締ノヿ
    以上ノ事項中重要ノモノハ役員会ニ諮リ然ル後施行ス可シ

    第四章 役員職制

    第一条 当組合ハ左ノ役員ヲ置ク
    組長 壱名
    副組長 壱名
    取締 三名
    理事 無定員
    書記 無定員

    第二条 各部ニ於テ左ノ役員ヲ置ク
    部長 壱名
    副部長 壱名
    幹事 無定員

    第三条 組長ハ組合ニ係ル一切ノ事務ヲ総理ス其大要左ノ如シ
    一 組合員ノ名簿ヲ整理スルヿ
    二 組合員ノ組合ニ関スル願届書ニ調印スルヿ
    三 商工景況及統計書ヲ調製スルヿ
    四 組合会ノ決議事件ヲ施行スルヿ
    五 官庁及区役所等ノ諮問ニ答申シ及照会ニ応答スルヿ
    六 組合員ノ組合ニ関スル紛議ヲ和解スルヿ
    七 違約者処分ヲ施行スルヿ
    八 金品ノ出納ヲ整理スルヿ
    九 役員選挙ノ投票ヲ開査スルヿ
    十 諸役員ヲ監督スルヿ
    十一 理事以下ヲ進退スルヿ
    十二 当業改良ノ方法ヲ計画シ及利害ニ関スル事件ハ速ニ組内へ通告スルヿ
    十三 組合ニ関スル官令ニ対シ疑義アリト認ムルモノハ組合人ニ其心得方又ハ取扱方ヲ指示スヿ
    十四 証紙発行ノヿ
    十五 職工取締ノヿ
    以上ノ事項中重要ノモノハ役員会ニ諮リ然ル後施行ス可シ

    第四条 副組長ハ其職権組長ニ亜ク常ニ組長ヲ助ケ組長不在又ハ事故アル節之レヲ代理ス

    第五条 取締ハ正副組長ニ従ヒ庶務ヲ掌理ス
    但正副組長不在又ハ事故アルトキハ取締ニ於テ代理スルヿアル可シ

    第六条 理事ハ正副組長取締ノ命ヲ領シ諸務ニ従事ス

    第七条 書記ハ諸帳簿記録受附等ノ事ヲ掌トル事務ノ都合ニ依リテハ理事ヲ兼ムコト有ル可シ

    第八条 部長ハ正副組長ノ意ヲ受ケ其部内ノ事務ヲ幹理ス其大要左ノ如シ
    一 部内組合員ノ名簿ヲ整理スルヿ
    二 組合員ノ組合ニ関スル願届書ニ認印押捺スルヿ
    三 組合ニ関スル官令及組長ヨリ通達ノ事件ヲ伝達又ハ施行スルヿ
    四 組合員ヨリ組長へ差出ス諸報告書ヲ取纏ムヿ

    第九条 副部長ハ掌トル処部長ニ同シ

    第十条 幹事ハ其管理区内ノ諸文書ヲ送達シ庶務ヲ斡旋ス

    第十一条 正副組長取締正副部長幹事ハ俸給ヲ附セス組合会ノ決議ヲ以テ若干ノ慰労金ヲ呈ス可シ

    第十二条 役員(理事以下ヲ除ク)ハ組合員ニシテ地区内ニ住居シ年齢満二十一歳以上ノ男子ニ限ル可シ
    但左ノ各項ニ触ルヽ者ハ役員タルヲ得ス
    一 風癲白痴ノ者
    二 禁錮以上ノ刑又ハ賭博犯ニ処セラレ満刑後三ヶ年ヲ経サル者
    三 身代限ノ処分ヲ受ケ負債ノ弁償ヲ終へサル者
    四 当業ニ関スル官令又ハ組合規約ニ違ヒ処分ヲ受ケタルヨリ一ヶ年ヲ経サル者

    第十三条 役員ハ左ノ方法ヲ以テ選挙ス
    一 正副組長取締役ハ組合会ニ於テ選挙ス可シ
    二 正副部長ハ部内幹事ノ投票ヲ以テ選挙ス可シ
    三 幹事ハ其管理区内ノ組合員ニ於テ選挙ス
    但選挙ハ投票多数ヲ以テ当選トシ同数ナルキハ年長ヲ採リ同年ナルトキハ鬮ヲ以テ之レヲ定ム可シ最高当選者辞退スルトキハ次点者ヲ以テ之レニ充ツ

    第十四条 役員ノ任期ハ満二ヶ年トシ初メ一ヶ年抽籤ヲ以テ其半数ヲ改選シ爾後一年毎ニ半数ヲ改選ス可シ
    但改選ノ節前任者ヲ再選スルヲ得

    第五章 会議規程

    第一条 会議ヲ分ツテ総会組合会役員会及部会ノ四種トス

    第二条 総会ハ組合一統ノ総集会ニシテ毎年四月一回之レヲ開設シ組長之レカ会頭トナリ前年中組合事業ノ要領ヲ報告シ組合員ノ懇親ヲ結ヒ且当業上大事件アルトキハ之レヲ議ス
    但組合会ニ於テ臨時総会ヲ必要トスルトキハ臨時時会ヲ開クヿアル可シ

    第三条 組合会ハ組合人代議員ノ集会ニシテ定期臨時ノ両会ニ分チ定期会ハ毎年三月ニ開キ臨時会ハ臨時要用アルトキ開クモノトス
    但役員会ニ於テ至急要用ト認ムル事件アルカ又ハ議員三分ノ一以上ノ同意者ヲ以テ請求スルニアラサレハ臨時会ヲ開クヲ得ス

    第四条 役員会ハ役員集会シテ時々便宜ニ開会シ組合ニ係ル要務ヲ談議スルモノトス

    第五条 部会ハ各部内限リ其部内幹事ヲ以テ之レヲ開キ部長之レカ会頭トナル可シ
    但部会ノ決議ハ組長ノ認可ヲ得テ施行スルモノトス

    第六条 組合会ニ於テ議定スヘキ事件ハ左ノ如シ
    一 組合員ノ営業取引ヲ確実ニシ弊害ヲ矯正シ公益ヲ図ル方法
    二 粗製濫造ノ弊ナカラシムル方法
    三 本業ノ改良進歩ヲ計画スル方法
    四 修業弟子並ニ職工取締及教育方法
    五 組合経費ノ収支予算及賦課方法
    六 経費出納ノ当否
    七 官庁諮問ノ重要事件
    八 規約細則等ノ制定改正増減
    九 役員会ニ於テ要用トスル事件

    第七条 議員定数ハ各部戸数ニ応シ三名以上七名ヲ選出セシム被選挙人ノ資格ハ第四章第十二条ニ同シ
    但正副組長取締ヲ除クノ外役員ヲ以テ議員ヲ兼ヌルヿモ妨ケナシ

    第八条 議員ノ任期ハ満二ヶ年トシ一年毎ニ其半数ヲ改選ス尤当初ノ退任者ハ鬮ヲ以テ定ムヘシ
    但改選ノ節ハ前任者ヲ再選スルモ妨ケナシ

    第九条 組合会ハ議員中ニ於テ議長副議長ヲ選挙シ議長事故アルトキハ副議長之レニ代リ議長副議長トモ事故アルカ又ハ欠席スルトキハ更ニ議員中ニ於テ仮議長ヲ選挙シ之レヲ開ク者トス

    第十条 議案ハ役員会ニテ調製シ組長之ヲ発スヘシ
    但組長ハ役員中ニ委員ヲ定メ該案ニ対シ説明ヲ任スルヲ得ヘシ

    第十一条 会議ヲ開カントスルトキハ左ノ方法ニ従フヘシ
    一 会議ハ議員過半数ノ出席ナケレハ開ク事ヲ得ス若議員止ヲ得サル事故アリテ出席シ難キトキハ其部内組合員中ヨリ議員トナル可キ資格ヲ有スル者ヲ代理人トシ自分ノ欠席書ヲ差出スヘシ
    但代理人ハ部長ノ添書ヲ要ス
    二 議事ハ出席過半数ノ同意ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル処ニ従フヘシ
    三 決議ノ事項ハ之ヲ要録シ組長議長連署シ区長ヲ経由シ本府庁へ上申スヘシ

    第六章 加入者及退去者規程

    第一条 新タニ織物業ヲ開キ本組合ニ加盟セントスルトキハ開業願書ト共ニ加入申込書ヲ作リ其部長及幹事ノ調印ヲ受ケ組長へ差出し且開業願書ニ調印ヲ受クヘシ組長ハ先ツ本規約ヲ承知セシメ其紙末ニ確守ノ旨ヲ記シ記名調印セシメ然ル後願書ニ調印スルモノトス

    第二条 当組合ハ左ノ如キ標札ヲ製シ商業人へハ記号ノ肩ニ甲ト烙印シ工業人へハ記号ノ肩ニ乙ト烙印シ戸外ノ見易キ所ニ掲ケシムヘシ
    但組合員ハ標札手数料トシテ金五銭ヲ差出スヘシ

    (標札図型) 縦曲八寸五分 横曲四寸

    京都府認可

    西陣織物業組合員 印
    甲又ハ(乙) 住所

    第何号 何条某

    第三条 組合員代換改名転居廃業等ヲ為ストキハ其都度幹事ノ認印押捺ヲ以テ部長ヲ経由シ届書ニ組長ノ調印ヲ乞フヘシ
    但廃業ノ節ハ証標ヲ返戻シ其他ノ書換ヲ乞フヘシ

    第四条 組合員ハ明治十八年四月本府甲第五十号布達同業組合準則第四条但書ニ依リ本府ノ認定ヲ受ケシ者ノ外ハ何等ノ事情アルモ当組合ヲ退去スルヲ得ス

    第五条 当組合地区内ニ於テ当業ノ職工タラント欲スル者ハ幹事部長ヲ経テ組長へ申出職工証標ノ下渡ヲ乞フヘシ組長ハ本規約中職工ニ係ル部分ヲ承知セシメタ左ノ如キ証標ヲ渡スヘシ
    但証標手数料トシテ金五銭ヲ差出スヘシ

    (証標図型) 表面 曲二寸五分

    何第何号 何々織職工
    住所  何条某

    裏面 曲二寸五分

    年号月日
    西陣織物業組合ノ証 印

    第六条 職工改名転居廃業スルトキハ其都度申出改名転居ハ証標ノ書換ヲ乞ヒ廃業ハ証標ヲ返戻スヘシ

    第七条 組合員ハ証標ヲ所持セサル職工ヲ雇入ルヽヿヲ許サス

    第八条 組合員及職工ノ増減ハ一年毎ニ組内一般へ報告スヘシ

    第七章 経費収支方法

    第一条 一ヶ年経費ノ収支予算額及賦課額ハ定期組合会ニ於テ議定スヘシ組合ヨリ支弁スヘキ費目ハ凡左ノ如シ
    一 役員慰労金
    二 理事書記小使雇給
    三 事務取扱費
    四 証紙発行費
    五 会議費
    六 商工会議所費
    七 雑費

    第二条 当組合ニ係ル経費ハ組合員ニ於テ負担シ地方営業税等級ニ依リ公平ノ法ヲ定メ賦課スルモノトス

    第三条 経費賦課金ハ四期ニ分チ毎三月分ヲ一月四月七月十月ニ前徴スヘシ
    但開業者ハ其期節分ヨリ経費ヲ徴収シ廃業者ハ其期節分迄ノ経費ヲ徴収スヘシ又経費徴集額ニ残余アル片ハ翌年度へ繰リ込不足ヲ生スルトキハ役員会ニ於テ其処置法ヲ定ム可シ

    第四条 経費ハ其年四月一日ヨリ翌年三月三十一日迄ヲ一周年度トシ半季毎ニ精算書ヲ作リ組内一般へ報告スヘシ

    第八章 違約者処分法

    第一条 総テ本規約ニ違反スル者アリト認ムルトキハ其事状ヲ組長へ密告スヘシ組長ニ於テハ篤ト其実否ヲ探査シ相違ナキニ於テハ役員会ニ諮リ下条ニ拠リ処分スルモノトス
    但過誤ニ拠リ本規約ニ違反シ其他違反ノ情状宥恕スヘキモノト認ムルトキハ懇篤説諭ヲ加へ向来ヲ戒ムヘシ

    第二条 第三章第三条ノ規約ニ違背シ取引上ニ妨害セシモノハ為メニ生シタル損害ノ金高ニ相当スル違約金ヲ差出サシムヘシ

    第三条 第三章第五条ノ規約ニ違背セシモノハ金参拾円以下ノ違約金ヲ差出サシムヘシ

    第四条 第六章第七条ノ規約ニ違背シタル者ハ若干ノ違約金ヲ差出サシムヘシ

    第五条 経費ノ出金ヲ肯ハサルモノハ郵便先払税ヲ以テ督促スヘシ尚出金セサルトキハ組合会ニ諮リ処分スヘシ

    第六条 第五章第十一条第一項ニ違背スル者ハ違約金トシテ金壱円ヲ差出サシム

    第七条 役員ニシテ規約ニ違犯シ其他不当ノ行為アルトキハ組合会ニ於テ之レヲ処分ス

    第八条 第五章第十一条第一項ヲ除クノ外議員本規約ニ違反スルトキハ通常組合員ノ違反者ト同シク処分ス

    第九条 違約者ノ処分方ヲナシタルキハ其事由ヲ速ニ本庁へ申報シ及組内一般へ報告シ都合ニ依リ新聞紙ニ広告スルヿモアルヘシ
    但違約者ヨリ差出サシメタル金員ハ組合ノ共有トシテ組合会ニ謀リ之ヲ処置スヘシ

    第十条 前各条ノ違約処分ニ応セサル者及第六章第五条ニ違反スル者ハ其筋へ申告シテ処分ヲ受クヘシ

    第九章 雑則

    第一条 当組合ノ一ヶ年事蹟組合員ノ増減ハ毎年一月中本府庁へ申報シ費用決算ハ毎年四月之レヲ申報ス可シ

    第二条 組合役員ノ住所姓名及印鑑類ハ本府庁所管区役所及組内一般へ報告スヘシ其変換アルトキモ又同シ

    第三条 此規約ヲ改正増減セントスルトキハ組合会ニテ決議シ区長ヲ経由シ本府庁ノ認可ヲ受クルモノトス
    但内規約細則等ヲ定ムルトキハ本府庁へ届ケ出ツ可シ

    附則

    一 組長ハ組合ノ状況ヲ時々商工会議所へ報告シ商工会議所ヨリ組合ニ要報アルトキハ之レヲ一般へ告知スヘシ
    二 組合員ハ互ニ信義誠実ヲ旨トシ常ニ親シク交際シ其情誼ヲ尽スヘシ

    西陣織物業組合組長、副組長、取締 明治十八年四月決議の役員名簿には、

    上京区第十六組飛弾殿町 組長 大木長七郎
    同 第六組烏丸町 副組長 加藤庄次郎

    とあつて同年十月改正組合規約認可迄は、此儘で置いたものと思われる。同じく改正規約は取締三名を置いて居るも記録不明。

    同年十月大木組長が辞任して、山田泰蔵が組長に選任せられた。此時の取締三名も不明である。

    明治二十年三月右山田組長が辞職し、後任は佐々木清七が選任せられ、此時の役員は全員記録に残されている。

    上京区第四組東西町 組長 佐々木清七
    同区 第六組烏丸町 副組長 松木安次郎
    同区 第十六組飛弾殿町 取締 大木長七郎
    同区 第四組大北小路東町 取締 北川利八
    同区 第六組西今出川町 取締 川越藤助
    同区 第四組古美濃部町 常議員 山田泰蔵
    同区 第四組紋屋町 常議員 鳥居喜兵衛
    同区 第七組東上善寺町 常議員 人見勘助
    同区 第七組北小路仲之町 常議員 吉田善助
    同区 第七組西北小路町 常議員 亀山利兵衛
    同区 第七組笹屋町三丁目 常議員 家嶋治助
    同区 第七組笹屋町二丁目 常議員 林源助

    右役員達は此組合の最終迄勤めたものである。其内常議員は、規約中には存在せない役名であるが、当時の西陣業界に於ける、取締級の人物のみであるから、最高顧問として役員同列枢機に参劃せしめたものであろう。故に恐らくは、山田組長時代の副組長、及取締は此等の人の内から選任せられてあつたと見て、間違いない。

    同組合各部及部長 明治十八年四月此組合規約開申申請当時のものは、旧社名を、組と改称し、紋織組、生紋組等と称して、其長は各組行事と唱えた。同年八月規約改正認可後は、八部となつて、部長、副部長、各一名を置き、若干数の幹事を置いた。之れは部議員に相当した。

    組行事が部長、副部長に改称せられても、顔振れから見て変更し、或は改選する必要は無かつたと思われる。筆順に其儘部長、副部長に名称更えをして事足つたであろう。尤も二年後の半数改選に付ては記録が無い。

    西陣織物業組合各組行事

    上京区第四組大猪熊町 紋織組 久江長兵衛
    同  同  伊佐町  同  加藤安兵衛
    同 第二組下清蔵口町 生紋組 大石政助
    同  同  長乗西町 同  天野伝蔵
    同 第八組元妙蓮寺町 羽二重組 谷川庄八
    同 第三組戌亥町   同  時岡宗兵衛
    同 第四組幸在町   繻子組 安本宗七
    同 第四組大猪熊町  同  野本治兵衛
    同 第七組笹屋町一丁目 縮緬組 人見勘助
    同 第八組桝屋町   同  橋井幸七
    同 第一組西若宮北半町 博多社 鈴岡又兵衛
    同 第十九組吉野町  同  田中三郎兵衛
    同 第三組姥ヶ榎町  天鵞絨社 神供熊太郎
    同 第八組五辻町   同  村山藤兵衛
    同 第六組笹屋町五丁目 木綿社 佐々木甚兵衛
    同 同 同      同  川端太兵衛

    各部には、数町毎に分担を定め世話役を置いた。此世話役には人望家が多かつたが氏名を省略する。新規開業、廃業、転居、名前換其他営業上に関する一切の諸願伺届には、総て受持世話役の奥印を要する慣習であつた。

    同組合組合会代議員と議長の越権 組合会代議員は、各部の戸数に応じて三名乃至七名を其部から選出せしめた。組合議会制度の嚆矢でもあり、組合員及其部を代表する者であるから、各部共識見信望のある人を選出して居るので次に記述する。

    此頃は憲政実施、国会開設の機運が国内に横溢して、議会主義思想が澎湃としたので、西陣にも段々其傾向が現われて来た際であつたから、組合会の権威を誇る者が生じ、其上組合規約に、組合会の決議事項は之を要録し、組長議長連署し区長を経て京都府に上申する旨を定めた。之れは明かに組長の権限を制約し、却而議長の権限を強めた結果を生じた。其為議長が思上つて、温厚な旦那役員を、尻に敷き、専横に及び、例えば取引改善を目的とした後節に述べる市場開設の如き事業でも、行り口が組合の綱紀を紊し、組長の権限を無視して、専断で行い、計画が放漫粗雑であつた為、失敗に終り組合に損害を被らしめるに至つた。

    西陣織物業組合会議員(初代)

    議長 植田利七、副議長 橋本伝兵衛

    紋織組議員
    永尾徳兵衛、谷新七、武本清次郎、桜井米次郎、山田勘右衛門、原田伊助、宅間芳之助、長谷川杢次郎

    生紋組議員
    中上吉兵衛、小林伊之助

    羽二重組議員
    谷川柳助、淵田和助

    繻子組議員
    山崎亦兵衛、山本儀三郎、荒木菊三郎

    縮緬組議員
    松木安次郎、黒田彦次郎、川越藤助、林源助

    博多組議員
    細井勘兵衛、中井与助

    天鵞絨組議員
    家嶋治助、湯浅文助

    木綿組議員
    駒井清兵衛、高山伊兵衛、服部勘兵衛、沢村由三郎、小森利右衛門、谷田孝次郎、小川久吉、湯浅元治郎、菱田嘉兵衛

    右議員は明治十八年四月選挙のものであるから、各部が組名となつている。議長植田利七は博多組議員、副議長、橋本伝兵衛は紋織組議員であつた。

  • 西陣織物館記(4、~明治17年)

    西陣織物館記(4、~明治17年)

    第六節 西陣織物会所の目的たる事業

    製品検査 同織物会所規則第一条は、織物は検査をして、証紙を貼用し模擬贋製品との識別を明白にするよう命じている。

    西陣織物の検査は、同会所取締役八人が諸製品を調査することを同規則第九条で定められた。即ち之れが検査員である。

    全西陣年間織物生産数量二百万点に近いもの、然も品種銘柄を如何程圧縮大別しても、百三十余種に及ぶものの、正品、不合格品の鑑別を僅か七人の旦那で、年がら年中行われる訳のものではない。肝煎は勿論、仲買取締の番頭が補助代理を勤めさせたとすれば、妥協弊害を防止できない。況や単に織物を正品、綿緯、擬色に三別せねばならぬから事実上は甚だ困難であつて、絶えず紛議は免れなかつた。

    検査開始当初は、京都府知事の厳命である。違背者は営業停止処分を受けると云うので、漏れなく検査を受けたが日を経るに従い検査を受けなく共、別状は無い様である事が段々知られるに至つて、急速に受検提出が減少した。

    証紙の貼付 織物会所規則により検査済の織物には悉く証紙を貼付せねばならない。証紙の様式は同則第四条で定められた。

    橋本伝蔵翁の話しに「槇村知事様御立腹非常にて金を返さねば織屋商買なす事相成らずと迄被仰種々と御心配の上西陣織物会所と改称せられ一枚一銭の証紙の収入を以て消却の途を立てられ」云々と記録したものがある。

    此話だけであらんと、織物会所設立の第一義諦、濫製の悪弊を一洗し世人の信用を保全せんが為の目的は羊頭を掲げた事になる。

    橋本翁は織物会所設立当初から、四年間に渉り取締を勤めた事からすると、会所役員の多くが斯様な偏見を以て居たのかも知れない。然すれば粗製濫造防止、産業興発の真諦を理解して居なかつたのであるから、織物の検査なぞ取締役からして既に熱意の有無が疑われる。

    会所規則第四条は前掲通り証紙を三種類に定め、其内赤色正品は検査合格証であるから、一枚壱銭を納入して、原反に貼付する事を何人も納得する。又綿緯茶色証紙も、着尺御召、金襴の如き判然綿緯を使用せる事を表面せるものは異論が無いが、其中に正絹物として高値に捌かんとする者には之は都合が悪い。

    擬色青色証紙は不合格不正品を証明するものであるから、之れに一銭を払つて、其上製造人の氏名標造して貼付し、市販に出す程の阿呆は一人も無い事は確実である。

    次で綿ネル、綿反物即ち経緯糸共綿糸を使用した織物の良否鑑別問題が生じ、「綿織正品、黄色」「綿交、濃茶」「綿織擬色藍色」の証紙を追加した。

    西陣織物の検査を励行するには、綿密なる細則を必要とするが、之を制定した様子はない。此点から見て、前記橋本翁の談話が真実となつて現れて来る事は避けられなかつたし、又最初から証紙を売る事ばかり考えて、織物検査を励行するなど考えなかつたのであれば、明治十四年を待たずして、一人の検査を申出るものもなく、会所の機能が有名無実となるのは当然であつた。


    第七節 同会所員に対する違約罰則

    一、違約金は製品検査を受けない者、証紙を貼用しない織物を売買する者に対し、売却高の全額を織主から会所へ出さしめる。

    二、京都府の免許鑑札を所持せないで、西陣織物の販売する者があれば京都府庁へ上申する。

    三、違約者を見聞した者は会所へ報告すべし。之れは密告の義務を負わしめたものである。

    京都府へ上申すると云つても、御奉行様白洲の一言で入牢が決まる時代でないから、利目が無い。

    密告も役員から一般織屋、仲買商押なべて違約しては効果が無い。又違約金を科しても徴収の方法がない。

    鑑札の下渡しは、織屋及仲買商に対する西陣織物会所強制加入の手段でもあり、営業権に対する資格でもある。所が京都府の下級機関上京区役所(後述)は、地方税を納付すれば、何業に限らず営業免許鑑札を下附したから、新規開業の織物業者は、京都府勧業課発兌の免許鑑札を受けず共織屋を始めることができて、織物会所と関係なく自由に製造販売し得ることになり、京都府内部機関の不統一も会所の運営を無能力にした。


    第八節 西陣織物会所の経理

    同会所の収入 同会所規則第八条「手数料は会所に於て毎月二十五日限り計算取立其金高十分の二を会所の入費に備え残る八分は織工引立資本金として備置漸次盛大ならしむるの方法を設くるに備う」と規定した。其手数料とは証紙一枚金壱銭の収入である。其他に違約金の収入が規定せられてあるが、之れは一銭の収入も無い事は明瞭である。故に此会所は証紙の売上げによる外収入の根拠が無い。

    全西陣織屋の製品全点数に証紙が確実正直に貼付せられたならば、証紙の発兌数と生産数量が一致し、収入額も自ら明瞭に算出できる理窟である。

    右証紙の交付は京都府の睨みの利いた、明治十一年度は金壱万〇百九十八円三十一銭に達し、之を生産数量に換算すれば、壱百万九千八百三十一点となり、生産統計表に比較すると、大体正確に近い数となるから、全西陣織業が殆ど漏なく、製品検査を受けた事になり、好成績であつた。

    次に明治十二年の生産数量は、同織物会所記録により算出すると、壱百六万四千八百二十四点となる、之に対する証紙収入は金壱万六百四十八円二十四銭となることは自明の理であるが、恐らくは、此年度中は検査を受け、証紙を貼付した者は大いに減じたであろうと思われる。

    明治十三年度の西陣織物は、過去に無い好況を呈したが、織物会所の収入は殆ど無くなり、明治十四年一月槇村知事転任と共に、一枚の証紙も出なくなつた。

    同織物会所支出経費 同織物会所規則第八条は証紙収入の十分の二を、会所入費に使用する旨規定して居る。明治十一年度の会所経費を右により算出すると、金二千三十九円となり、人件費、事務費、家屋費、会議費、交際費、京都博覧会協力費、河原町織工場負担費を右金額で賄うとすれば、資力の薄い者では役員が勤まらない。尚此所に注意を要することは証紙代は織屋のみの負担であつて仲買商側は何等の支出責任が無く然も三倍の数の役員が選任せられた事である。

    証紙収入の内織工引立金として積立てるべきものは、明治十一年度分金八千五十九円となる。此金は総て、前章西陣物産会社時代の借入金の償却に充当し、毎月京都府に上納返戻した。此年内の支払額元利合計金七千八十六円〇三銭四厘であつた。

    翌年も引続き上納して、明治十四年三月迄に上納返還の成績は後節で詳細記述する。故に規定せられた織工引立には右証紙収納金は一銭も使用せられて居ない。悉く京都府に吸上げられたのであつた。明治十二年同十三年も、会所規則に遵い、検査を励行すれば、前記上納金を完済して、尚多額の右引立金が蓄積せられた理窟であるが、窮極の責任は織屋の自覚心が足らず、若干仲買商に依存した他力根性にあるものと謂われても致方が無い。


    第九節 西陣織物会所(事務所、織物検査所)

    京都府令は、上京区智恵光院一条上ル橘町に、織物会所を開設すると謂つて、組合とか団体とかを創設するとは謂つて居ないので。西陣織物会所規則を執行する、京都府の下働き機関とも解せられる。一面会員の総会を開催し経理を報告し、役員を選挙するのであるから、之れからすれば西陣織物業者と同仲買商との団体に相違ない。此怪物の正体を決定するのに頭を悩ますより、吾等は之れも西陣織物業の団体即ち組合の一種と決めて本章を編纂したのである。故に斯の橘町七番戸ノ内一号元大観楼は同織物会所の事務所であり織物の検査所と、謂わねばならぬ。

    是大観楼は本書編纂の時は京都市設橘児童小公園となって旧時の建物は無い。同会所当時は西陣最大の席貸料亭で、広い見事な庭園を構えた、木造二階建、総ゆる、多人数の集会に使用せられたが、経営困難休業の際を幸に、此会所に借入れられたものであった。此建物は明治十八年迄次の西陣織物業組合も使用した。


    第十節 西陣織物会所の功績

    一、日本産業界最初の製品検査と証紙の発行

    生産者の団体が、其団体員の生産品の正否を検査鑑別して、其結果を証明する為、一定形容の印章を以て表示し、或は生産者の氏名迄も明示せしめたのは、我国に於て西陣が最初である。

    此発案者が、京都府顧問山本覚馬か、或は明石博高か槇村知事自らであるかは、判然せないが誠に賞讃に価する。其れは爾後全国総ゆる産業組合に範を示し、九十年来同工業屈曲の検査と証紙の発行或は証印によつて、生産品の信用を保持し、他面組合団体の財源たらしめる看板事業となった。

    二、西陣織物の信用回復と生産額の上昇

    イ、明治十年より同十五年迄の西陣織物生産及設備並織物業者数表

    (一)統計表

    年 度生産数量生産金額設備織機台数織物業者数
    明治十年七、四八六、八三七円七、八三九台四、八一二人(戸)
    同十一年一、〇一九、八三一点九、六六三、〇一七円八、〇八一台四、九九五人(戸)
    同十二年一、〇六四、八二一点一〇、一九四、九六四円八、三三七台五、〇一九人(戸)
    同十三年一三、〇三一、三六三円九、二四四台五、二七一人(戸)
    同十四年一〇、八九九、一〇九円八、七〇九台五、〇一三人(戸)
    同十五年七、六三九、五〇二円七、九四三台四、〇三三人(戸)

    [略説]

    1. 生産数量は明治十一年及同十二年度の点数を辛うじて算出し得た、大体実数に近いものと思う。
    2. 生産金額は明治十三年度は明治初年以来の最高額である。翌年から急降下した、理由は後述する。
    3. 設備機台数は、手織機のみで近年使用し出した、バッタン、ハジキ框も区別していない、機合計数は生産額に比例して上下して居る。
    4. 織物業者数は自前、賃業両者の合計である。好景気に向うと先ず賃業者から増加し始めるのが、西陣機業の生態である、本表の時代は賃業者数は自前業者の倍であると見れば間違いなかろう。

    ロ、西陣織物の信用回復

    京都府指令第二百三十号布達は西陣織物業者に対し訓戒を与え、粗製品濫造を矯正し、品質検査を励行して、正否を証明したから、西陣織物の信用が高まった。前述の通り厳正なる検査を行つたとは思えぬが、西陣織屋の精神面に反省を与え、粗製品の防止と進んで品質の改善に貢献したことは間違いなかつた。

    明治十年及同十一年は全織物の検査を受け証紙を貼付した事実を見れば、目に余る不良粗悪品の製造を差控えるのは当然である。又仲買商を役員中に入れて検査の権限を与えた事も良策であつて、織屋が仲買商連中に不良品屋の定評を受けたら生命取りであるから自粛自戒することになつた。而て此傾向を仲買商が噂でなくして、直接実見するから信用回復も早く、自然仮需要も活発になつて来たものであつた。

    西陣織物会所設立の効果は頗る顕著なものがあり、京都府知事に対し大に感謝すべきである。

    ハ、生産額の上昇
    西陣織物生産額は前項統計表の示す通り上昇好成績である。織物会所が検査に着手したのが明治十年十一月一日からであつて翌十一年の生産額は前年度金額より、二百二十万円の巨額を増加し、其翌十二年度は更に金五十余万円の増加を示した。明治十三年度の生産金額は明治九年度の倍額を尚超過するに至つた。尤も明治十四年以後は追年惨胆たる不況が襲来したが、一時的にもせよ好景気を得たことは、織物会所の製品検査による功績も大きな原因である。とは謂え薬の利き目が早過ぎ効験が煇かすぎたには国内の経済情勢が手伝つたからでもあつた。

    二、西陣織物生産額上昇期の国内経済情勢悪化
    明治十年二月十五日西郷隆盛を首領とする薩摩隼人が九州に蜂起して反乱を起した。所謂西南戦争である。同年九月二十四日叛軍鎮定に至る迄七ヵ月全国から軍隊を動員して戦地に輸送した。

    明治維新改革後政府財政基礎も定まらぬ時、莫大な戦争資材調達の為、政府は不換紙幣を発行して、其支払いに充当したから、物価は漸次昂騰を来すに至り、悪性インフレイションの徴候が現れた。

    仲買商は西陣織物の先高を予想して、織物業者に対し注文買付を争うたから、生産数量も増加し、販売価格も騰貴し前表の如き著しい生産増額を示したものであつた。

    要之西南戦争による経済恐慌が西陣織物産額の上昇を現わしたのであるが、何と云つても信用は商買の基礎であるから、西陣織物の粗製濫造品が減少した事実を、仲買商が認めなかつたら、安心して取引せなかつたであろう。されば矢張り信用回復による生産額の上昇に対する西陣織物会所の功績は大に認めねばなるまい。

    明治初年西陣物産会社借入金三万二千両、京都府へ上納金

    イ、上納簿保存―上納額 前章西陣物産会社が京都府より勧業資金の内から借入れた、合計金三万二千両の内、未納残金元利を、西陣織物会所が、前記証紙売立金の内、織工引立金から月々返納した。其記録は「明治十年七月起、上納簿」に明細記帳し保存せられている。

    明治十一年九月から同十四年三月迄月々滞りなく、宜くぞ納めたものである。茲に上納簿全記を掲げたいのであるが、そうもならぬから要点のみを記述する。

    上 納 簿

    元西陣物産会社拝借金残り高

    明治十年十二月改

    一金三百九拾円九拾五銭

    但明治八年十二月別借元高利子月六朱

    右者明治八年十二月ヨリ明治拾拾年拾二月中廿五ヶ月分

    利子金五拾八円六拾四銭弐厘五毛也

    元利合金四百四拾九円五拾九銭弐厘五毛也

    此別口拝借口

    明治十一年一月ヨリ無利足約定之事

    右同断拝借金残り高

    一金弐万四千六拾四円七銭三厘八毛 元高

    但元金三万弐千円明治拾拾年三月迄機別金差引残り金

    「註」以下年額合計要約記載

    項目金額
    明治十一年中納高金四千二百三十一円七十五銭三厘三毛 元金入
    金弐千八百五十四円弐拾八銭七毛 利子
    明治十二年中納高金四千九百六十五円八拾三銭三厘 元金入
    金壱千弐百六拾円五拾壱銭九厘 利子
    明治十三年中納高金四千九百六拾九円四拾六銭五厘 元金入
    金九百拾五円三拾六銭 利子
    明治十四年中納高金九百六拾弐円拾三銭八厘 元金入
    金百七拾弐円五拾六銭壱厘 利子

    元利引金八千九百三拾四円八拾八銭五厘残り高

    外ニ別拝借分

    一金三百九拾円九拾五銭

    右残り高

    合計金九千三百弐拾五円八拾三銭五厘

    明治十四年四月改

    一金九千三百弐拾五円八拾三銭五厘也

    右拝借金残額自今十ヶ年賦上納願済

    右ハ明治十四年後半季分年賦並ニ端金上納


    上納簿の記載は是迄で終つている。

    ロ、京都府より借入金返済上納結末 前項上納簿によれば明治十四年末の借入金残額は金八千八百三十五円也となる。

    京都府へ西陣から納付した元利合計は金弐万八百六拾三円七拾四銭也であるから、利息をも元金に繰入れた場合は残金は三千六百四拾八円九拾弐銭六厘三毛となるから、遂には八千八百三十五円を借倒したのだとの非難は酷である。

    利子は年六朱であるが此時代勧業資金の性質上利息は免除せられてよいと思われる。

    明治十五年以降残金を幾許上納したか不明であるが、恐らくは納付しては居ないようである。同十五年一月七日写真の督促状が発せられ現に保存せられて居る。

    此通知によつて直ちに納付したか、どうかは記録が無い。

    京都府織物伝習所増築、織殿名称復活と西陣の啓発

    前章第八節第八に記述した、河原町二条下ル、角倉屋敷跡に、京都府勧業課が開設した、織物伝習所は、全国各地から伝習生の入所申込相次いで好評嘖々。特に明治天皇の行幸を辱うし、佐倉、井上が仏国より持帰つた織機実演を天覧に供して嘉賞あり。成績頗る良好なるで、新に織工場を増築して明治十一年三月竣工し。平安京の古称を復活して、伝習所を京都府織殿と改称した。

    当時織殿の機械設備は、

    輸入紋揚器一、糸繰機二、緯巻機十二、綾織機十二、平織機二十三、縫取機八、計総設備九十五台

    伝習生、男子二十三人、女子十三人

    雇員織工、男子二十四人、女子二十八人

    全国唯一無比の大規模官設模範工場と称せられた。

    元来京都府織物伝習所の設置は、西陣産業の近代化即ち西洋先進国の機械化を目的とし、之を指導開発せんとしたものであるが故に、以前の西陣物産会社から引続いて、西陣各社肝煎等が交代世話方を命ぜられ。是れにより西陣織屋が、産業の機械化及能率増進の智識を啓発せられた。

    明治十五年林源助等が設立した西陣共進織物会社が、中立売通智恵光院東入元京都府窮民授産所跡に、蒸気動力による織機を据付けて、苦心経営した事も、織殿からの教育によるものであつた。

    織殿は官営により形式にこだわり経費の支出が放漫となり、収支つぐなわぬ為、明治十四年二月、中井三郎兵衛、磯野小右衛門等の申請により、設備一切を払下げ民営としたので西陣織物会所との関係も無くなり、其際織殿教師佐倉常七は佐々木清七工場へ、同井上伊兵衛は伊達弥助工場に招聘せられた。

    国産ジャガード紋織機の普及

    イ、佐倉常七等輸入ジャガード紋織機の模造完成 国産ジャガード紋織機の完成は西陣織物会所の功績ではない。会所役員たる取締役の大部分が仲買商であつて、西陣織物仲買商は取引策には力を入れても、生産設備育成には外方を向く特質があるから、西陣織物会所が積極的に西陣機業の育成事業を行う事などあり得なかつた。

    元来西陣産業革新の目的はジャガード機即空引きの要らぬ機械に夢があつた。故に京都府伝習所の開設も織殿への発展も、ジャガード機の経糸自動開口装置に魅力があつたからである。而て此会所時代に其の模造品が完成し、之れを使用するに至つて西陣の産業機械化の黎明が来たのであるから、事蹟の一つとして記述してよいと思う。

    明治九年春、福井県から伝習生として入所した、村野文治郎が、川端通二条下ル差物大工、荒木小平方に寄宿中、荒木に対し、日本でジャガード機の模造品を拵える事が織物産業上の最大急務である、と話したのが発端であつた。

    荒木は此れを聞いて、試作を希望したものの、現品に就ての智識が無いので、京都府に申請して、伝習所の雇員にして貰い、日々機械の運転操作及構造を研究し、傍ら製作を試みた。機械中木製の部分は自身多年の熟練で、同型品を製作し得たが、金属部分品は鑿と鉋と曲尺のみの差物職の手に負へるものでなく。当時の精密工業であるから川端通りの鋤鍬造りの鍛冶屋では物にならず、工作に頓挫を来した。之を見た村野は福井県庁の山岡次郎に照会して、福井市の機械工場に見本を示して、製造せしめたものを以て、再三失敗の後漸く明治十年九月初て、ジャガード機二百の口及び百の口各壱台を完成し、遂に国産ジャガード紋織機第一号が登場した。

    試験の結果は輸入品に劣らぬ性能を認められたので、荒木は進んで研究改善に努力し、明治十一年春、京都博覧会に出品褒賞を授与せられた。

    当時ジャガード機の輸入は困難であり、従つて、国内では高価でもあつたが、国産機が誕生するに及んで、安価に入手出来るようになつた。

    我国織物産業発達の根本の開拓者は、佐倉、井上の渡仏の功績と荒木の国産ジャガードの模造成功にある。此三人の晩年は必ずしも幸運でなかつた。日本政府も京都府も市も此人々を褒賞し、功績を表彰した事を聞かない。

    ロ、西陣に於けるジャガード紋織機の普及 ジャガード紋織機は、此会所時代には全々普及せなかつた。明治十一年佐々木清七が、国産ジャガード機第一号を購入(現西陣織物館蔵)。同十四年国産ジャガード三百の口を、自家工場に使用し、空引高機より遙かに、優秀性のある事を一般に知らしめる事に努力した為、ぼつぼつ使用し始めた程度である。

    明治六年佐倉常七等から、持帰つた織機の内、バッタン筬框の装置は、西陣従来の機大工でも製作し得たので、織物伝習所の織機を模して製作し、改造設備も容易であつて安価に出来るから、早く普及した。ジャガード機は、設備に相当の資金を要するので、佐々木清七級の資力ある者は別として、弱少業者が大部分を占める西陣では、即時に之を購入し設備するだけの資力が無い。故に西陣織物業者が旧套を脱し得ないのてなくして、資力が早急に切替えする事を拒むのである。然し西陣にも西陣なりに産業革命の波が寄せて来る。機械生産によれば、空引機では対抗し得ない現実が迫つて来るに従い、ジャガード機普及の速度を加え、遂に西陣から空引機の姿が消滅したのは此時から未だ十数年先のであつた。


    第十一節 西陣織物会所の解消

    明治十四年九月から、同十五年一月にかけて、織物会所取締役中、仲買商は全員、病気と称して退役し、後任者を選任せなかつた。

    仲買商は既に織物検査も、証紙貼用も実行せなくなつたのであるから、織物会所存在の意義が無く、仲買商が役員たる必要性を認めないとの考えからであると謂う訳で、無理の無い事である。故に明治十五年一月には、会所の役員組織が崩壊したのであつて、此時から形式上織物会所は機能を停止した。

    然し明治十四年十二月には、京都府へ年賦上納金をして居るし、織屋である取締役は退職して居なく、京都府は依然西陣織物会所の解消を認めて居なかつた。従つて会所の事務所たる旧大観楼は其儘使用して看板も外されなかつたと言い。


    第四章 京都西陣織物業組合

    証紙発兌による収入の残金の有無は不明である。

    西陣織物業者が、新に強力な、全西陣統合団体の結成を、強く要望して行動した件は次章に記述する。

    要するに西陣織物会所は、次章の西陣織物業組合の設立と共に解消し、大観楼事務所も、又金銭その他の什器も共に新組合に引継いだ。

    西陣織物会所は、特別に解散の披露等を行わず、謂うなら風の如く散つたのである。然し其事蹟は偉大であつた。


    第一節 西陣織物業組合設立に至る迄の情勢

    明治十三年より同二十三年迄の西陣織物生産及設備並織物業者数表

    一、統計表

    年度生産数量生産金額設備織機台数織物業者数
    明治十三年一三、〇三一、三六三円九、二四四台五、二七一人(戸)
    同十四年一〇、八九九、一〇九円八、七〇九台五、〇一三人(戸)
    同十五年七、六三九、五〇二円七、九四三台四、〇三三人(戸)
    同十六年四、八〇一、九三四円六、九九六台三、一六四人(戸)
    同十七年四、八六六、九三七円三、四六七台一、七四九人(戸)
    同十八年二、三一八、八四二円三、三三六台一、六四八人(戸)
    同十九年七一〇、四五〇点二、八九七、八八七円三、六一五台一、六二五人(戸)
    同二十年一、〇四〇、五一一点四、六九七、六二一円五、七四七台二、八六八人(戸)
    同二十一年一、一九三、一九四点四、〇七六、一三〇円五、七七三台二、一五八人(戸)
    同二十二年一、二四四、五八八点四、〇一六、〇四八円五、九一二台二、一七五人(戸)
    同二十三年一、五八六、五五九点五、五二六、四七七円五、六三一台二、〇七二人(戸)

    二、略説

    一、前章に明治十五年迄の統計表を掲げたが、都合上再録する。

    一、生産数量中昭和十八年以前の生産点数を表わしたものを発見しない。

    一、生産金額は明治十八年の生産額が明治十三年の数の五分の一に減少して居る。不況の擂鉢底に当る。

    一、織物業者数は賃業を含めた数であるから、明治十七、十八、十九年の同業者減少数は不況を物語るにしても極端過ぎる現象である。

    一、設備機台数は手織機のみの表である。蒸気力による動力織機も設備せられて居たが極少数である。此時代はジャガード機を使用する者は稀であるから、紋織紋襦子は空引機である。


    西陣織物史上最大の不景気と、其原因及新製品の研究熱 明治十年以降、西陣織物の景気が上昇して、秋眉を開いたのも束の間。同十五年からの景気は、地滑りにも似た暴落であつて、明治十八年は、明治、大正年代を通じて最悪の不況であつた。 斯の不景気は、西陣のみでなく、全国経済界の恐慌によるものであつて、西南戦争後悪性インフレイションが、遂に之を、瀕死の症状に、陥らしめたものである。 西南戦争後、政府の、財政政策が根本的に誤まつた。例えば輸入超過による、正貨の流出から来る、金利の昂騰を阻止する為には、産業の振興より外なしとして、国内の事業熱を煽り、其為に要する資金の供給に対し、紙幣を無制限に濫発し、国庫準備金も放出したから、経済界の不安が遂に爆発して、紙幣の価値は半減し、公債は下落し、銀行の倒産が続出した。京都市経済界も例外であろう筈なく、深刻な打撃を被り、遂には西陣織物仲買商の取引停止、分産、倒産、閉店などが相次いで生じた。例により、其皺寄せは悉く、西陣織物業に被さり、売渡先は潰れる、製品は捌けぬとなつて、日頃蓄財資力なき西陣の小企業者は、忽ちに息の根を止められるに至つた。 斯様な悲惨な、西陣織業の衰弱期にあつても、有名、有力織物業者は、一歩も退かなかつた。永井喜七、神供源助、小谷利兵衛、服部六左衛門、永尾徳兵衛、吉田音吉、長谷川李次郎、佐々木清七、伊達弥助、鳥居喜兵衛等は洋式機械の研究、時代の変遷による需要に適合する製品の考案、綿ネル織物の研究等、着々成功を齎して、西陣産業の復興に専念した。

    京都西陣織物八社聯合協議会 前章西陣織物会所取締役中の仲買商は、明治十五年一月二十四日全員病気と称して悉く退役した。原因は、有史以来の不景気襲来によるものであつて、後任者選任どころの騒ぎではなかつた。織物会所は設立の根本たる役員組織が崩壊し、事実上解散したも同様であるが、織屋は全西陣統合の団体として同会所存続の意向を持ち、旧大観楼の組合事務所(会館)は、織物会所の名と共に存続せしめて居た。又織屋方の取締役は退役して居なく、八社の肝煎は、天鵞絨社の吉田善助が代表して、西陣織物会所の名称で織屋のみの新団体結成を企図し、八社肝煎が集会協議の結果、京都西陣織物八社聯合盟約協議会綱領を作成した。此協議会を開催して、綱領案の印刷が出来たのは、翌十六年の三、四月頃かと思われる。 右綱領は即ち、新西陣織物会規則とする積りのものであつて、全文百二十カ条に及び、頗る新珍語を以て表現して居る。例えば、右会所役員の長を管長、其他を主幹と云い、八社の肝煎は新しく社長、副社長と呼ぶ。即紋織社長となる如き改革を為して居て、大いに興味をそそるものがある。左に綱領の緒言と第一編大意と題するものを記載して全般を伺つて貰うことにする。尤も此計画は、次の第四項の京都府達により、不発に終つた。

    京都西陣織物八社聯合協議会案

    緒言

    物産ハ国家ノ基礎方今ノ急務ナリ若シ其衰頽スレバ何ヲ以テカ民財国貨共ニ富強ヲ致サン哉夫レ我カ京都ノ如キ古来連綿西陣織物ノ一大物産有リ以為レバ、車駕東行ヨリ以来京都人民猶依然トシテ栄富ヲ保スルガ如キ西陣物産ノ有レハナリ而モ我日本ノ域内ニシテ物産ノ名誉ハ独リ我ガ西陣織物ニ止マルカ然ルニ大政維新ノ後日ニ月ニ蕃殖シ稍濫粗ノ物品ヲ製織シ奸ヲ恣ニシ一己ノ利ヲ貪リ織産工業ノ情質ヲ一変シ物産ノ盛路ヲ塞ケリ該弊害ヲ洗浄シ流転ヲ担保セン為メ夙ニ織物会所ヲ設ケ聯合一般盟約以テ検査取締ノ方法ヲ施行セシニ方法ノ不充分ナル力将タ時勢ノ然ラシムル処カ殆ト解網ノ弊徴ヲ顕出セリ方今ノ有志者夫レ之ヲ慨セザラン哉果シテ府庁長官ノ親シク懇諭アルニ相遇フテ甫メテ此弊習ヲ今日ニ矯正セスンハ非サルヿヲ覚知シ既ニ己ニ織工八社聯合会ヲ開キ協同商議シテー大沿革以テ良結果ヲ為サント欲ス請フ吾人志操ヲ之ニ傾ケ強テ一己ノ為メニ公衆ノ栄富ヲ遮リ妄リニ小利ニ惑フヿヲ息メテ栄富ヲ共等ニ悠久ニ維持センヿヲ楽フト云爾。

    京都西陣織物八社聯合協議会案

    第一編

    大意 三章

    第一章 我カ西陣織工八社聯合協力ヲ以テ大ニ工ヲ起シ業ヲ振ヒ物産ヲ拡充シ地方ヲ繁栄ナラシメ相互ノ栄富ヲ共保セントス

    第二章 我カ聯合織工栄富ヲ共保セン為メ盟約ヲ定メ規程ヲ設ケ其精功美善ハ以テ之ヲ顕挙シ我ヵ聯合社会ノ亀鑑ニ備ヘ其放惰奸醜ハ以テ之ヲ屏収シ我カ聯合社会ノ業務風俗ヲ矯正ス

    第三章 我が聯合社会ニ於ケルモ流転盛衰ニ於テハ克ク一人ノ力ヲ以テ衛保スルニ止ル可カラサルヿヲ覚知ス然リ而シテ之ニ一大協力ヲ団結シ巨万ノ資本金ヲ蓄積シ之ヲ興業ノ基立ニ充テ之レヲ共救ノ資ニ備フ。

    京都府布達第十九号

    イ、同布達全文

    明治十六年四月十日京都府布達第十九号

    商工業者組合設立ノ件

    上下京区内ニ住居又ハ寄留シ別紙種目ノ商工業ヲ営ムモノハ申合セ左ノ各項ニ随ヒ組合ヲ設ケ便宜規約ヲ定メ本年六月三十日限リ開申当庁ノ認可ヲ受クベシ
    爾後之ヲ変換加除スルトキハ其都度開申認可ヲ受クヘシ
    此旨上下京区一般ヘ布達候事
    但組合名称及ビ役員ノ変換組合人員増減ニ限リ名称並ニ役員ノ変換ハ其都度人員ノ増減ハ毎年一月中前年分届出ベシ

    一、組合名称
    一、組合役員並ニ選挙法及其職務権限
    一、組合役員及組合員姓名居所
    一、組合ニ係ル経費収支方法
    一、組合集議方法

    別紙

    一、商業  
    西陣織物商、丹後縮緬類、関東織物商(瓦商、雇入請宿旅館等四十九種商を列挙す)

    一、工業  
    織物工業、藍染工業(以下大工、左官、画工迄二十五種工ヲ列記)

    ロ、同布達に基く西陣織物業者組合設立の動向と、組合設立発起人 京都府は初めて布達公文に「組合」と云う名称を使用して、各業者団体の設立を命じたことは、賞讃に価するものであるが、京都市商工業の実情をば顧慮することなく、机上の短見によつて、唯一片の御布令で、一斉に、組合が創立せられるものと思つたのは間違いであつた。 此時代、大工、屋根屋、手伝職人に、組合を結成せよと謂つても容易に出来るものでなく、画家を職工扱いにしても承知するものではない。僅か二ヵ月の間に、組合を設立せよと命じても、組合其ものの必要を感じて居ないのであるから、設立されよう筈がない。故に同年六月二十七日、「京都府達甲第六十三号、商工業組合設立延期の件」により「本年七月三十一日迄延期」の旨を達したが、其れでも中々まとまらぬので。翌十七年九月三十日甲第九十四号京都府布達は、前記京都府布達第十九号により設立した組合へは、其同業者は必ず加入すべき旨の、強制組合加入を命令し、換言せば同組合の特権を認めた。其れでも尚組合を創立する商工業者は極く少数であつて、右布達の成果は上らなかつた。 其中に在つて、西陣織物業者は組合の重要性を認識し、過去の経験もあり、組合に対する智識も、他の業者より遙かに進歩して居て、既に前記八社協議会綱領の如き、難文規約の草案迄作成して居たことであり、全西陣業者中、新組合結成に異議を唱える者は無かつた。 明治十六年七月、山田泰造、時岡利七、鳥居喜兵衛、小林伊之助、大木長七郎等が、京都府勧業課から、前項布達による組合設立勧奨を受け、即時西陣織物同業組合を設立したと、伝えられている。此組合の規約も、設立経緯も記録に残されていない。唯旧大観楼を事務所として使用し、集合協議した事のみが残されて居るのは、此組合を設立したと云つても、翌年の十一月には農商務省令同業組合準則が公布せられたから、直ちに組合規則を改正し、同時に組合名も変更して、殆ど新組合設立と同様の姿となつたものであると思われる。唯茲に特筆すべきは前記発起人中の山田泰蔵は三十九歳、大木長七郎、三十五歳、時岡利七、二十九歳等、西陣企業界にも、壮年気鋭の者が此組合設立に於て頭角を現して来たことである。

    農商務省令第三十七号同業組合準則に基く京都府布達

    イ、省令同業組合準則の沿革

    明治三年頃より、品川弥二郎、平田東助等が、フランスの産業組合を調査研究し、明治十五年には独逸に於ける、産業組合の研究も遂げるに至り、此制度を我国にも採用育成する事が必要であると共に、之に関する法律を制定し、早急に公布すべきである旨を、政府に建言力説した。 中央政府も亦、産業開発上、同業者団体結成の必要性を認めるに至り、先ず同業組合準則を発布して、其原則を定め、各地方庁を指導した次第であつた。

    ロ、農商務省令同業組合準則

    明治十七年十一月農商務省令第三十七号

    同業組合準則

    同業者組合ヲ結ビ規約ヲ定メ営業上福利ヲ増進シ濫悪ノ弊害ヲ矯正スルヲ図ル者不勘候処往々其目的ヲ達スルコト能ハサル趣ニ付今般同業組合準則相定候条向後組合ヲ設ケ規約ヲ作り認可ヲ請フ者アルトキハ此準則ニ基ツキ可取扱此旨相達候事

    準則本文は、次に記する、京都府布達本文と、一句一語の相違も無いから、省略する。

    ハ、京都府布達同業組合準則 明治十八年四月十三日京都府布達第五十号を以て、同業組合準則を発布した。

    同業組合準則左ノ通相定候条此旨布達候事
    但明治十六年四月当庁甲第十九号布達上下京区一般ニ基ツキ組合ノ認可ヲ受ケシ分ニテ此準則ニ抵触スルモノハ来ル六月三十日限更正又ハ追加規約ヲ作リ更ニ開申認可ヲ請フヘシ

    同業組合準則

    第一条 農工商ノ業ニ従事スル者ニシテ同業者或ハ其営業上ノ利害ヲ共ニスル者組合ヲ設ケントスルトキハ適宜ニ地区ヲ定メ其地区内同業者四分ノ三以上ノ同意ヲ以て規約ヲ作リ当庁ノ認可ヲ請フヘシ

    第二条 同業組合ハ同盟中営業上ノ弊害ヲ矯メ其利益ヲ図ルヲ以テ目的ト為スヘシ

    第三条 同業組合ノ規約ニ掲クヘキ事項ハ左ノ如シ  
    第一項 組合ヲ組織スル業名及組合ノ名称  
    第二項 組合ノ地区及事務所ノ位置  
    第三項 目的及方法  
    第四項 役員ノ選挙法及権限  
    第五項 会議ニ関スル規程  
    第六項 加入者及退去者ニ関スル規程  
    第七項 費用ノ徴収及賦課法  
    第八項 違約者処分ノ方法  
    右ノ外組合ニ於テ必要トナス事項

    第四条 組合ノ設ケアル地区内ニ於テ組合員ト同業ヲ営ム者ハ其組合ニ加入スヘシ  
    但事業ノ規模及趣向ヲ異ニスルカ為メ加盟シ難キカ或ハ加盟ヲ拒ムヘキ事由アルトキハ当庁ヘ申出其認定ヲ請フヘシ

    第五条 同業組合ハ同業組合ノ資格ヲ以テ営利事業ヲ為スコトヲ得ス

    第六条 同業組合ハ其一年間ニ経費予算ヲ立テ後クモ三ケ月前ニ当庁ニ報告スヘシ

    第七条 同業組合ハ総テ其事蹟及費用決算表ヲ毎年一月中当庁ニ報告スヘシ

    第八条 同業組合役員ノ苗名及住所ハ当庁ヘ報告スヘシ、其変換アル時モ亦同シ

    第九条 規約ヲ改正スルトキハ更ニ当庁ノ認可ヲ請フヘシ

    第十条 分立又ハ合併スル時ハ更ニ規約ヲ作リ当庁ノ認可ヲ請フヘシ

    第十一条 同業組合ニ於テ聯合会ヲ設ケ其規約ヲ作ルトキハ当庁ノ認可ヲ請フヘシ  但其聯合他府県ニ渉ルトキハ開会地管轄庁ヲ経由シテ農商務省ノ認可ヲ請フヘシ

    二、京都府布達第十九号と省令第三十七号との矛盾調整

    前記農商務省令の発布が、明治十七年十一月であつて、京都府布達同業組合準則の公布が、翌年四月であるから、其間に五カ月を要して居る。然も省令と京都府布達は全文、そつくり同一である。如何に官僚式、繁文縟礼時代でも、余りにも悠長すぎる。其理由は、京都府布達第十九号と此農商務省令との、理想と現実の矛盾を、調整せねばならなかつたに因るものであると思われる。

    京都府布達は遮二無二、組合を結成せしめんとする強権命令であつた。省令は之と反対に地区内同業者四分ノ三の同意を要する。即ち仏独の産業組合の歴史と、組合設立の精神を参酌し、民主的、自由思想を基調として居る。京都府布達実施の実情から見れば、強制組合設立命令を出しても中々設立出来ぬものが、同業者四分ノ三の同意を得ねば、設立を認められないような組合が、出来よう筈が無いと思われるが、省令同業組合準則は、当時としては、民衆の意見を尊重した進歩的な規定であつて、即ちイデオロギーが新しいと謂つた具合である。兎も角既に省令が公布せられたのであるから京都府布達第十九号の強制組合設立命令は、其効力を失つたのである。故に再三期日を延期して迄組合の設立を奨励した京都府は鼻先を折られた形となり、役所の威厳を損ずる事夥しく、此間の調整に時日を要したものと思われる。推理を逞しくするようであるが、そうとしか思われないし、事実、京都府布達準則は、曩の布達第十九号を廃止せぬ儘で公布した如き体裁にして居る。

    明治以来、西陣織物業者は会社と称し、会所と称して、産業団体を結成した。其れは京都府知事様の御声がかりにより仰せ出されたものであつた、とは云え、其れにより西陣機業の指導者達も一般織物業者も、組合結成に対する、訓練は出来ている。殊に政府の法律を基本としての組合設立とあれば、頗る有難いものと考え、従来の組合内部機構の組織に立脚して、同業者四分ノ三の同意を求める事は至極容易であつた。

  • 西陣織物同業組合沿革史(10)

    西陣織物同業組合沿革史(10)

    四、昭和十二年度西陣織物同業組合歲入歲出豫算額竝決算額

    歲 入

    註 單位は錢を以て示す

    豫算額(円)決算額(円)
    第一款 賦課金第一項 賦課金九三、二九五・〇〇九八、〇八〇・七五
    第一目 生産割八八、九〇〇・〇〇九一、六五七・八〇
    第二目 等級割一、五〇〇・〇〇一、〇三五・〇〇
    第三目 營業収益税割七二〇・〇〇九七〇・六〇
    第四目 營業税割二〇〇・〇〇一七七・八五
    第五目 人頭割一七五・〇〇一五九・五〇
    第六目 新加入金一、八〇〇・〇〇四、〇八〇・〇〇
    第二款 手數料第一項 手數料二、六一五・〇〇二、七二九・六〇
    第一目 檢査手數料九〇・〇〇四八・一六
    第二目 登録手數料一、〇四〇・〇〇一、一二八・六〇
    第三目 證票手數料四五・〇〇五九・五〇
    第四目 賣約手數料一二〇・〇〇一六五・四六
    第五目 國税延納手數料一、三二〇・〇〇一、三二七・八八
    第三款 交付金第一項 國庫交付金二六、六八〇・〇〇二七、四五四・三五
    第一目 國税徴收交付金二六、六八〇・〇〇二七、四五四・三五
    第四款 雜收入第一項 雜收入一二、三四八・〇〇一五、一五七・一六
    第一目 預金利子八、二〇九・〇〇一一、〇三〇・三二
    第二目 家屋貸料三、九二〇・〇〇三、七一二・五〇
    第三目 過年度收入三〇・〇〇三三・一〇
    第四目 雜入一八九・〇〇〇三八一・二四
    第五款 繰越金第一項 前年度繰越金一九、二八〇・〇〇三〇、六六五・一九
    第一目 前年度繰越金一九、二八〇・〇〇三〇、六六五・一九
    第六款 繰入金第一項 繰入金一三、六三九・〇〇一三、九七一・〇〇
    第一目 職員以下給與積立金ヨリ繰入六三九・〇〇九七一・〇〇
    第二目 海外視察費繰立金ヨリ繰入三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    第三目 産業資金積立金ヨリ繰入一〇、〇〇〇・〇〇一〇、〇〇〇・〇〇
    第七款 寄付金第一項 寄付金三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    第一目 寄付金三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    歳入合計一七〇、八五七・〇〇一九一、〇五八・〇五

    歲 出

    経 常 部

    豫算額(円)決算額(円)
    第一款 事業費六六、八一三・〇〇六一、二四六・一五
    第一項 檢査費六、〇〇六・〇〇五、六六四・〇九
    第一目 給料及手當四、二六三・〇〇四、二四三・五九
    第二目 賞與一、〇八一・〇〇一、〇八一・〇〇
    第三目 退職給與金一・〇〇
    第四目 旅費一五〇・〇〇五五・八六
    第五目 備品費五〇・〇〇
    第六目 消耗品費三六一・〇〇一八三・六四
    第七目 雜費一〇〇・〇〇一〇〇・〇〇
    第二項 獎勵費一一、二七六・〇〇一〇、三五六・〇九
    第一目 給料二、五三二・〇〇二、五〇八・〇〇
    第二目 賞與三一七・〇〇三一七・〇〇
    第三目 退職給與金一・〇〇
    第四目 備品費一・〇〇
    第五目 消耗品費二四・〇〇一八・六四
    第六目 表彰費二、四三〇・〇〇二、四〇一・一五
    第七目 指導費七二〇・〇〇六七四・五〇
    第八目 産業獎勵費七五〇・〇〇七四七・〇〇
    第九目 輸出獎勵費三、五〇〇・〇〇二、六八九・八〇
    第十目 織物見本費一、〇〇〇・〇〇一、〇〇〇・〇〇
    第十一目 発明考案獎勵費一・〇〇
    第三項 織物館費三、八八一・〇〇三、四八二・四四
    第一目 給料一、六二〇・〇〇一、六四八・〇〇
    第二目 傭人料四七五・〇〇四六三・五五
    第三目 賞與二六二・〇〇二六二・〇〇
    第四目 退職給與金一・〇〇
    第五目 旅費三〇・〇〇一九・六二
    第六目 館長交際費二〇〇・〇〇二〇〇・〇〇
    第七目 備品費一〇〇・〇〇一一・二六
    第八目 消耗品費一五〇・〇〇一一七・三九
    第九目 参考品及標本費一五〇・〇〇一二五・〇〇
    第十目 通信運搬費一二・〇〇
    第十一目 電話費二〇五・〇〇一三六・九七
    第十二目 保険料一〇八・〇〇一〇七・一〇
    第十三目 廣告料一二四・〇〇二四・〇〇
    第十四目 修繕費一五〇・〇〇一五三・二一
    第十五目 使用料四四・〇〇三二・〇七
    第十六目 雜費二五〇・〇〇一八二・二七
    第四項 取締費三、七一七・〇〇三、七〇二・〇七
    第一目 給料二、五九二・〇〇二、五九二・〇〇
    第二目 傭人料四九三・〇〇四七四・五〇
    第三目 賞與三八六・〇〇三八六・〇〇
    第四目 退職給與金一・〇〇
    第五目 備品費一・〇〇
    第六目 被服費六〇・〇〇六〇・〇〇
    第七目 消耗品費一一四・〇〇一〇三・四七
    第八目 證票費六〇・〇〇八二・五〇
    第九目 雜費一〇・〇〇三・六〇
    第五項 織物貯藏場費二九、八三三・〇〇二八、九〇一・一二
    第一目 給料一七、六四〇・〇〇一七、六〇八・一六
    第二目 傭人料二、〇〇八・〇〇一、七一二・八九
    第三目 賞與二、四五六・〇〇二、七二六・〇〇
    第四目 退職給與金五七四・〇〇九〇六・〇〇
    第五目 消耗品費二〇〇・〇〇一〇八・八五
    第六目 消耗品費一、五五〇・〇〇一、一一九・九九
    第七目 図書及印刷費四三五・〇〇一八六・四二
    第八目 通信運搬費一〇〇・〇〇一七・六〇
    第九目 電話費三一六・〇〇二〇六・五六
    第十目 修繕費一〇〇・〇〇六・三七
    第十一目 借家料三、四八〇・〇〇三、四八〇・〇〇
    第十二目 使用料二九四・〇〇九四・八六
    第十三目 手數料四八〇・〇〇五五七・二〇
    第十四目 雜費二〇〇・〇〇一五二・二二
    第六項 販路擴張費八、〇〇〇・〇〇七、七九二・一七
    第一目 販路擴張費八、〇〇〇・〇〇七、七九二・一七
    第七項 調査研究費二、六〇〇・〇〇六四五・六三
    第一目 工業權保護獎勵調査費七五〇・〇〇五九三・四九
    第二目 審査査定額調査費三〇・〇〇
    第三目 調定價額調査費一二〇・〇〇
    第四目 振興調査費二〇〇・〇〇五二・一四
    第五目 製品研究費三〇〇・〇〇
    第六目 商況調査費一二〇〇・〇〇
    第八項 諸會費一、五〇〇・〇〇七〇二・五四
    第一目 展覽會及博覽會費 一、〇〇〇・〇〇二九六・五四
    第一目 實業團體會費 五〇〇・〇〇四〇六・〇〇
    第二款 事務費第一項 事務費一八、七六〇・〇〇一七、七四四・一一
    第一目 給料六、六〇〇・〇〇六、四九五・二二
    第二目 傭人料二、九二〇・〇〇二、六七八・〇三
    第三目 賞與一、一九〇・〇〇一、一九〇・〇〇
    第四目 退職給與金六一・〇〇六一・〇〇
    第五目 貼料一八三・〇〇一八二・五〇
    第六目 旅費一、〇〇〇・〇〇九四五・六七
    第七目 備品費六〇〇・〇〇六七一・五五
    第八目 消耗品費一、八七二・〇〇一、六三〇・一三
    第九目 図書及印刷費五〇〇・〇〇五三五・三七
    第十目 通信運搬費一八〇・〇〇一八二・七三
    第十一目 電話費一、〇八五・〇〇一、〇七三・五五
    第十二目 使用料六四六・〇〇四二三・二八
    第十三目 火災保険料一二六・〇〇一二六・〇〇
    第十四目 諸税四九七・〇〇五一九・二四
    第十五目 修繕費一〇〇・〇〇六〇・六五
    第十六目 雜費一、二〇〇・〇〇九六〇・一九
    第三款 会議費第一項 組合會費一、二二二・〇〇九八九・九五
    第一目 正副議長手當六〇・〇〇六〇・〇〇
    第二目 代議員出席辨償費八〇〇・〇〇七二六・〇〇
    第三目 速記者手當一五〇・〇〇一五〇・〇〇
    第四目 備品費五〇・〇〇
    第五目 消耗品費一二・〇〇五・五〇
    第六目 印刷費一〇〇・〇〇
    第七目 雜費五〇・〇〇四八・四五
    第四款 交付金第一項 交付金三〇、四三八・〇〇二九、四〇二・七〇
    第一目 部交付金三〇、四三八・〇〇二九、四〇二・七〇
    第五款 積立金六、二〇一・〇〇六、二〇一・〇〇
    第一項 基本積立金二、五八八・〇〇二、五八八・〇〇
    第一目 基本積立金二、五八八・〇〇二、五八八・〇〇
    第二項 海外視察費積立金一〇〇・〇〇一〇〇・〇〇
    第一目 海外視察費積立金一〇〇・〇〇一〇〇・〇〇
    第三項 職員以下給與積立金三、五一三・〇〇三、五一三・〇〇
    第一目 職員以下給與積立金三、五一三・〇〇三、五一三・〇〇
    第六款 雜支出第一項 雜支出九、一一六・〇〇九、二〇二・六三
    第一目 交際費一、五〇〇・〇〇一、五〇〇・〇〇
    第二目 染織祭費五〇〇・〇〇三九三・二七
    第三目 特別賞與三、五一三・〇〇三、五一三・〇〇
    第四目 接待費三、〇〇〇・〇〇三、一九七・四九
    第五目 諸税四三・〇〇四三・二八
    第六目 保険料六〇・〇〇五五・五九
    第七目 職員以下共濟會費補給五〇〇・〇〇五〇〇・〇〇
    第七款 豫備費第一項 豫備費三、〇〇〇・〇〇
    第一目 豫備費三、〇〇〇・〇〇
    経常部計一三五、五五〇・〇〇一二四、七八六・五四

    臨 時 部

    豫算額(円)決算額(円)
    第一款 獎勵費第一項 獎勵費四、五〇〇・〇〇四、三八七・一六
    第一目 産業獎勵費四、五〇〇・〇〇四、三八七・一六
    第二款 事務費第一項 事務費八〇〇・〇〇六〇一・〇〇
    第一目 修繕費八〇〇・〇〇六〇一・〇〇
    第三款 雜支出第一項 雜支出一八、三一四・〇〇一八、九五九・六六
    第一目 運用金利子一一四・〇〇八五・三一
    第二目 運用元金填補三、二五〇・〇〇三、二五〇・〇〇
    第三目 臨時手當四、九五〇・〇〇四、八二四・三五
    第四目 國防献納金一〇、〇〇〇・〇〇一〇、〇〇〇・〇〇
    第五目 献上品費八〇〇・〇〇
    第四款 基本積立金第一項 基本積立金六九三・〇〇六九三・〇〇
    第一目 基本積立金六九三・〇〇六九三・〇〇
    第五款 補助費第一項 補助費八、〇〇〇・〇〇八、〇〇〇・〇〇
    第一目 海外視察補助費三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    第二目 工業組合創立補助費五、〇〇〇・〇〇五、〇〇〇・〇〇
    第六款 慰恤費第一項 慰恤費三、〇〇〇・〇〇一、二八〇・二五
    第一目 慰恤費三、〇〇〇・〇〇一、二八〇・二五
    臨時部計三五、三〇七・〇〇三三、九二一・〇七
    歳出合計一七〇、八五七・〇〇一五八、七〇七・六一

    五、昭和十二年度特別會計西陣織物同業組合各積立金歳入歳出豫算並決算

    註 單位は銭を以て示す

    歳入

    豫算額(円)決算額(円)
    第一款 基本積立金收入第一項 基本積立金三、四七〇・〇〇三、四六九・一三
    第一目 組合經費ヨリ繰入三、二八一・〇〇三、二八一・〇〇
    第二目 利子一八九・〇〇一八八・一三
    第二款 海外視察費積立金收入第一項 海外視察費積立金三、五五三・〇〇三、五四一・五一
    第一目 組合經費ヨリ繰入一〇〇・〇〇一〇〇・〇〇
    第二目 利子二〇三・〇〇一九一・五一
    第三目 運用元金填補三、二五〇・〇〇三、二五〇・〇〇
    第三款 職員以下給與積立金收入第一項 職員以下給與積立金四、一三五・〇〇四、三五七・八九
    第一目 組合經費ヨリ繰入三、五一三・〇〇三、五一三・〇〇
    第二目 利子六二二・〇〇八四四・八九
    第四款 産業資金積立金收入第一項 産業資金積立金三七一、八五五・〇〇三五四、九〇三・九三
    第一目 産業資金積立元金一八五、〇〇〇・〇〇一六九、七二九・二六
    第二目 利子七、五九二・〇〇三、三七九・八六
    第三目 元資ヨリ繰入金一七九、二六三・〇〇一八一、七九四・八一
    歳入合計三八三、〇一三・〇〇三六六、二七二・四六

    歳出

    豫算額(円)決算額(円)
    第一款 基本積立金第一項 財産造成三、四七〇・〇〇三、四六九・一三
    三、四七〇・〇〇三、四六九・一三
    第一目 元資ニ編入三、四七〇・〇〇三、四六九・一三
    第二款 海外視察費積立金三、五五三・〇〇三、五四一・五一
    第一項 財産造成五五三・〇〇五四一・五一
    第一目 元資ニ編入五五三・〇〇五四一・五一
    第二項 組合經費へ繰入三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    第一目 組合經費へ繰入三、〇〇〇・〇〇三、〇〇〇・〇〇
    第三款 職員以下給與積立金四、一三五・〇〇四、三五七・八九
    第一項 組合經費へ繰入六三九・〇〇九七一・〇〇
    第一目 組合經費へ繰入六三九・〇〇九七一・〇〇
    第二項 財産造成三、四九六・〇〇三、三八六・八九
    第一目 元資へ編入三、四九六・〇〇三、三八六・八九
    第四款 産業資金積立金三七一、八五五・〇〇三五四、九〇三・九三
    第一項 財産造成一〇九、六六三・〇〇九二、七五一・〇〇
    第一目 元資へ編入一〇九、六六三・〇〇九二、七五一・〇〇
    第二項 組合經費へ繰入一〇、〇〇〇・〇〇一〇、〇〇〇・〇〇
    第一目 組合經費へ繰入一〇、〇〇〇・〇〇一〇、〇〇〇・〇〇
    第三項 獎勵金二五二、一九二・〇〇二五二、一五二・九三
    第一目 産業獎勵金二五二、一九二・〇〇二五二、一五二・九三
    歳出合計三八三、〇一三・〇〇三六六、二七二・四六

    六、西陣操業機業家數及操業機臺數累年比較表

    註 明治三十一年より明治三十八年までは統計を缺く。

    年次操業機業家數(自營)操業機業家數(賃織)操業機業家數(計)操業機臺數(手機)操業機臺數(力織機)操業機臺數(計)備考
    明治三十九年一、九六六四、四三〇六、三九六二二、一一一一、〇二三二三、一三四
    明治四十年二、一六八四、六五〇六、八一八一九、八九九一、二八四二一、一八三
    明治四十一年二、一二五四、九六三七、〇八八二〇、四九六一、三二三二一、八一九
    明治四十二年二、二八四五、三三〇七、六一四二一、五二〇一、三八九二二、九〇九
    明治四十三年二、五七七六、五六五九、一四二二〇、三〇〇一、五九六二一、八九八
    明治四十四年二、六三四七、七六八一〇、四〇二二〇、六四五一、六一六二二、二六一
    明治四十五年
    大正元年
    二、六五六八、四七〇一一、一二六二〇、五七一一、六九九二二、二七〇
    大正二年二、一六九八、八九一一一、〇六〇一四、七〇九一、六七三一六、三八二本年以降兩三ヶ年操業機臺就中手機の著しき減少は財界の不況による
    大正三年一、八二四六、六五〇八、四七四一二、七三七一、六三九一四、三七六
    大正四年一、九六七七、二二八九、一九五一五、四四六一、八八九一七、三三五
    大正五年一、七六三七、四九三九、二五六一六、八七一二、四九五一九、三六六
    大正六年一、八五六八、七一七一〇、五七三一八、八六九二、六五三二一、五二二本年以降兩三四年操業機業家及操業機臺の著しき增加は世界大戦に伴ふ好況による
    大正七年二、一二八七、九七三一〇、一〇一二〇、三七三二、六八九二三、〇六二
    大正八年三、一一八九、六九〇一二、八〇八二五、七八七三、一八九二八、九七六
    大正九年三、一九〇七、三〇三一〇、四九三一九、六七六三、四七一二三、一四七操業及機業者及操業手機の著しき減少は世界大戦好況の反動による
    大正十年三、七二九七、〇九三一〇、八二二二〇、一六三四、二八七二四、四五〇
    大正十一年三、九六八六、六七四一〇、六四二二〇、一〇八三、六三一二三、七三九
    大正十二年三、七三五五、七八四九、五一九一七、六四二三、四三八二一、〇八〇
    大正十三年三、五一五五、六九三九、二〇八一七、〇二四三、九〇八二〇、九三二
    大正十四年三、五九五五、九三九九、五三四一七、五九九四、〇一〇二一、六〇九
    昭和元年(大正十五年)四、〇三二五、五七三九、六〇五一六、八一一四、五四一二一、三五二
    昭和二年三、八三一五、六六八九、四九九一五、九九一四、六二三二〇、六一四
    昭和三年三、九六四五、六三三九、五九七一五、七四八五、〇九六二〇、八四四
    昭和四年三、四三三五、三一〇八、七四三一二、九〇五四、六三八一七、五四三本年以降操業機業者及操業機臺の著しく減少せるは財界の不況による
    昭和五年二、七一六五、五二五八、二四一一一、六七二五、〇四九一六、七二一
    昭和六年二、四六三五、六六三八、一二六一一、三二五五、三九一一六、七一六
    昭和七年二、二八七五、一六七七、四五四一〇、七九二六、〇五四一六、八四六
    昭和八年二、二二六五、三七四七、六〇〇一〇、八七四六、四三〇一七、三〇四
    昭和九年一、九九五四、五七〇六、五六五一一、二二二四、九〇六一六、一二八操業機業者及操業機臺の減少せるは西陣尺織物工業組合の成立により本組合より着尺織物業を削除したるによる
    昭和十年一、八九一五、〇五〇六、九四一一二、二八四五、六一五一七、八九九
    昭和十一年一、八七三四、二三六七、一〇九一二、六〇五六、三〇一一八、九〇六
    昭和十二年一、八三〇四、七一二六、五四二一一、二二二六、二一八一七、四四〇

    七、昭和十二年末現在組合員從業員並に操業機臺表

    註 一、ロ項以下從業者には織物業者以外のものを含まず

    イ、組合員

    項目自營賃機備考
    織物業者一、八三〇人四、七一二人六、四五二人
    紋樣及筬業者九一人但實數は紋樣業者のみ
    買繼業者一〇三人

    ロ、家族從業者

    区分合計
    合計六、四三一人七、八一六人一四、二四七人
    内、自營者の家にあるもの二、二五六人二、五九八人四、八五四人
    賃業者の家にあるもの四、一七五人五、二一八人九、三九三人

    ハ、店員及技術員

    区分合計
    合計七一九人四六人七六五人

    ニ、職工

    区分合計
    合計二、二八二人四、五〇五人六、七八七人
    内、自營者の家にあるもの二、二〇四人四、四一五人六、六一九人
    賃業者の家にあるもの七八人九〇人一六八人

    ホ、徒弟

    区分合計
    合計九二五人七三八人一、六六三人
    内、自營者の家にあるもの九一〇人六九八人一、六〇八人
    賃業者の家にあるもの一五人四〇人五五人

    從業者總數(組合員を含まず)

    区分合計
    總計一〇、三五七人一三、一〇五人二三、四六二人

    ヘ、操業機臺

    区分手機力織機合計
    合計一一、二二二臺六、二一八臺一七、四四〇臺
    内、自營者の操業するもの四、一七二臺五、二四〇臺九、四一二臺
    賃業者の操業するもの七、〇五〇臺九七八臺八、〇二八臺

    八、昭和十二年度組合登錄件數表

    月 別種 別十二年 四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月十三年 一月二月三月
    組合加入自營一三一三一二二三一一一一一二五七一七二
    賃織五〇五二三四四一二五一二一二三〇三〇二二五二一〇〇四六〇
    分工場設置二八
    營業ヨリ自營ニ變更シタルモノ三二
    賃織契約登録一八三一八三一九一一六八一一一六七六八一五六一七五七三二七七六四九二、三〇一
    店員技術員職工徒弟契約届二二
    再渡證票三八三二四一三六二七一七一九三四一七四三三〇四
    組合脱退自營二八二三一五一六一一五
    賃織二四二〇一五一〇〇
    自營ヨリ賃織ニ變更シタルモノ一三三二
    分工場廢止一三
    賃織契約取消一〇一二一三一三一一九四
    三二七三三三三三
    三〇〇一八八一一四一五三二七〇二四〇一四二四二七八四四三、六七三

    九、昭和十二年度内地織物檢査成績表

    種 類檢査數量(點)合 格(點)不合格(點)不合格ノ割合證紙使用高
    絹織物三、三三八、一五二三、三二八、一〇三一〇、〇四九〇、〇〇三〇
    絹・綿交織物五三〇、〇〇三五二七、五九一二、四一二〇、〇〇四五
    其他織物二七、〇三九二七、〇一七二二〇、〇〇〇八
    合 計三、八九五、一九四三、八八二、七一一一二、四八三〇、〇〇三二一八九、五〇六枚

    十、昭和十二年度織物消費税及其取扱高表

    月別織物消費稅金額 生産割 納稅品ニ對スル分(円)織物消費稅金額 生産割 未納稅ニ對スル分(円)織物消費稅金額 引取割(円)納稅申告件數納稅數量納稅延人員
    十二年
    四月
    一三三、四一二・二〇七、四三三・〇六二〇八・九一三三、七四二四四三、一五一一三、二〇〇
    五月一二七、〇〇三・五一七、〇七七・七六二〇八・三三三三、九八四四二一、一〇五一三、八九七
    六月一三九、二〇九・五三七、七五五・七三二五八・四七三一、五三八四三五、四三四一三、七五七
    七月一七三、二七〇・八五九、六四三・二〇二二四・三一二八、六二五四一四、一三三一一、九七五
    八月一〇九、四〇三・八一六、〇九一・三四一八五・二八二〇、七九五二五〇、八九五九、七一四
    九月一一二、三五八・八三六、二五七・五五一八六・四七二四、一〇七二八二、八三五一一、七九〇
    十月一一二、一七六・五七六、二四八・七二二三四・二九二八、〇二九三〇七、六三〇一三、八九〇
    十一月一〇八、三九三・四三六、〇三七・二八二〇九・九〇二五、八一五二九五、二八七一二、七二九
    十二月一四五、五二一・一一八、一〇二・六六二二二・四三二九、七一二三八一、一七一一四、三四一
    十三年 一月九五、九八三・九七五、三四五・一二一二三・〇七二一、三八四二六〇、四〇〇一〇、二八二
    二月一二三、七五四・四八六、八九三・〇五一六三・一五二七、七二九三九〇、五五一一三、一一三
    三月一六六、一八二・九五九、二五六・七四一五九・一四三六、六九七五二六、六九八一五、八六五
    合計一、五四六、六七一・二四八六、一四二・二一二、三八三・七五三四二、一五七四、四〇九、二九〇一五四、五五三

    第六章 年 表

    本章に於ては、明治三十一年より昭和十三年に至る四十一年間の組合略譜を以てしたが、本邦機業界の覇王に任ずる西陣の起伏振否は、必然國家の政治的、經濟的及社會的各種事象の發生、並に變遷によつてその影響を受けること甚だ大なるものがあつたので、特に組合内部の事象のみならず、國家の慶弔事を初め、内閣の更迭、戰争及事變又は災害の發生、機業と最も關係深き諸法律命令の發布、又は改廢等を。印を附して挿入し、前記の事情を探究するの便とした。

    明治三十一年

    • 三月 人見勘助氏外二十九名發起人となり、重要輸出物品同業組合法附則第十九條但書に準據し、西陣織物製造同業組合創立發起の件京都府知事宛認可を申請す。
    • 四月 前項發起の件京都府知事より認可さる。
    • 六月 ◦第一次大隈内閣成立。
    • 九月 重要輸出物品同業組合法に依り同業者三千六百六十四名中五分の四以上の同意調印を終り組合名を西陣織物同業組合と改稱農商務大臣宛設立認可を申請す。
    • 十月 前項西陣織物同業組合設置、同定款、同役員就任の件農商務大臣より認可さる。人見勘助氏組長に就任、長尾時春氏事務長に就任。
    • 十一月 ◦第二次山縣内閣成立。

    明治三十二年

    • 二月 組長人見勘助氏辭任。
    • 三月 松室以忠氏組長に就任。
      ◦東京京都間長距離電話開通。

    明治三十三年

    • 三月 ◦重要物産同業組合法發布され、重要輸出物品同業組合法廢止さる。
    • 五月 ◦北清事變勃發。
    • 八月 事務長長尾時春氏辭任。
    • 九月 四方友吉氏事務長に就任。
    • 十月 ◦第四次伊藤内閣成立。組合の業種に紋鑿業を加ふ。
    • 十二月 ◦北清事變媾和條約成立。副組長一名を二名に増員、新に監事三名を置く。

    明治三十四年

    • 六月 ◦第一次桂内閣成立。
    • 八月 組長松室以忠氏辭任。
    • 九月 内藤小四郎氏組長に就任。

    明治三十五年

    • 一月 ◦日英攻守同盟成立。
    • 十二月 事務長四方友吉氏辭任。

    明治三十六年

    • 一月 組長内藤小四郎氏辭任。人見勘助氏組長に就任。植田利七氏事務長に就任。
    • 九月 組長人見勘助氏辭任。
    • 十一月 鎌田清兵衛氏組長に就任。

    明治三十七年

    • 二月 ◦露國に對し宣戦の大詔下る。
    • 四月 ◦非常特別税法公布。
      ◦煙草專賣法公布。日露戦に際して西陣機業極度の不振に陥り失業者救済に輸出羽二重の製織を奨励す。
    • 十二月 組合の業種より綜綟業・紋鑿業を除く。

    明治三十八年

    • 二月 織物消費税法實施され組合事務所階上を上京税務署西陣出張所として提供す。
    • 八月 同上上京税務署西陣出張所を組合事務所より今出川大宮西入ルに移轉す。
    • 九月 ◦日露媾和條約成立。事務長植田利七氏辭任。

    明治三十九年

    • 一月 ◦第一次西園寺内閣成立。
    • 七月 市立第四高等小學校々舎を借用初めて徒弟夏季夜間講習所を開設。
    • 十月 西陣織物團體聯合會結成さる。
    • 十二月 税務當局との間に織物標準査定價格協定成立。

    明治四十年

    • 三月 織物貯蔵場規程を實施し、五ヶ所に貯蔵場を設置す。
    • 六月 組長鎌田清兵衛氏辭任。伊達虎一氏組長に就任。羽室龜太郎氏事務長に就任。
    • 七月 組合事務所増築工事竣工す。上京税務署西陣出張所を元誓願寺黒門西入に移轉す。
    • 九月 染織試験場の設置を決定す。

    明治四十一年

    • 五月 染織試験場工事に着手す。
    • 七月 ◦第二次桂内閣成立。
    • 八月 染織試験場落成す。
    • 十月 ◦戊申詔書降下。
    • 十一月 組合の業種中より撚糸業を除く。

    明治四十二年

    • 一月 染織試験場業務を開始。
    • 二月 織物消費税撤廢の示威運動を行ひ寺之内大宮東入ル妙蓮寺に會するもの五千餘名。
    • 七月 組長伊達虎一氏辭任。池田有藏氏組長に就任。

    明治四十三年

    • 四月 工業權保護奨励調査委員會を設置す。代議員の任期二ヶ年を四ヶ年に延長、二ヶ年毎に半数改選とす。事務長羽室龜太郎氏辭任。
    • 五月 田中盛憲氏事務長に就任。
    • 八月 ◦日韓併合條約成立。

    明治四十四年

    • 一月 組合功勞者として初めて加藤宗三郎・田畑庄三郎・小野政次郎・時岡利七・井上力造・服部徳三郎・長谷川李次郎・長谷川與三郎・龜山利兵衛・中野新次郎・山下槌之助・安井芳太郎・藤原嘉助・近藤喜三郎・榎並治兵衛・佐々木伊之助・杉本乙吉十七氏を表彰す。
    • 三月 京都市立染織学校府廳前より烏丸上立賣上ルに移轉組合の要望貫徹す。
    • 八月 ◦第二次西園寺内閣成立。

    明治四十五年

    • 一月 織物貯藏場會計規則、同納税取扱規程を制定す。
      組合功勞者として家島源次郎・鎌田清兵衛兩氏を表彰す。
    • 四月 組合員子弟にして京都市立染織學校機織部に入學するものに對し學資補給規程を制定。
    • 五月 織物及意匠圖案の新規考案者保護規程を制定す。
    • 七月 〇明治天皇崩御遊ばさる。

    大正元年

    • 七月 〇皇太子嘉仁親王御踐祚遊ばされ「大正」と改元さる。
    • 十二月 〇第三次桂内閣成立。

    大正二年

    • 一月 組合功勞者として石田太郎吉・堀田傳七・伊達虎一三氏を表彰す。
    • 二月 染織試驗場に色染部を増置す。
      〇第一次山本内閣成立。
    • 三月 〇組合事務所及織物參考館建築敷地として今出川大宮東入元伊佐町に宅地七筆五百五坪一合一勺を買收。
    • 四月 同上建築委員二十名を設置。
    • 八月 組合の告示及公告は西陣織物同業組合公報に掲載することを規定す。
    • 九月 組合事務所及織物參考館建築に着手。
      織物賣買値入並に決算勘定定期年二回より年四回に改定、西陣織物商組合との間に協定成立す。
    • 十一月 事務所及織物參考館定礎式を擧行。

    大正三年

    • 一月 組合功勞者として池田有藏氏を表彰。
    • 四月 〇昭憲皇太后崩御遊ばさる。
      〇第二次大隈内閣成立。
    • 七月 〇世界大戰勃發。
    • 八月 〇獨逸國に對し宣戰の大詔下る。
    • 十一月 愛宕郡野口村を組合地區に加ふ。
      組合事務所竣工し、元誓願寺黒門東入ルより今出川大宮東入ルに移轉す。

    大正四年

    • 一月 組合功勞者として小谷孫兵衛・武田彌一郎・林政次郎三氏を表彰す。
    • 七月 西陣織物館(織物參考館を改稱)竣工し、出品規程、同觀覽人心得を制定。
    • 九月 西陣織物館開館記念として織物圖案の懸賞募集を行ふ。
    • 十月 西陣織物館開館。
      第一貯藏場を元誓願寺黒門東入ルより今出川大宮東入ルに移轉。
      第五貯藏場を寺ノ内大宮西入ルより智惠光院寺ノ内下ルへ移轉す。
    • 十一月 〇御即位の大禮を京都市に擧行あらせらる。
    • 十二月 西陣織物館開館記念織物圖案展覽會を同館に開催。

    大正五年

    • 一月 染織試驗場を京都市に寄附方申請す。 ・八月 〇工場法實施さる。 ・九月 〇京都府令工場法施行細則公布さる。 ・染織試驗場を京都市へ移管し總資産二萬六千四百餘圓を市に寄附す。 ・賃業者表彰規程を設く。 ・十月 〇寺内内閣成立。 ・〇京都市染織試驗場業務を開始。

    大正六年

    • 一月 組合功勞者として諏訪幸次郎・菅善三郎・山田九藏・井林清兵衛・西村孫兵衛五氏を表彰す。
    • 三月 重要物産同業組合法及施行規則改正に伴ひ、監事三名を廢止し、評議員五名を九名に増加す。
    • 九月 〇物價調節令施行さる。

    大正七年

    • 一月 西陣織物館長の組長兼務を廢し新に專任館長を設く。
    • 四月 貯藏場、織物館等取締の爲め請願巡査六名の配置認可さる。
    • 六月 賃業者及職工徒弟に對する貯金獎勵規則を制定。
      市立染織試驗場擴張に對し組合より金四萬圓の寄附を決定す。
    • 八月 〇西米利亞出兵を宣言す。
      〇米價暴騰、各地に米騒動勃發。
    • 九月 〇原内閣成立。
    • 十月 組合創立二十周年記念式並に同上記念織物競技會を開催。
    • 十一月 創立二十周年記念物故功勞者弔魂祭を大徳寺に於て執行。
      〇世界大戰休戰條約成立。

    大正八年

    • 一月 組合功勞者として人見勘助・山地卯三郎・野淵龜吉・吉田房之助・富田喜三郎五氏を表彰。
    • 四月 〇織物組合に交付金下附に關する法律改正及同勅令公布され、織物消費税を賦課したる織物の價額千分の一を交付さる。
    • 八月 日本輸出織物組合聯合會結成、西陣織物同業組合を京都支部とす。
    • 十一月 第二回西陣織物競技會を織物館に開催。

    大正九年

    • 一月 組合功勞者として伊達彌助氏を表彰す。
      〇大戰後の奢侈を戒むる詔書下る。
    • 二月 組合會に於て生絲檢査所設置要望を決議す。
      生絲檢査所設置積立金規程を制定。
    • 三月 〇物價大暴落。財界に恐慌起る。
      機業獎勵規則を制定。
    • 四月 〇電話度數制實施さる。
    • 五月 〇我國最初の労働祭東京に行はる。
    • 十一月 〇國際聯盟成立し第一回總會を開く。
    • 十二月 生絲檢査所設置に對する意見書京都府會に於て可決。

    大正十年

    • 一月 組合功勞者として外池治三郎・吉田寅之助・渡邊半次郎・竹田守彦四氏を表彰。
    • 八月 〇第一回國勢調査により本土人口約五千六百萬人と公表さる。
    • 十月 第三回西陣織物競技會を織物館に開催。
      組合職員表彰規程を制定。
    • 十一月 〇高橋内閣成立。
    • 十二月 生絲檢査所建設寄附金として四萬四千圓以内の組合債發行を決議す。

    大正十一年

    • 一月 組合功勞者として小野政次郎・田畑庄三郎・池田有藏・時岡利七・加藤宗三郎(以上第二回)寺尾太三郎六氏を表彰す。
    • 二月 〇國勢院より國富八百六拾億圓と公表さる。
    • 三月 副組合長二名を三名に、評議員九名を十一名に、代議員四十名を五十名に夫々増員の件認可さる。
      生絲檢査所建設費用に充つる爲の起債四萬四千圓以内を八萬參千百八拾五圓に増額す。
    • 四月 組合地區を擴大愛宕郡松ヶ崎村、葛野郡太秦村を編入す。
      第六貯藏場を葛野郡花園村字花園に新設。
      京都市立第一工業學校敷地賃借料組合負擔を京都市負擔に變更。
      〇織物消費税法中織物組合に對する交付金は課税價額千分の一に相当する金額の外更に點數毎五百點に付壹圓の割合を以て交付することに改正實施さる。
      〇健康保険法公布さる。
    • 六月 西陣勞資調査會規程制定。
    • 九月 〇加藤(友)内閣成立。
      生絲檢査所地鎮祭を行ふ。
    • 十一月 同上上棟式を行ふ。

    大正十二年

    • 一月 組合功勞者として藤井彦四郎・中野德兵衛・佐々木伊之助・西村常次郎・山本吉次五氏を表彰す。
    • 三月 四月に亙り西陣織物館主催 聖德太子御忌奉贊記念美術工藝展覽會開催。
    • 四月 生絲檢査所竣工試運轉を行ふ。
    • 五月 同上京都府に對し一切の設備を寄附す。
    • 六月 京都府生絲檢査所業務開始。
      事務長田中盛憲氏退職。
      山下又三郎氏事務長に就任。
    • 八月 第七貯藏場を紫野門前町八に新設す。
    • 九月 〇關東地方大震火災、死傷者約二十萬、燒失家屋四十餘萬、支拂猶豫令實施さる。
      〇第二次山本内閣成立。
    • 十月 第四回西陣織物競技會を織物館に開催。
      振興調査委員會を常設す。
    • 十一月 〇國民精神作興に關する詔書下る。

    大正十三年

    • 一月 組合功勞者として小野政次郎・田畑庄三郎・加藤宗三郎(以上第三回)森川德次郎・池田篤三郎・元川喜之助六氏を表彰。
    • 三月 〇清浦内閣成立。
    • 四月 五兩月に亙り 東宮殿下御成婚奉祝記念西陣織物展覽會を織物館に開催。
    • 六月 〇加藤(高)内閣成立。
    • 七月 〇メートル法實施さる。
      職業紹介事務を開始し組合員の求人、求職の紹介並に住込從業員の身元調査に當る。

    大正十四年

    • 一月 組合功勞者として野淵龜吉・諏訪幸次郎(以上第二回)、長谷川杢治郎・西村岩次郎・梶田繁治郎・吉川牧之助・宮田幸治郎・千野勝兵衛八氏を表彰。
    • 五月 〇重要輸出品工業組合法案及輸出組合法案議會を通過す。
      〇丹後・但馬大地震。
    • 八月 事務長を理事と改む。
    • 十月 十一月に亙り西陣織物館開館十周年記念西陣織物競技會を開催。
      十月 西陣織物團體聯合會二十周年記念式北野俱樂部に舉行さる。

    大正十五年

    • 一月 〇第一次若槻内閣成立。
      組合褒賞規程に依り表彰せられ現に組合關係の織物業に從事する工務員・職工・徒弟及賃織業者を對象とする西陣織物同業組合診療規程を制定。
    • 四月 織物消費税査定標準価格調査委員會を設置。
      西陣織物團體徽章制定の件認可さる。
    • 五月 西陣信用組合發起人會を開く。
    • 十月 三越大阪支店及神戶分店を會場とし第一回西陣織物大會を開く
      初めて外國織物見本を組合員に貸出す。
      西陣信用組合開業。
    • 十二月 初めて京都に染織見本市開かる。
      〇社會民衆黨及日本勞農黨夫々結黨式を舉行す。
      〇大正天皇崩御遊ばさる。

    昭和元年

    • 十二月 〇皇太子裕仁親王御踐祚遊ばされ「昭和」と改元さる。

    昭和二年

    • 一月 組合功勞者として池田有藏(第三回)・山地卯三郎(第二回)・久保長次郎・大島佐兵衛・木村多四郎・小野内清三郎・渡邊文七・中村榮吉・加藤竹次郎・喜多川平八、十氏を表彰す。
    • 二月 〇奥丹後に大地震あり、丹後縮緬暴騰す。
    • 四月 組長池田有藏氏辭任。
    • 〇金融界に恐慌起り、緊急勅令を以て三週間の支拂猶豫令發せられ、日銀非常貸出貳拾億圓を突破す。
    • 六月 〇田中内閣成立。
      大島佐兵衛氏組長に就任。
    • 八月 第八貯藏場を今出川七本松西入ルに新設す。
    • 十月 第六回西陣織物競技會を織物館に開催。
    • 十一月 三越東京本店に第一回西陣織物大會を開く。

    昭和三年

    • 一月 組合功勞者として田畑庄三郎(第四回)氏を表彰す。
      〇絹織物輸出檢査國營となる。
    • 二月 理事山下又三郎氏辭任。
    • 小西弁次郎氏理事に就任。
    • 三月 定款を改正し紋廣・着尺・片側・繻子・金欄・天鵞絨・傘服地・輸出・雜種の九部制を布く。
      同上部會議員百四十五名を選出す。
    • 四月 部長聯合會を設置す。
    • 八月 西陣織物團體標章特許局の登録を受く。
    • 九月 御大禮記念西陣織物宣傳大會開催。
      九月より十・十一・十二月に亘り織物館に 御大典記念西陣織物展覽會を開く。
    • 十月 西陣織物同業組合力織機設備奬勵規程を制定。
      組合創立三十周年記念式を十四日組合事務所に擧行。
      御大典記念優良從業員表彰式を擧行。
    • 十一月 〇御即位の大禮を京都市に擧行あらせらる。
      組合事務所に 御大典奉祝式を擧行。

    昭和四年

    • 一月 組合功勞者として山中治郎・滋賀辰之助・宅間佐助三氏を表彰す。
    • 二月 第二貯藏場を小川通上立賣上ルより室町通上立賣上ルに移轉。
      團體標章使用規則を公布し、西陣織物に生産地證明を實施す。
    • 七月 〇濱口内閣成立。
      細井恒次郎氏組長に就任。
    • 十一月 〇金解禁令公布さる。
      臨時西陣現勢調査委員會を設置す。
    • 十二月 三宅清治郎氏の寄附になる「西陣」建碑受納式を行ふ。
      組合内に西陣失業相談所を設置し失業者救濟事務を開始。
      〇知事を會長として西陣織物振興會設置さる。

    昭和五年

    • 一月 〇金輸出解禁實施さる。
    • 二月 部制度の強化代議員選舉制度改革を骨子として定款を全面的に改正す。
    • 四月 西陣産業資金積立規程及施行細則を制定積立金を開始す。
    • 五月 〇知事を會長とする西陣織物振興會會長の諮問に答申を終り解散す。
    • 六月 産業組合設立奬勵規程を制定組合員地區内に購買販賣利用組合を設立事業開始の場合奬勵金の交付を決定。
    • 十月 〇西陣織物團體聯合會解散す。
      西陣織物買織制度施行に關し定款の改正を組合會に於て可決、同時に取引制度實施審議會を設置す。

    昭和六年

    • 一月 組合功勞者として加藤宗三郎(第四回)・山地卯三郎(第三回)・山本吉次(第二回)・太田益太郎・寺尾芳之助・安井巳之助・安田成隆・山本恒三郎・加藤小市・善野辰之助・龜井亮治郎・美藤富吉十二氏を表彰す。
    • 二月 組合を母體として西陣振興株式會社設立され、金融及織物の受託販賣を營む。
    • 四月 〇第二次若槻内閣成立。
      西陣織物規格及織物檢査規則を實施す。
    • 五月 〇京都市近郊一市二十六ヶ町村市内へ編入さる。
      懸賞を以て西陣織物圖案を募集す。
    • 六月 同上入選圖案展覽會を組合事務所及織物館に開催。
    • 七月 西陣織物商二百餘名を買織業者として指定す。
      札幌・小樽兩市に各十日間の西陣織物宣傳大會を開催。
    • 八月 函館市に十日間、室蘭・旭川兩市に各五日間の宣傳大會を開催。
      組合に買織部を置く。
    • 九月 〇滿洲事變勃發す。
    • 十月 西陣織物買織制度を實施す。
      組長細井恒次郎氏辭任。
      長谷川市三氏組長に就任。
    • 十二月 〇織物消費税法改正査定價格十分の一を百分の九に引下げらる。
      〇犬養内閣成立。
      〇金輸出再禁止令實施さる。
      職員任用並に停年に關する規程を制定實施す。

    昭和七年

    • 一月 組合功勞者として鳥居榮太郎・細井恒次郎兩氏を表彰。
      〇日支兩軍上海に於て砲火を交ふ。
    • 二月 買織制度實施記念として片側繻子宣傳販賣會を織物館に開催。
    • 三月 〇新國家滿洲國成立。
    • 四月 〇京都市に染織講社を創設、染織祭を創始す。
      染織祭創始記念西陣織物參考品展覽會を織物館に開催。
    • 五月 第二回織物圖案懸賞募集を行ふ。
      〇五・一五事件勃發す。
      〇齋藤內閣成立。
    • 九月 組合主催第一回西陣織物大會を京都市勸業館に開催。
      昭和大禮記念織物館編纂西陣史成る。
      〇我國滿洲國を正式に承認す。

    昭和八年

    • 一月 組合功勞者として小川愛吉氏を表彰す。
    • 三月 〇我國國際聯盟と絶縁を公表。
      組合産業資金積立金第一期滿了す。
    • 四月 西陣着尺織物工業組合業務を開始す。
      副組長以下役員代議員の定數を減少す。
      織物貯藏場中第三第四第六を廢止す。  
      退職給與金支給規程を制定實施す。
    • 六月 雇傭人採用並停年に關する規程を制定實施す。
      第七貯藏場を廢止、第八貯藏場を第三貯藏場と改稱す。
      〇東西銀行一齊に預金利下げ。
    • 七月 第二貯藏場を室町通上立賣上ルより堀川通寺ノ內上ル二丁目に新築移轉す。
    • 九月 組合主催第二回西陣織物大會を京都市勸業館に開催。

    昭和九年

    • 一月 組合功勞者として田畑庄三郎氏(第五回)を表彰す。
    • 二月 組合主催第三回西陣織物大會を京都市勸業館に開催。
    • 三月 組合員の業種中より着尺織物業者を除く。
      代議員選舉に關し普通選舉部單位の小選舉區制より級別制限選舉の織物業全體を以てする大選舉區制に改正。
    • 五月 組合の地區に新市域を編入京都市一圓とする。
      組合後援東京西陣織物聯盟主催西陣織物大會を東京織物問屋同業組合事務所に開催。
    • 七月 〇岡田內閣成立。
    • 九月 組合並に西陣着尺織物工業組合の共催を以て第四回西陣織物大會を京都市勸業館に開催。
      〇京阪神に大風水害起り死者一萬數千名に及ぶ。

    昭和十年

    • 一月 組合功勞者として宅間佐助(第二回)・林福太郎・岡村吉之助・川本龜吉・栗田春吾・佐野多三郎・北野武三郎・三宅清治郎八氏を表彰す。
    • 二月 組合事務所改築準備委員會を設置す。
      組合及西陣着尺織物工業組合共催第五回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
    • 四月 事務所改築に關し豫算拾壹萬圓を組合會に於て可決。
      組合主催第一回西陣夏帶大會を京都市美術館に開催。
      組合後援東京西陣織物聯盟主催西陣織物大會を東京日比谷公園舊華族會館に開催。
    • 六月 〇京阪神に大洪水あり死傷者多數。
      組合事務所及第一貯藏場改築の爲め事務所を織物館に移し織物館を休館す。
    • 七月 組合事務所改築敷地地鎮祭を行ふ。
      組合主催西陣新興輸出織物展示會を神戶商工會議所に開催。
    • 八月 〇京阪神再び大洪水。
    • 九月 組合及西陣着尺織物工業組合共催第六回西陣織物大會京都市美術館に開催。
    • 十月 第一織物貯藏場竣工。
    • 十一月 第三織物貯藏場を今出川七本松西入ルより六軒町通五辻下ルに新築移轉。
      第一・第二・第三貯藏場査定區域を全面的に改定。

    昭和十一年

    • 二月 組合及西陣着尺織物工業組合共催第七回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
      組合事務所を第一織物貯藏場の階上に移轉。
      〇二・二六事件勃發す。
    • 三月 〇廣田內閣成立。
      組合事務所竣工、七日より事務を開始、十一日竣工式を擧行。 
      組合功勞者として渡邊文七(第二回)長谷川市三兩氏を表彰す。 
      組合事務所改築竣工に際しその奉告の爲め物故功勞者二十四氏の追悼法會を大德寺に營む。
    • 四月 西陣天鵞絨工業組合設立認可され、第一貯藏場の階上を同事務所として貸與す。
      〇京都市に於て十一年度豫算に力織機設備獎勵補助金交付規程を制定さる。
      前年六月より休館中の西陣織物館を開館す。
    • 五月 西陣産業資金積立金第二期利息を財源として京都市勸業館復興建設費へ金貳萬圓を寄附す。
    • 六月 組長長谷川市三氏「國際的商品としての西陣織の話」を海外に放送す。
    • 七月 組合及京都輸出入協會共催を以て第二回西陣新興輸出織物見本展示會を神戶商工會議所に開催。
    • 八月 組合及京都市染織試驗場共催を以て力織機講習會を試驗場に開催。
    • 九月 組合及西陣着尺織物工業組合共催第八回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
      組合主催第三回西陣新興輸出織物展示會を橫濱商工獎勵館に開催。

    昭和十二年

    • 一月 組合功勞者として加藤宗三郎(第五回)・善野辰之助(第二回)兩氏を表彰す。
      退職積立金法及退職手當金法實施さる。
    • 二月 林内閣成立。
      組合及西陣着尺織物工業組合共催第九回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
    • 四月 郵便料金値上げ實施。
      勞働祭全國的に禁止さる。
    • 六月 近衛内閣成立。
      組長長谷川市三氏アメリカ及カナダの絹業視察決定に付視察費補助として金參千圓の支出を組合會に於て可決す。
      組合主催第四回西陣新興輸出織物見本展示會を神戶商工會議所に開催。
    • 七月 同上第五回展示會を横濱市商工奬勵館に開催。
      北支事變勃發。
    • 八月 暴利取締令改正實施。
      西陣産業資金積立金第三期利息中より金壹萬圓を國防費として獻納す。
    • 八月 組合關係支那事變應召者遺家族慰恤金として長谷川市三氏より金參千圓の寄附を受く。
    • 九月 組合及西陣着尺織物工業組合共催第十回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
      北支事變を支那事變と改稱決定さる。
    • 十月 防空法實施。
      商工省令絹織物表示規則實施。
      防空資材獻納に對し陸軍大臣より感謝狀を受く。
    • 十一月 西陣織物工業組合創立總會を開く。
    • 十二月 支那首都南京陷落す。

    昭和十三年

    • 一月 
      組合功勞者として山中治郎(第二回)・奥村龜太郎・吉田盛三郎三氏を表彰す。
      煙草値上げさる。
    • 二月 
      組合及西陣着尺織物工業組合共催第十一回西陣織物大會を京都市美術館に開催。
      西陣織物工業組合設立を認可さる。
    • 三月 
      國家總動員法案兩院を通過成立。
      長谷川市三氏渡米中止に依り、視察補助金參千圓の返還を受く。
      組合を解散清算人十一名を選任す。
    • 四月 勸業館建設費寄附に對し京都市より篤志者として表彰を受く。
    • 五月 長谷川市三氏を清算人代表に選定す。
    • 七月 
      解散式を京都市勸業館に擧行。
      組合功勞者として梶田繁治郎・岡村吉之助・栗田春吾(以上第二回)・家島敬造・増田龜三郎・巽文次郎・安岡巳之助・岡本米次・小林捨三郎・飯盛松三郎・本水庫太・高木吉之助・藤田治郎助十三氏を表彰す。
      組合解散に當り物故功勞者五十四氏の追悼法會を知恩院に營む。

    昭和十四年四月二十五日印刷
    昭和十四年四月三十日發行〔非賣品〕

    編纂人 京都市左京區北白川下池田町九九番地 大槻 喬

    發行人 京都市上京區小山堀池町三七番地ノ八 小西弁次郎

    印刷人 京都市下京區北小路新町西入 須磨勘兵衛

    印刷所 京都市下京區西洞院七條南入 内外出版印刷株式會社

    發行所 京都市上京區今出川通大宮東入元伊佐町二六五番地ノ一 西陣織物同業組合清算事務所

  • 西陣織物同業組合沿革史(9)

    西陣織物同業組合沿革史(9)

    第十九章 會 計

    第二百七條 組長ハ毎會計年度ノ歳入歳出豫算ヲ調製シ年度開始ノ二月前ニ組合會ノ議決ヲ經ヘシ

    組合ノ會計年度ハ其ノ年四月一日ニ始マリ翌年三月三十一日ニ終ルモノトス

    第二百八條 組長ハ組合會ニ豫算ヲ提出スルトキハ組合ノ財産表ヲ併セテ提出スヘシ但シ豫算追加ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス

    第二百九條 組合ハ特別會計ヲ設クルコトヲ得

    第二百十條 組合ハ豫算ノ追加又ハ更正ヲ爲スコトヲ得但シ年度閉鎖後ハ之ヲ爲スコトヲ得ス

    第二百十一條 豫算ノ科目ハ之ヲ款項目ニ区分スヘシ

    第二百十二條 組合會ニ於テ豫算ヲ議決シ監督官廳ノ認可アリタルトキハ組長ハ十日以内ニ之ヲ告示スヘシ

    第二百十三條 毎年度ノ歳出豫算ニハ左ノ標準ニ依ル金額ヲ計上スヘシ

    基本積立金歳出豫算總額(諸積立金控除)ノ百分ノ二
    職員以下給與積立金職員及雇傭員給料豫算額 一箇月分

    第二百十四條 組合ノ豫算ニハ豫備費ヲ設クヘシ但シ特別會計ニハ之ヲ設ケサルコトヲ得豫備費ハ豫算外又ハ豫算超過ノ支出ニ充ツ但シ組合會ノ否決シタル費用ニ充ツルコトヲ得ス

    豫備費ハ評議員會ノ諮問ヲ經テ組長之ヲ支出スヘシ

    第二百十五條 豫算ニ定メタル項内ノ金額ハ組長ニ於テ彼此流用スルコトヲ得

    第二百十六條 組合ノ出納ハ翌年度ノ四月三十日ヲ以テ閉鎖ス

    組長ハ出納閉鎖後二月以内ニ決算ヲ調製シ組合會ノ認定ニ付スヘシ

    決算ハ豫算ト同一ノ区分ニ依リ之ヲ整理シ豫算ニ對スル過不足ノ説明ヲ付スヘシ

    第二百十七條 組合會ニ於テ決算ヲ認定シタルトキハ組長ハ十日以内ニ之ヲ告示スヘシ

    第二百十八條 本章ニ規定スルモノノ外會計事務ニ關シ必要ナル事項ハ評議員會ノ議決ヲ經テ組長別ニ之ヲ定ムルコトヲ得

    第二十章 過怠金處分

    第二百十九條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ一圓以上十圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第十四條第一項ノ規定ニ從ヒ工場證票ヲ請求セサル者又ハ第二十條ノ規定ニ從ヒ證票再交付又ハ書換ヲ請求セサル者若クハ第二十條第二十一條ノ規定ニ從ヒ證票ヲ返納セサル者
    二、第十八條ノ規定ニ依リ證票ヲ揭出セサル者
    三、第十三條第十四條第二項第十九條ノ規定ニ依ル届出ヲ爲ササル者
    四、第二十八條又ハ第百六十九條ノ十ノ規定ニ依リ檢査セントスル場合ニ正當ノ事由ナクシテ其ノ檢査ヲ拒ミタル者

    第二百二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ二圓以上三十圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第四十七條第二項又ハ第三項ノ規定ニ違反シテ投票ヲ爲シタル者
    二、第五十二條ノ規定ニ違反シテ選舉會場ニ入りタル者
    三、第百六十九條ノ十又ハ第百六十九條ノ十一ノ規定ニ依リ帳簿ヲ設ケサル者又ハ報告ヲ爲ササル者

    第二百二十一條 第百四十條及第百四十一条ノ規定ニ違反シテ登録團體標章ヲ使用シタル組合員ニ對シテハ五圓以上五百圓以下ノ過怠金ニ處ス

    第二百二十二條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ十圓以上二千圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第百五十一條ノ規定ニ違反シテ證紙又ハ印章ヲ使用シタル者
    二、第百四十六條第二項ノ規定ニ違反シテ織物ヲ販賣シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ搬出シタル者
    三、第百五十二條又ハ第百五十四條ノ規定ニ違反シテ證紙又ハ印章ヲ汚染、毀損、剥取消滅セシメ若クハ證紙ヲ賣買、贈與、貸借ヲ爲シタル者
    四、品質ヲ證明スル織物ニ第百五十五條ニ定ムル符標ヲ附サシテ其ノ織物ヲ販賣シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ搬出シタル者
    五、第百六十一條ノ規定ニ依ル監視員ノ檢査ヲ拒ミ又ハ第百六十二條ノ規定ニ依ル中止ヲ肯セス若クハ領置ヲ拒ミタル者
    六、第百六十九條ノ三ノ規定ニ違反シテ營業ヲ爲シタル者
    七、第百六十九條ノ四ノ規定ニ違反シテ斡旋ヲ爲シタル者
    八、第百六十九條ノ六ノ規定ニ違反シテ値引又ハ斡旋ヲ爲シタル者
    九、第百六十九條ノ七ノ規定ニ違反シテ代金ノ授受ヲ爲シタル者
    十、第百六十九條ノ十四ノ規定ニ違反シテ斡旋ヲ爲シタル者

    第二百二十三條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ百圓以上二千圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第百六十六條ノ規定ニ依ル檢査ヲ拒ミ若クハ檢査ヲ受ケスシテ織物ヲ販賣シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ搬出シタル者
    二、第百七十四條ノ規定ニ違反シテ登録案ヲ應用シタル者
    三、第百六十九條ノ二ノ規定ニ違反シテ織物ノ販賣ヲ爲シタル者

    第二百二十四條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ一圓以上三十圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第百八十一條ノ規定ニ依ル契約ヲ爲シタル者ニシテ其ノ登録ヲ受ケサル者又ハ住所氏名、年齢其他ノ事實ヲ僞リ登録ヲ受ケタル者
    二、第百八十三條第二項ノ規定ニ違反シテ賃織ヲ爲シタル者

    第二百二十五條 左ノ各號ノ一ニ該當スル組合員ニ對シテハ十圓以上二百圓以下ノ過怠金ニ處ス

    一、第百八十三條第一項ノ規定ニ違反シテ賃織ヲ爲サシメタル者
    二、第百九十條ノ規定ニ違反シテ使傭シ又ハ賃織ヲ爲サシメタル者
    三、第百九十一條ノ規定ニ違反シテ從業者ヲ使傭シタル者

    第二百二十六條 本章ノ規定ニ依ル處分ハ評議員會ノ議決ヲ經テ組長之ヲ行フ
    組長ハ前項ノ處分ヲ爲シタルトキハ書面ヲ以テ直ニ其ノ被處分者ニ之ヲ通知スヘシ

    第二百二十七條 前條第二項ノ規定ニ依リ通知ヲ受ケタル者ハ該通知ノ日ヨリ七日以内ニ其ノ過怠金ヲ組合ニ完納スヘシ但シ第二百二十八條ノ規定ニ依リ不服ノ申立ヲ爲ス者ハ此ノ限ニ在ラス

    第二百二十八條 第二百二十六條第一項ノ規定ニ依リ處分ヲ受ケタル者其ノ處分ニ不服フアルトキハ同條第二

    項ノ通知ノ日ヨリ五日以内ニ書面ヲ以テ組合會ニ之ヲ申立ツルコトヲ得

    不服ノ申立ヲ爲ス者ハ其ノ處分ヲ受ケタル過怠金ト同額ノ保證金ヲ該申立ト同時ニ組合ニ納付スルコトヲ要ス

    第二百二十九條 組合會ハ前條ノ規定ニ依ル申立ヲ受ケタルトキハ其ノ當否ヲ決定スヘシ
    前項ノ規定ニ依ル申立書ハ組長ヲ經由シテ之ヲ提出スヘシ
    組合會ノ爲シタル決定ニ對シテハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第二百三十條 組合會ニ於テ不服ノ申立ニ事由ナキモノト決定シタルトキハ組長ハ任意ニ申立人ノ納付シタル保證金ヲ以テ其ノ過怠金ニ充當スヘシ

    第二百三十一條 第二百二十三條第二號第二百二十四條第二號及第二百二十五條ニ該當スル處分ハ其ノ關係者ノ申告ニ依リ之ヲ行フモノトス

    第二百三十二條 一人ニシテ二以上ノ違反行爲アル場合ハ其ノ重キニ從ヒ之ヲ處分ス

    第二十一章 定款ノ變更並組合ノ解散

    第二百三十三條 本定款ヲ變更セントスルトキハ組合會ニ於テ代議員定數ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ議決スヘシ

    前項ノ規定ニ依リ變更シタル定款ハ監督官廳ノ認可アルニ非サレハ之ヲ施行スルコトヲ得ス

    第二百三十四條 本組合ヲ解散セントスルトキハ組合會ニ於テ代議員定數ノ三分ノ二以上及組合員總會ニ於テ組合員三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ議決スヘシ

    前項ノ規定ニ依リ組合會及組合員總會ニ於テ組合解散ノ議決ヲ爲シタルトキハ組長ハ遲滞ナク監督官廳ニ其ノ認可ヲ申請スヘシ

    第二百三十五條 組合解散ノ認可アリタルトキ又ハ組合ノ解散ヲ命令セラレタル場合ハ左ノ者ヲ以テ其ノ清算人ト爲シ組合解散ニ關スル一切ノ事務ヲ處理セシム

    一、組長及副組長
    二、組合會ニ於テ互選シタル代議員五人
    三、評議員會ニ於テ互選シタル評議員三人

    第二百三十六條 組合解散ノ場合ニ於テ清算ノ結果財産ニ剩餘ヲ生シ又ハ債務ヲ辨済スルコト能ハサルトキハ解散當時ノ組合員タリシ者ニ之ヲ分配又ハ賦課スルモノトス

    第二百三十七條 前條ノ規定ニ依ル分配又ハ賦課方法ハ組合解散當時ノ組合員タリシ者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決スヘシ

    附 則

    第二百三十八條 從前ノ規定ニ依リ組合ニ加入其他ノ屆出テヲ爲シタルモノハ本變更定款ノ規定ニ依リ其ノ屆出ヲ爲シタルモノト看做ス

    第二百三十九條 本變更定款施行前ニ組合ヨリ交付シタル證票ハ本變更定款ノ規定ニ依リ之ヲ交付シタルモノト看做ス

    第二百四十條 本變更定款施行前ニ組合ノ登録ヲ受ケタル賃織ニ付テハ本規定ニ依リ賃織業者トシテ其ノ登録ヲ受ケタルモノト看做ス但シ其ノ期間ハ登録ノ日ヨリ起算ス

    第二百四十一条 本變更定款施行ノ際現ニ組合員タリシ者ニシテ本變更定款ノ規定ニ依リ第二種組合員トナリタル者ニ對シテハ第二百三十八條ノ規定ヲ準用ス

    第二百四十二條 本組合ノ役員代議員ノ選擧權被選擧權ヲ有スル第一種組合員カ本變更定款ノ規定ニ依リ第二種組合員トナリタルトキハ其ノ選擧權、被選擧權ヲ失フ

    第二百四十三條 次期ノ組長及本變更定款ニ依リ増員スル評議員ノ任期ハ昭和十一年十二月十九日トス
    本變更定款中役員ノ任期ニ關スル規定ハ次ノ改選ヨリ之ヲ施行ス
    本變更定款中代議員ノ任期、定數增加並選擧權、被選擧權、其ノ他選擧ニ關スル規定ハ次ノ總選擧ヨリ之ヲ施行ス

    第二百四十四條 本變更定款中部長ノ廢置分合ニ關スル規定ハ昭和九年四月一日ヨリ之ヲ施行ス

    第二百四十五條 本變更定款中部長、副部長並相談役及部委員ノ任期ニ關スル規定ハ次ノ改選又ハ總選擧ヨリ之ヲ施行ス但シ特別ノ規定アルモノハ其ノ規定ニ從フヘシ

    第二百四十六條 本變更定款ニ依リ分合ノ爲廢止セラルヘキ部ノ部長及副部長ノ任期ハ昭和九年三月三十一日トシ分合ニ依リ新設セラレタル部ニ初メテ就職スル部ノ部長及副部長ノ任期ハ昭和十一年十一月二十五日トス

    本變更定款ニ依リ分合ノ爲廢止セラルヘキ部ノ部委員及相談役ハ其ノ任期中分合ニ依リ新設セラレタル部ノ部委員又ハ相談役ニ就職スルモノトス但シ其ノ任期ハ昭和十一年十一月三十日トス

    從前ノ規定ニ依リ雜種部ノ部委員及相談役ハ其ノ任期中自己ノ業ノ所属部ノ部委員又ハ相談役ニ就職スルモノトス但シ其ノ前項但書ノ規定ヲ適用ス

    金襴部、天鵞絨部、買繼部並紋様筬部ノ現任部長及副部長ノ任期ニ付テハ第一項後段ノ規定ヲ適用ス

    金襴部、天鵞絨部及買繼部ノ現任部委員及相談役ノ任期ニ付テハ第二項但書ノ規定ヲ適用ス

    第二百四十七條 從前ノ規定ニ依リ紋廣部、片側部及繻子部ニ加入シタル部員ハ本變更定款ニ依リ帶地部ニ加入シタルモノト看做ス

    從前ノ規定ニ依リ傘服地部及輸出部ニ加入シタル部員並雜種部ニ加入シタル織物製造業者ハ本變更定款ニ依リ新興輸出部ニ加入シタルモノト看做ス

    第二百四十八條 本變更定款ニ依リ分合ノ爲廢止セラルヘキ部ニ属スル部員及從前ノ規定ニ依リ雜種部員中織物製造業者ノ有スル選擧權、被選擧權、部ニ加入期間、經費納額等ハ分合ニ依リ新設セラレタル部ニ之ヲ承繼又ハ通算スルモノトス

    第二百四十九條 從前ノ規定ニ依リ雜種部中織物製造業者以外ノ部員ハ本變更定款ニ依リ紋様、筬部ノ部員トナル

    本變更定款ニ依リ分合ノ爲廢止シタル部ニ属スル財産其他ノ權利又ハ義務ハ分合ニ依リ新設セラレタル部ニ之ヲ承繼スルモノトス

    本變更定款ニ依リ分離スヘキ部ニ屬スル財産其他ノ權利及義務ニ付テハ其ノ分離前ニ部長ハ部委員會ノ議決ヲ經テ適當ニ之ヲ處理スヘシ

    第二百五十條 本變更定款ハ告示ノ日ヨリ之ヲ施行ス

    本變更定款ノ施行期日ニ付テハ前條ノ規定ヲ適用ス

    組合役員及顧問並ニ理事

    組長長谷川市三
    副組長岡村吉之助山中陸三郎岡本米次
    評議員(議長) 加藤宗三郎(副議長)栗田春吾巽文次郎
    増田龜三郎佐野多三郎飯盛松三郎
    本水庫太小關與三郎山地卯三郎
    顧問大島佐兵衛細井恒次郎
    理事小西辨次郎

    組合代議員

    氏名氏名氏名
    (議長) 家島敬造(副議長) 杉本三郎岡本米次
    巽文次郎加納嘉一郎藤原徳三郎
    汐瀬吉藏高木吉之助藤田治郎助
    小林捨三郎河瀬滿治郎西村清三郎
    伊藤巳之助安岡巳之輔清水甚三郎
    水間龜太郎加藤宗三郎梶田繁治郎
    安村眞次黒田甚三郎田中清
    市川藤三郎増田龜三郎海老名弘次郎
    山田但財木武志村尾五三郎
    合名會社岡部商店 代表者 岡部傳之助小川太三郎高橋謙三
    飯盛松三郎井上末吉吉田盛三郎
    林房造奥村龜太郎石田喜三郎
    吉田伊三郎本水庫太岡村吉之助

    各部役員及部委員

    帶地部

    部長梶田繁治郎
    副部長福岡重雄加納嘉一郎
    部委員岡本米次巽文次郎加納嘉一郎
    藤原徳三郎汐瀬吉藏杉本三郎
    高木吉之助藤田治郎助小林捨三郎
    河瀬滿治郎西村清三郎伊藤巳之助
    安岡巳之輔清水甚三郎市川藤三郎
    加藤宗三郎水間龜太郎増田龜三郎
    黒田甚三郎田中清林房造
    合名會社岡部商店 代表者 岡部傳之助梶田繁治郎

    金襴部

    部長奥村龜太郎
    副部長中井榮一中島博三郎
    部委員奥村鶴太郎林房造森三郎
    木下忠造井上末吉駒井文次郎
    後藤正三藤木米三郎飛田彦次郎

    天鵞絨部

    部長石田喜三郎
    副部長山中陸三郎吉田利三郎
    部委員吉田伊三郎大島久次郎伊藤多三郎
    井元宗三郎大槻伶治郎湯川芳太郎
    米田萬次郎石田喜三郎家島敬造

    新興輸出部

    部長岡村吉之助
    副部長河那邊五兵衛森鶴太郎平野信一郎
    部委員海老名弘次郎山田但財木武志
    村尾五三郎合名會社岡部商店 代表者 岡部傳之助小川太三郎
    高橋謙三飯盛松三郎藤田治郎助
    田中清黒田甚三郎岡村吉之助

    買繼部

    部長門幸三郎
    役職氏名
    副部長横田解吉田中藤兵衛氏名
    部委員門幸三郎田中藤兵衛佐々木秀造
    久保作次郎横田解吉高田松三郎
    中西誠治郎小林太一郎安村眞次

    紋様筬部

    部長山本正弘
    副部長松本兼吉鳥原清次郎
    部委員池田堅藏鳥原清次郎水谷安太郎
    荒田利三郎稻田喜三郎山本正弘
    松本兼吉藤田隆初本水庫太

    第五章 統 計

    西陣織物同業組合に於て連年調査蒐集しつゝあつた各種の統計は頗る多く、且つ密なるものであるが、今章に於ては、その内特に重要なりと認むる累年の(イ)織物生産額、(ロ)組合一般會計豫算額及決算額、(ハ)操業状態の三項目のみを掲出することゝした。但し此の中特に組合の解散を見たる昭和十三年三月末日を以て終期とする昭和十二年度豫算額及決算額は、その款、項、目の全部に亙つて詳細を記入し、また生産額及操業状態はその慣例に従ひ暦年を以て集計し、昭和十二年一月より十二月に至る織物の各種別生産額と、昭和十二年十二月三十一日現在の組合員及従業員の動態及操業状態を詳細に亙つて掲出し、更に同年度に限り、組合登録事件數表、内地織物の検査成績表、並に織物消費税、及其他の取扱高表等を併記して以て、後考に資することゝした。

    一、西陣織物生産額累年比較表

    註 一、金額の單位は壹千圓を以て示し以下の數字は切捨とす
    二、明治三十一年より明治三十三年までは生産統計不備にして之を推知するの資料を缺く
    三、明治三十四年より明治四十五年までは「其の他織物」の統計を缺く
    四、大正十五年より昭和七年までは綿織物を「其の他」に繰入れ獨立したる統計を缺く

    年次絹織物絹綿交織物綿織物其ノ他合計備考
    明治三十四年一四、一九五五、六六六三、一九五二三、〇七六
    同 三十五年一二、一四二五、三六二二、八七二二〇、三七七
    同 三十六年八、五六三三、八五一一、九五八一四、三七二
    同 三十七年五、二二〇二、三三四一、一九七八、七五一著しく減少を示せるは日露戦役に依る財界不況の結果なり
    同 三十八年七、八五六五、四五六二、七六七一六、〇七八
    同 三十九年九、四六九六、九七一二、九二六一九、三六六
    同 四十年一〇、四八二七、二五七二、三六五二〇、一〇四
    同 四十一年一〇、七〇九六、五九四一、八七一一九、一七四
    同 四十二年一二、二七六六、七二二二、三五〇二一、三四八
    同 四十三年一三、二三八四、九三〇一、五四三一九、七一一
    同 四十四年一三、七一七六、六三一二、二四四二二、五九二
    同 四十五年
    大正元年
    一三、七〇二六、四一三二、一三七二二、二五二
    同 二年一三、六七〇六、一〇〇一、五八七一三三二一、四八九
    同 三年一一、五一二六、一〇三一、七三九九六一九、四五二
    同 四年一一、七六九七、二八一一、四四四一八二二〇、六七六
    同 五年一七、六九〇一〇、〇七〇二、五〇七四六〇三〇、七二七[本年度以降六ヶ年に亙り著しく増加せるは世界大戦による好況就中高級織物の賣行良好なりしによる]
    同 六年二〇、六八〇一〇、六八四二、四五六四三七三四、二五七
    同 七年三一、七七八一四、一二〇三、一八〇一、三九六五〇、四七四
    同 八年五〇、五九五二一、二七八三、一九一二、八三二七七、八九六
    同 九年五九、五五一一九、九〇三二、一二四二、八二七八四、四〇五
    同 十年五六、二六三二二、三五九一、三六八三、〇八七八三、〇九八
    同 十一年三九、七八三二〇、三一〇一、四二三二、六六一六四、一七七本年度以降が既往雨三年に比し著しく減少せるは世界大戦景氣の反動による。就中各種織物の急激なる値下りに因る
    同 十二年三二、一〇三二五、一六九一、六八九二、四二五六一、三八六
    同 十三年三七、一四二二五、九八三一、九六八二、〇七四六七、一六七
    同 十四年三六、五九七二二、四〇二二、三〇六二、〇四八六三、三五三
    同 十五年
    昭和元年
    四〇、八二八一九、五一四一、八七四六二、二一六
    昭和 二年四三、二一七一五、一六一一、二一四五九、五九二
    同 三年四八、〇二四一二、九四七一、二一五六二、一八六
    同 四年四五、四六七一〇、一二一一、〇六四五六、六五二
    同 五年三八、二六七七、五四〇六九一四六、四九八本年度以降五ヶ年に亙り著しく減少せるは財界一般の不況に因る
    同 六年三九、四八〇七、二五〇七四五四七、四七五
    同 七年三六、八九六七、〇二五六六五四四、五八六
    同 八年三四、九三九八、三一四九三〇七三八四四、九二一
    同 九年三四、九二八一〇、三五一一、五一二一、〇四六四七、八三七
    同 十年三七、三八〇一二、一四六二、三三二一、四五〇五三、三〇八既往五ヶ年に比し著しく増大せるは一般財界の好轉に因る
    同 十一年三六、九二九一三、四七六一、六四八七八六五二、八三九
    同 十二年三九、八六九一一、二一〇一、七五一九九三五三、八二三

    二、昭和十二年中西陣織物生産額明細表

    註 一、數量の單位は點、金額の單位は圓を以て示す。

    種類數量價額
    絹織物四、四〇五、八四一三九、八六九、四五八
    絹綿交織物七五七、七九三一一、二一〇、八三六
    毛織物六、九七九二六五、六三二
    麻織物三八、六七五六三七、〇八四
    其他織物四一、八九一八九、五九六
    綿織物二三八、三三五一、七五一、〇六五
    合計五、四八九、五一四五三、八二三、六七一

    イ、絹織物種類別生産額

    註 一、人絹交織及總人絹織物を含む

    〇 紋樣帶地

    種類數量 (本)價額(圓)
    綴子廣五、一二七五八、四一〇
    綴子九寸二二〇、〇〇一一、二三三、六八六
    絲錦廣二九、八三九七四八、三七二
    錦中帶四、一〇六四四、〇一〇
    絲錦九寸七〇五、二四七四、九六〇、九五八
    唐織廣九、六一七四九〇、八〇六
    夏帯廣三八、八四七五二〇、四九四
    夏帯九寸五八五、四〇八三、六二七、八七二
    變織九寸二七、〇五三一七三、九七〇
    綴廣帶一、七一五一七二、九八八
    綴八寸一三、一三七四五七、九三〇
    綴男帶三、七三七三五、四四六
    變男帶三、四六四二三、八一四
    兒帶二、三六四一二、一八六
    縮羅廣二五、九五一四五三、三五六
    縮羅九寸五六、八〇三三七五、〇二四
    袋帯六二、四五五一、二七六、七一四
    一、七九四、八七一一四、六六六、〇三六

    〇 博多帶地

    種類數量(反)價額(円)
    博多廣一七 三七八
    博多九寸二〇九、一八〇四二三、六七二
    博多八寸七〇二、二一七二、〇三四、一一八
    博多伊達卷一四四、三七五一五三、四四六
    博多輕装一七八、六五九二四三、七六二
    博多男帶二三、九〇〇三二、一二六
    博多腰紐三、五二七三、一〇〇
    一、二六一、八七五二、八九〇、六〇二

    〇 朱子帶地

    種類數量(反)價額(円)
    朱子廣五四六 七、二三〇
    朱子九寸二、二九四一五、五五六
    伊達卷一三、一一三二四、四二四
    一五、九五三四七、二一〇

    〇 洋傘及裏地(肩裏地數量ノ單位ハ枚)

    種類數量 (反)價額 (円)
    漢東綴子六六五三四、一四〇
    肩裏地一〇六、九九三六二四、五〇二
    裏地一六、〇三〇八〇〇、四七二
    洋傘地四、一九〇一五〇、三七六
    服地一一、三五六五三六、六三二
    一三九、二三四二、一四六、一二四

    〇 金襴及表具地

    種類數量 (點)價額 (円)
    衣地三、四七六一〇四、七九八
    精好一、〇六〇三三、九四六
    一、三九八三四、九七六
    袈裟地四、九三九一〇三、〇一二
    金襴三六、二三八五六二、一八八
    表具地二一、〇九五三七〇、二〇〇
    表具地綴子一、四六六三〇、二六六
    六九、六七二一、二三九、三八六

    〇 生紋織

    種類數量價額
    羽二重五二、二六〇 (反)四七〇、八九九 (円)
    篩絹一四四三〇、八七四
    繪絹七四三、〇五八
    富士絹三八七、〇三七七、七七四、二四九
    薄絹縮緬六九、八六七三、五七五、三〇三
    四九二、四〇二一一、八五四、三八三

    〇 帛紗地

    種類數量 (枚)價額 (円)
    綴帛紗六、六八八一一四、四六二
    帛紗地五四、四八一二〇九、一四〇
    六一、一六九三二三、六〇二

    〇 雑種

    種類数量 (點)價額(円)
    襟飾地一一四、二五六二、二四一、二〇六
    蒲團地二五四八、六三四
    窓掛地五四五七七、七三四
    縁地四一一、〇八四
    卓子掛二六
    房下マーク四〇一九、〇九六
    ネーム三、三八九二三、五一六
    シオフンベルベット一、五三四一〇九、七七六
    天鵞絨一、五五三三一、四四四
    紋天鵞絨七、九六五八二〇、九九三
    肩掛地二五二、六一三二、二七七、四三六
    雑織物一八八、一一一一、一〇一、一七〇
    五七〇、六六五六、七〇二、一一五

    合計

    種類數量 (點)價額(円)
    合計四、四〇五、八四一三九、八六九、四五八

    ロ、絹綿交織物種類別生産額

    註 一、人絹綿交織を含む

    〇 紋織帶地

    種類數量 (本)價額 (円)
    綴子廣六、一八四五五、四四八
    綴子九寸三二、九三五一七四、八〇八
    絲錦廣一二、六四八四八三、八四六
    錦中帯一、一六〇二八、一三六
    錦九寸二〇一、七二三一、六四二、九一二
    唐織廣八、〇二四四四六、二三四
    夏帯廣三、六七〇六九、三〇八
    夏帯九寸八三、〇二四五七五、九〇六
    縮羅廣七一九二三、七六〇
    變織九寸一七、七一八一一九、二九二
    兒帯九六四五、一九八
    縮羅九寸五、八〇四五三、七八二
    袋帯五一、〇九五一、二九一、一六八
    變男帯一、九九二七、四九六
    四二七、六四〇四、九七八、二九四

    〇 博多帶地

    種 類數 量(本)價 額(円)
    博多廣一〇九二、三五二
    博多九寸七、七一一三三、七五六
    博多八寸六九、八二四三一二、八六〇
    博多伊達卷五〇五一、四四四
    博多輕裝二、五六五四、七七二
    博多男帶二八七四五二
    僧侶帶三五五三四二
    八一、三五六三五五、九七八

    〇朱子帶地

    種 類數 量(點)價 額(円)
    朱子廣三、二七八二二、一六八
    黑朱子九寸一六、三一〇四四、三三〇
    色朱子九寸二、六九五六、四五八
    二二、二八三七二、九五六

    〇服地及裏地

    種 類數 量(反)價 額(円)
    裏地一、四二四四九、二八八
    服地四〇九一五、〇六六
    生朱子一五五七、三一二
    朱子地七九、五八〇一、七二〇、二一七
    短衣地一二一、六〇〇
    八一、五八〇一、七九三、四八三

    〇金襴及表具地

    種 類數 量(點)價 額(円)
    袈裟地五〇七八、八三〇
    金襴二一、〇五三四五三、七五〇
    鐵仙一、四〇二八、六九〇
    表具地七、〇八四一一九、八四二
    三〇、〇四六五九一、一一二

    〇天鵞絨

    種 類數 量(點)價 額(円)
    本天一七、四九四四五〇、〇四二
    上綿天二、七三二五八、三六六
    紋天二、一七三六二、二一六
    八重天二六〇四、六三八
    入絹天一四、六〇七三〇三、二九四
    三七、二六六八七八、五五六

    〇雜種

    (※綈ノ數量單位ハ反、卓子掛ノ單位ハ枚、其ノ他ハ點)

    種 類數 量價 額(円)
    一、六九二二、三二六
    蒲團地五八一、六三八
    綠地三三七一、七〇八
    襟飾地三、六五五五四、四〇四
    窓掛地一五、九八一一、七〇七、八九三
    卓子掛四、四三七一九、二一二
    箱紐一、一九三一、〇四六
    ネーム三三一三、八六二
    釦包三九九九、九八〇
    シール一〇、五五九三九二、四五六
    裂地二六、七二九二一五、九〇〇
    帛紗地一二、二五一一三〇、〇三二
    七七、六二二二、五四〇、四五七

    合計

    種類數量 (點)價額(円)
    合計七五七、七九三一一、二一〇、八三六

    ハ、綿織物種類別生産額

    (※帶地、室掛地及絺ノ數量單位ハ點、其ノ他ハ反)

    種類數量(反)價額 (円)
    帶地九二五一、一二八
    表裝地五一一二、五五五
    金襴二一六、四四一一、四四七、七〇〇
    縞木綿一、五一二一一、七九一
    綾木綿四、七六二五一、四二六
    綿朱子一〇、一四一一二一、五七〇
    裹地一、〇六五三三、八七四
    窓掛地一、二二八 (點)五二、四九八
    一、七〇〇一、四三八
    芯地五〇五、六〇〇
    合計二三八、三三五一、七五一、〇六五

    ニ、毛織物種類別生産額

    種類數量 (反)價額 (円)
    〇 裹地
    毛交服地二七八三〇、〇七八
    ポプリン一、四六一一五二、六七二
    〇 雑種
    窓掛地一五一、六八〇
    襟飾地一、九一八三五、四〇六
    白粉刷毛地一七〇九、三一二
    肩掛地三、一三七三六、四八四
    合計六、九七九 (點)二六五、六三二 (円)

    ホ、麻織物種類別生産額(裂地數量ノ單位ハ點)

    種類數量 (反)價額 (円)
    服地二、〇〇〇五〇、〇〇〇
    芯地三五、六〇〇五三四、三〇〇
    裂地一、〇七五五二、七八四
    合計三八、六七五 (點)六三七、〇八四 (円)


    ヘ、其他織物種類別生産額(雑ノ數量單位ハ點)

    種類數量 (本)價額 (円)
    女帶一、五九六一四、九五八
    朱子伊達巻二九、四四九二〇、〇六二
    腰紐三、一三九 一、二三二
    七、七〇七五三、三四四
    合計四一、八九一(點)八九、五九六 (円)

    ト、輸出向織物生産額

    註 一、本項の生産額は輸出向織物の數量金額を一瞥する爲め掲記したるものにして、前イ乃至ヘの各種織物生産額中に包含され重複しあるものと知らるべし。

    種類數量 (反)價額 (円)
    〇 絹織物
    服地四、二七一一〇七、三二六
    裹地九、六一八四八〇、二八三
    富士絹三二八、九八一六、六〇八、一一〇
    縮緬四八、九〇二二、五〇二、七一二
    紋天鵞絨三、二五二二八六、二二三
    四四二、七九〇一〇、九〇五、一四九
    〇 絹綿交織物
    服地八一 (反)三、〇一三 (円)
    朱子地六七、〇〇六一、一九三、九〇九
    窓掛地四、七九四 (點)五一二、三七七
    襟飾地四五、七〇二 (點)八九六、四八二
    マフラ地一五一 (點)八、七四五
    節絹一五 (反)三、〇八七
    雑種一、八八一 (點)一一、〇一一
    ネーム一七 (點)一、一七〇
    卓子掛一、七七四 (枚)七、六八一 (円)
    シール七、三八九 (點)二七四、七一〇
    雑種一、三三五 (點)一〇、七九五
    八二、三七九 (點)二、〇〇二、四八五
    ポプリン二三五 (反)三六、〇〇〇
    合計五二五、四〇四 (點)一二、九四三、六三四

    三、西陣織物同業組合豫算額及決算額累年比較表


    一、本豫算額及決算額には特別會計に屬するものを合まず
    二、金額の單位は圓を以て示し、圓以下は四捨五入とす
    三、明治三十二年度決算額及明治三十三年度より明治三十五年度に至る豫算額並に決算額は確實なる資料を缺く

    年 次歳 入
    豫算額
    歳 入
    決算額
    歳 出
    豫算額
    歳 出
    決算額
    備 考
    明治三十一年度八九九一、四七六一、一三九一、四五九
    明治三十二年度五、五一三五、五一一
    同 三十三年度
    同 三十四年度
    同 三十五年度
    同 三十六年度五、一一八三、六〇八五、一一八三、八九八
    同 三十七年度三、九七六二、四六一三、七九六三、一四〇
    同 三十八年度八、七二九九、一七三八、七二九八、三七九
    同 三十九年度一七、四〇三二四、九八〇一七、四〇三一六、一一九
    同 四十年度三三、四三八四〇、〇一七三三、四三八三一、七六三著しく増大せるは組合事務所の増築及職員機構の擴大等に因る
    同 四十一年度四九、八四〇五〇、四六六四九、八四〇四八、一八六著しく増大せるは染織試験場を建設せるに因る
    同 四十二年度二七、九八八二九、三六七二七、九八八二四、八五四
    同 四十三年度三〇、九七六三三、六八三三〇、九七六二七、八三九
    同 四十四年度三五、六三二三六、四七五三五、六三二三四、三二〇
    明治四十五年度 大正 元 年度六五、一八二六四、七七〇六五、一八二六二、六〇〇著しく増大せるは織物貯蔵場の設置其他に伴ふ組合機構の擴大に因る
    大正 二 年度七一、八三九六八、八三三七一、八三九五二、三〇四
    同 三 年度八八、一一七八四、四〇三八八、一一七七三、〇〇三著しく増大せるは組合事務所及織物館の敷地買收及事務所の新築に因る
    同 四 年度四五、二六〇四五、三六六四五、二六〇四四、二三〇後年に比し増大しあるは織物館の竣工に伴ふ各種施設の増加に因る
    同 五 年度三〇、九四一三二、二八八三〇、九四一二九、六九六
    同 六 年度三六、〇八六三九、四二八三六、〇八六三四、八三七
    同 七 年度五五、九〇二六一、三四四五五、九〇二五三、三七九著しく増大せるは市立染織試験場擴張に對する寄附金等に因る
    同 八 年度七四、二六三八五、〇四五七四、二六三六九、四一四著しく増大せるは織物消費税取扱に對する組合交付金の下附及び前年に引續き染織試験場寄附等に因る
    同 九 年度一一八、八一六一一一、七六二一一八、八一六一〇五、五一〇著しく増大せるは生絲検査所設置に伴ふ積立等に因る
    同 十 年度一八〇、五四二一七三、一三三一八〇、五四二一七〇、八三九著しく増大せるは生絲検査所用地買收に因る
    同 十一年度一七六、六九三一七一、六九四一七六、六九三一五六、〇〇三著しく増大せるは生絲検査所建物建築に因る
    同 十二年度一二八、三九一一四五、八〇八一二八、三九一一一八、九四一著しく減少せるは生絲検査所建設費用前年度を以て完了したるに因る
    同 十三年度一二九、九六八一四七、〇六五一二九、九六八一二七、〇四〇
    同 十四年度一三三、三〇〇一四九、二六三一三三、三〇〇一二九、九一四
    同 十五年度 昭和 元 年度一一八、二〇三一四三、一八六一一八、二〇三一一三、〇七八
    昭和 二 年度一五七、四四六一六七、六七五一五七、四四六一五二、五五二著しく増大せるは元組長池田育蔵氏に對する慰勞金、販路擴張費及一般人件費の増加等に因る
    同 三 年度一二一、七二五一二四、八三三一二一、七二五一一五、五一五
    同 四 年度一一八、七五七一二五、六七〇一一八、七五五一〇九、一六三
    同 五 年度一二〇、四五二一三〇、四六一一二〇、四五二一一三、三九七
    同 六 年度一四四、五八一一六五、六六九一四四、五八一一三六、九七六
    同 七 年度一七八、五九一一九〇、二六〇一七八、五九一一六四、〇七九著しく増大せるは販路擴張費の増加及各種獎勵費の増加に因る
    同 八 年度一一四、七〇八一四七、五六九一一四、七〇八一〇八、一〇六著しく減少せるは西陣尺織物工業組合設立に伴ひ本組合より着尺部を削除せる等に因る
    同 九 年度一一〇、四四八一六二、九二二一一〇、四四八一〇五、二三三
    同 十 年度二四三、八九四二五二、一〇二二四三、八九四二三六、六〇七著しく増大せるは組合事務所の改築に因る
    同 十一年度一四八、二一九一六七、三九二一四八、二一九一三六、七二七
    同 十二年度一七〇、八五七一九一、〇五八一三五、五五〇一二四、七八七
  • 西陣織物同業組合沿革史(8)

    西陣織物同業組合沿革史(8)

    第六章 組合會

    第七十七條 本組合ニ組合會ヲ置ク

    組合會ハ代議員ヲ以テ之ヲ組織ス

    第七十八條 組合會ノ議決スヘキ事件ノ概目左ノ如シ

    一、定款ノ變更及規則若クハ諸規程ノ設定又ハ改廢スルコト

    二、經費徴收方法ヲ定ムルコト

    三、歳入歳出豫算ヲ定ムルコト

    四、決算報告ヲ認定スルコト

    五、不動産ノ管理及處分竝取得ニ關スルコト

    六、基本財産及積立金ノ設置及管理竝處分ニ關スルコト

    七、歳入歳出豫算ヲ以テ定ムルモノヲ除クノ外新ニ義務ノ負擔ヲ爲シ及權利ノ抛棄ヲ爲スコト

    八、組合ノ重要事件ニ付行政廳ヨリノ諮問ニ對スル答申ニ關スルコト

    九、定款及規則其他ノ規程ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事項

    十、前各號ノ外組長ニ於テ重要ナリト認ムル事項

    第七十九條 組合會ハ其ノ權限ニ屬スル事項ノ一部ヲ評議員會ニ委任スルコトヲ得但シ定款ノ變更竝組合ノ解散ニ關スル事項ニ付テハ此ノ限ニ在ラス

    第八十條 組合會ハ本定款及規則其他ノ規程ニ依リ其ノ權限ニ屬スル選舉ヲ行フヘシ

    前項ノ規定ニ依ル選舉ハ一人毎ニ無記名投票ニ依リ之ヲ行ヒ有效投票ノ過半數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス過半數ヲ得タル者ナキトキハ最多數ヲ得タル者二人ヲ取り之ニ就キ決選投票ヲ行ヒ其ノ多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス

    前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當り得票同數ナルトキハ第六十八條第二項ノ規定ヲ準用シテ當選者ヲ定ムヘシ

    第八十一條 前條ノ選舉ニ付テハ組合會ノ議決ヲ以テ指名推薦又ハ連記無記名投票ノ方法ヲ用フルコトヲ得

    連記投票ヲ行フ場合ニ於テ其ノ記載ノ人員選舉スヘキ定數ヲ超エタルトキハ其ノ投票ハ無效トシ左ノ各號一ニ該當シタルモノハ其ノ部分ノミ之ヲ無效トス

    一、被選舉人ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ

    二、被選舉權ナキ者ノ氏名又ハ名稱ヲ記載シタルモノ但シ第三十條第一項但書ノ規定ニ依ルモノハ此ノ限ニ在ラス

    連記投票ヲ行ヒタル場合ニ於テ過半數ノ投票ヲ得タル者選舉スヘキ定數ヲ超ユルトキハ最多數ヲ得タルモノヨリ順次選舉スヘキ定數ニ至ル迄ノ者ヲ以テ當選者トス

    前條第三項ノ規定ハ本條ニ之ヲ適用ス

    第八十二條 組合會ハ代議員中ヨリ委員ヲ選舉シ其ノ權限ニ依リ議決スヘキ事件ニ付調査セシムルコトヲ得

    第八十三條 組合會ハ代議員中ヨリ議長及副議長一人ヲ選舉スヘシ

    議長及副議長ノ任期ハ代議員ノ任期ニ依ル

    第八十四條 議長故障アルトキハ副議長之ニ代ハリ議長及副議長共ニ故障アルトキハ年長代議員議長ノ職務ヲ代理ス年齢同シキトキハ抽籤ヲ以テ之ヲ定ム

    第八十五條 組合會ハ組長之ヲ招集ス

    代議員定數ノ五分ノ一以上ヨリ会議ノ目的タル事項及其ノ事由ヲ示シテ組合會招集ヲ請求シタルトキハ組長ハ七日以内ニ之ヲ招集スヘシ評議員會カ第百條第二號ノ規定ニ依リ報告スルタメ組合會招集ヲ請求シタルトキ亦同シ

    第八十六條 組合會ノ招集及會議ノ事件ハ開會ノ日前三日目迄ニ之ヲ告知スヘシ但シ急施ヲ要スル場合ハ此ノ限ニ在ラス

    組合會開會中急施ヲ要スル事件アルトキハ組長ハ直ニ之ヲ其ノ會議ニ付スルコトヲ得

    前項ノ規定ニ依リ告知ヲ爲シタル事件ニ付亦同シ

    第八十七條 組合會ハ組長之ヲ開閉ス

    第八十八條 組合會ハ代議員定數ノ半數以上出席スルニ非サレハ會議ヲ開クコトヲ得ス

    第八十九條 組合會ノ議事ハ出席シタル代議員ノ過半數ヲ以テ之ヲ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル但シ定款ノ變更及組合ノ解散ニ關シテハ第二十一章ノ規定ニ依リ之ヲ決スヘシ

    議長ハ其ノ職務ヲ行フ場合ニ於テモ之カ爲議員トシテ議決ニ加ハル權ヲ失ハス

    第九十條 役員及組長ノ委任又ハ囑託ヲ受ケタル者ハ會議ニ出席シテ議事ニ參與スルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ス

    前項ノ出席者發言ヲ求ムルトキハ議長ハ直ニ之ヲ許スヘシ但シ之カ爲代議員ノ演説ヲ中止セシムルコトヲ得ス

    第九十一條 議長ハ會議ヲ總理シ會議ノ順序ヲ定メ其ノ日ノ會議ヲ開閉シ議場ノ秩序ヲ保持スヘシ

    第九十二條 組合會ノ會議ハ公開ス但シ左ノ場合ハ此ノ限ニ在ラス

    一、組長ヨリ傍聽禁止ノ要求アリタルトキ

    二、議長ニ於テ傍聽禁止ノ必要アリト認ムルトキ

    三、代議員ノ發議ニ依リ傍聽禁止ヲ可決シタルトキ

    第九十三條 代議員ハ會議中無禮ノ語ヲ用ヒ又ハ他人ノ身上ニ渉リ言論スルコトヲ得ス

    第九十四條 會議中定款又ハ會議規則ニ違反シ其ノ他議場ノ秩序ヲ紊ス代議員アルトキハ議長ハ之ヲ制止シ又ハ發言ヲ取消サシメ若クハ發言ヲ禁止シ又ハ議場外ニ退去ヲ命スルコトヲ得

    議場騷擾ニシテ整理シ難キトキハ議長ハ其ノ日ノ會議ヲ中止シ又ハ之ヲ閉ヅルコトヲ得

    第九十五條 代議員ハ組合會ニ缺席セントスルトキハ豫メ其ノ旨書面ヲ以テ議長ニ届出スルコトヲ要ス

    第九十六條 傍聽人ハ公然可否ヲ表シ又ハ喧騒ニ渉リ其ノ他會議ノ妨害ヲ爲ストキハ議長ハ之ヲ制止シ命ニ從ハサルトキハ之ヲ退場セシムヘシ傍聽席騷擾ナルトキハ總テノ傍聽人ニ對シ亦同シ

    第九十七條 議長ハ會議録ヲ調製シ會議ノ顛末及出席代議員ノ氏名ヲ記載シ議長及出席代議員二人以上之ニ署名捺印スヘシ

    前項ノ規定ニ依リ署名スヘキ代議員ハ議長之ヲ指名スヘシ

    議長ハ會議録ヲ添ヘ會議ノ結果ヲ組長ニ報告スヘシ

    第九十八條 組合會ハ會議規則ヲ設クヘシ

    第七章 評議員會

    第九十九條 本組合ニ評議員會ヲ置ク
    評議員會ハ評議員ヲ以テ之ヲ組織ス

    第百條 評議員會ノ職務權限左ノ如シ

    一、組長ヨリ組合會ニ提出スル議案ヲ審査シ意見ヲ述フルコト
    二、組合ノ財産及業務ノ狀況ヲ監査シ毎年一回以上之ヲ組合會ニ報告スルコト
    三、組長ノ諮問ニ應スルコト
    四、本定款及規則其他ノ規程ニ依リ其ノ權限ニ屬スル事項
    五、組合會ノ權限ニ屬スル事件ニシテ其ノ委任ヲ受ケタル事項ヲ議決スルコト
    六、其ノ他組長ニ於テ必要アリト認ムル事項ニ付審議スルコト

    第百一條 評議員會ハ評議員中ヨリ議長及副議長一名ヲ選舉スヘシ
    議長及副議長ノ任期ハ評議員ノ任期ニ依ル

    第百二條 評議員會ハ公開セス但シ組長又ハ議長ニ於テ公開ノ必要ヲ認メタルトキハ會議ノ同意ヲ得テ之ヲ公開スルコトアルヘシ

    第百三條 第八十二條、第八十五條乃至第九十條ノ規定ハ評議員會ニ之ヲ準用ス

    第八十四條ノ規定ハ評議員會ノ議長副議長故障ノ場合ニ之ヲ準用ス

    第九十三條乃至第九十五條ノ規定ハ評議員會ニ之ヲ準用ス

    第八章 職員

    第百四條 本組合ノ事務ヲ處理セシムル爲左ノ職員ヲ置ク

    一、理事 一人
    二、主事、技師、書記、技手及巡視 各若干人

    理事ハ評議員會ノ諮問ヲ經テ組長之ヲ任免ス
    主事以下ノ職員ハ理事ノ推薦又ハ申請ニ依リ組長之ヲ任免ス
    職員ノ給料ハ評議員會ノ諮問ヲ經テ組長之ヲ定ム

    第百五條 理事ハ主事以下ノ職員ヲ指揮監督シ組合事務ヲ總理ス
    主事以下ノ事務分掌ハ理事之ヲ定ムヘシ

    第百六條 在職一年以上ノ職員ニシテ退職シタルトキハ左ノ退職給與金ヲ支給ス

    一、退職當時ノ給料一箇月分ニ相當スル金額ニ其ノ勤續年數ヲ乘シタル金額

    第九章 部制

    第百七條 本組合ハ第一種組合員ノ業態ヲ其ノ種類ニ依リ左ノ六部ニ分チ第四條ノ目的ヲ達成スル爲其ノ部ニ關スル利害ヲ調査研究シ必要ナル業務ヲ行ハシムルモノトス

    部名業態ノ種類
    一、帶地部帶地、肩裏地、帛紗地類ノ織物業
    二、金襴部金襴、袈裟地、法衣地、式衣地、漢東緞子、表具地類ノ織物業
    三、天鵞絨部天鵞絨、別珍類ノ織物業
    四、新興輸出部前三部ニ屬セサル織物業
    五、買繼部買繼業
    六、紋樣、筬部紋樣業及筬業

    組合員ニシテ前項ノ二部以上ノ業ヲ兼ヌル者ハ各其ノ部ニ加入スルコトヲ要ス

    第百八條 部ニ部長一人副部長若干人ヲ置ク

    部長及副部長ハ部委員會ニ於テ部委員ノ選舉權ヲ有スル部員中ヨリ之ヲ選舉ス
    部長及副部長ハ名譽職トス
    部長及副部長ノ任期ハ四年トシ就職ノ日ヨリ之ヲ起算ス
    部長及副部長ノ任期滿了ノ場合ニ於テハ其ノ後任者就職スルニ至ル迄ハ仍其ノ職務ヲ行フモノトス

    第百九條 部長副部長ノ選擧ハ役員選擧ノ例ニ依リ之ヲ行フ

    第百十條 部長及副部長ノ職務權限左ノ如シ

    一、部長ハ部ヲ代表シ部ノ事務ヲ總理ス
    二、副部長ハ部長ヲ補佐シ部長故障アルトキハ年長者之ヲ代理ス

    第百十一條 部ニ於テ必要アルトキハ部委員ノ合議ニ依リ相談役若干人ヲ置ク
    相談役ハ名譽職トシ其ノ任期ハ四年トス
    相談役ハ部長ノ諮問ニ應シ又ハ部委員會ニ出席シ意見ヲ述フルコトヲ得但シ議決ニ加ハルコトヲ得ス

    第百十二條 部ニ部委員ヲ置ク

    部委員會ハ部委員ヲ以テ之ヲ組織ス
    部委員ハ名譽職トス
    部委員ノ定數ハ九人以上トシ其ノ部ニ屬スル業者ヨリ出ツル代議員ヲ以テ之ニ充ツ但シ其ノ代議員九人未滿ノ部ニ在リテハ九人ニ達スル迄ノ不足員數ハ之ヲ選擧ス

    部委員ノ任期左ノ如シ
    一、代議員ヲ以テ充テタルモノハ代議員ノ任期ニ依ル
    二、選擧ニ依リ當選シタルモノハ四年トシ選擧ノ日ヨリ之ヲ起算ス

    第百十三條 部委員ノ選擧權竝被選擧權ニ付テハ第四十二條竝第四十九條ノ規定ヲ準用ス
    二部以上ヲ兼ヌル部員ノ納ムル組合經費ハ之ヲ各部毎ニ計算シテ前項ノ規定ヲ適用ス
    部員ノ部ニ加入シタル期間ノ計算ニ付テハ組合ニ加入届出ヲ爲シタル日ヲ以テ關係部ニ加入シタルモノト看做ス

    第百十三條ノ二 部員ハ部委員ノ總選擧ヲ行フ年ノ八月一日現在ニ依リ其ノ年ノ九月三十日迄ニ所属部(二部以上ヲ兼ヌル者ハ各別ニ)ヲ書面ヲ以テ組長ニ之ヲ申告スヘシ

    前項ノ期間内ニ申告ヲ爲ササル者又ハ其ノ申告不相當ト認ムルトキハ組長ハ任意ニ其ノ者ノ所属部ヲ定ムヘシ此ノ場合ニ於テ組長ノ定メタル所属部ニ付テハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス但シ部委員選擧人名簿縱覽期間中ハ此ノ限ニ在ラス

    第一項ノ期間内ニ其ノ申告ヲ爲ササル者ハ部委員ノ選擧人名簿ニ登載セラレサルコトアルモ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス
    前項但書ノ規定ハ之ヲ本項ニ適用ス

    第百十四條 第百十二條ノ規定ニ依リ選擧スヘキ部委員ハ所属部員中被選擧權アル者ニ付キ選擧權ヲ有スル部員之ヲ選擧スヘシ

    第百十五條 部委員ハ級別選擧ヲ行ハス

    部委員選擧人名簿ハ代議員選擧人名簿調製ノ例ニ從ヒ各部毎ニ組長之ヲ調製スヘシ
    部委員ノ選擧ハ組長之ヲ選擧長トス

    第百十六條 第七十四條第一項第一號乃至第四號ノ規定ハ部長及副部長ニ同條第一項第一號乃至第五號ノ規定ハ部委員ニ之ヲ準用ス
    此ノ場合ニ於ケル被選擧權ノ有無ニ付テハ部委員會ニ於テ之ヲ決定スヘシ

    第百十七條 部ノ經費ハ組合ヨリノ交付金ヲ以テ之ヲ支辨ス但シ販路擴張竝宣傳ニ關スル特別ノ經費ヲ要スル部ニ在リテハ當該部員總數ノ半數以上ノ同意ヲ得部委員會ノ議決ヲ以テ所要經費ノ交付ヲ組合ニ請求スル場合ハ組長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ組合會ノ議決ヲ經テ別ニ其ノ經費徵收方法ヲ定メ該經費ヲ徵收スルコトヲ得

    前項但書ノ規定ニ依リ徵收シタル經費ハ之ヲ其ノ部ニ交付スヘシ

    第百十八條 部委員會ノ職務權限左ノ如シ

    一、其ノ部ニ屬スル諸般ノ事項ヲ調査研究スルルコト
    二、其ノ部ニ關スル必要ナル諸規程ヲ設ケ又ハ改廢スルルコト
    三、其ノ部ニ關スル歳入歳出豫算ヲ定ムルコト
    四、其ノ部ノ決算報告ヲ認定スルルコト
    五、積立金ノ設置及管理竝處分ニ關スルルコト
    六、組長ノ諮問ニ答申スルルコト
    七、組長、組合會、評議員會ニ建議スルルコト
    八、前各號ノ外部長ニ於テ重要ナリト認ムル事項ヲ審議スルルコト

    第百十九條 部委員會ハ部長ニ於テ必要アリト認メタルトキ又ハ部委員定數ノ三分ノ一以上ヨリ會議ノ目的タル事項及其ノ招集ノ事由ヲ示シテ招集ヲ請求シタルトキ部長之ヲ招集ス

    第百二十條 部委員會ハ部委員中ヨリ委員長及副委員長一人ヲ選擧スヘシ

    委員長及副委員長ノ任期ハ部委員ノ任期ニ依ル
    第八十四條ノ規定ハ委員長又ハ副委員長ニ故障アル場合若クハ委員長及副委員長共ニ故障アル場合ニ之ヲ準用ス

    第百二十一條 部委員會ノ會議及議事ニ付テハ組合會ノ會議及議事ニ關スル規定ヲ準用ス

    第百二十二條 部長ハ部員ノ權利義務ニ關スル重要事件ト認ムルトキハ部員總會ヲ開クコトヲ得
    部員總會ハ部長ヲ以テ會長トス
    部員總會ハ部員出席者ノ三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ可否ヲ決ス

    第百二十三條 部長ハ部委員會又ハ部員總會ニ附議スル事件ハ書面ヲ以テ豫メ組長ニ之ヲ届出ツヘシ其ノ會議終了シタルトキハ其ノ經過ト結果ヲ書面ヲ以テ直ニ組長ニ報告スヘシ

    第百二十四條 部員ハ所属部委員會又ハ部員總會ノ議決ニ服從スル義務ヲ負フ

    第百二十五條 左ニ揭クル事件ハ組長ノ認可ヲ受クルニ非サレハ部長ハ之ヲ執行スルコトヲ得ス
    一、諸規程ノ設定又ハ改廢
    二、部員ノ權利義務ニ關スル事項
    三、部歳入歳出豫算
    四、積立金ノ管理方法及其ノ處分

    第百二十六條 部長及副部長ハ組長ノ認可ヲ受クルニ非サレハ就職スルコトヲ得ス

    第百二十七條 部長ハ部委員會ニ於テ決算ヲ認定シタルトキハ遲滯ナク組長ノ承認ヲ受クヘシ

    第百二十八條 組長ニ於テ前三條ノ規定ニ依リ認可又ハ承認セントスルトキハ豫メ評議員會ノ議ニ付其ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

    第百二十九條 第十九章ノ規定ハ部ノ會計ニ之ヲ準用ス但シ第二百七條ノ議決ノ時期及第二百十三條ノ規定ハ此ノ限ニ在ラス

    第百三十條 第十九章ノ規定準用ニ付テハ組合會トアルハ部委員會トシ組長トアルハ部長トス

    組長又ハ組長ノ委任若クハ其ノ命ヲ受ケタル者ハ部ノ會計ニ付檢査スルコトヲ得

    前項ノ規定ニ依ル檢査ニ付テハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス

    第百三十一條 組長ハ部ノ諸規程及部委員會竝部員總會ノ議決ニシテ其ノ權限ヲ超エ若クハ法令又ハ本定款及規則其他ノ關係規程ニ違反シタルトキ及公益ヲ害シ若クハ組合ノ目的ヲ遂行スルニ不適當又ハ部員ノ利益ナリト認ムルトキハ評議員會ノ議決ヲ經テ其ノ取消又ハ變更ヲ命シ若クハ再議ニ付セシメ其ノ他必要ナル處分ヲ爲スコトヲ得

    第百三十二條 前條ノ規定ニ依リ組長ノ爲シタル處分ニ對シ不服アルトキハ其ノ處分ヲ爲シタル日ヨリ三十日以内ニ組合會ニ之ヲ申立ツルコトヲ得

    第百三十三條 前條ノ申立ニ對シ組合會ノ爲シタル議決ニ付テハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第十章 顧問及商議員

    第百三十四條 本組合ニ顧問及名譽商議員若干人ヲ置ク

    第百三十五條 顧問及名譽商議員ハ組合會ノ議決ニ依リ組長之ヲ囑託ス

    顧問及名譽商議員ノ任期ハ二年トス

    第百三十六條 顧問及名譽商議員ハ組合會又ハ組長ノ諮問ニ應シ意見ヲ述フルモノトス

    第百三十七條 顧問及名譽商議員ニハ報酬ヲ贈與セサルモノトス但シ特ニ囑託シタル事項ニ對シテハ此ノ限ニ在ラス

    第十一章 團體標章

    第百三十八條 本組合ハ組合員營業上ノ共同利益ヲ増進スル爲團體標章ヲ設定ス

    第百三十九條 本組合ノ團體標章ハ昭和三年八月二十五日特許局ニ於テ登録ヲ受ケタル左ノ標章トス

    標章登録一覧

    区分登録番号使用対象
    一、團體標章登録第二〇一、一二〇號絹織物ニ使用スルモノ
    二、團體標章登録第二〇一、一二四號木綿織物ニ使用スルモノ
    三、團體標章登録第二〇一、一二二號毛織物ニ使用スルモノ
    四、團體標章登録第二〇一、一二一號麻織物ニ使用スルモノ
    五、團體標章登録第二〇一、一二三號第一乃至第四ニ屬ササル織物ニ使用スルモノ

    第百四十條 組合員ハ本組合ノ地域内ニ於テ製造シタル織物ノ生産地表示ニハ前條ノ登録團體標章ヲ使用スヘシ其ノ織物ノ品質表示ヲ爲サントスルトキ亦同シ

    第百四十一条 本組合ノ登録團體標章ハ證紙ニ依リ之ヲ使用セシム但シ證紙ニ依リ難キモノハ印章ニ依リ其ノ使用セシムルコトヲ得

    第百四十二條 登録團體標章權ノ侵害ニ依リ組合員ニ損害アリタルトキハ其ノ損害額及補填方法ハ評議員會ノ議決ヲ經テ組長之ヲ定ム

    第十二章 證紙印章及織物生産地竝品質證明

    第百四十三條 本組合ハ組合員ニ織物ノ生産地又ハ品質證明ニ使用セシムル爲證紙ヲ發行シ及印章ヲ調製スルモノトス

    第百四十四條 前條ノ規定ニ依リ發行及調製スル證紙竝ニ印章ハ左ノ二種トス

    第一種(生産地ノ證明ニ使用スル證紙及印章)

    種類形状・文言備考
    (紙證)図案中央に標章、周囲に「京都府西陣織物同業組合」「西陣製品」朱色
    (章印)図案中央に標章、周囲に「京都府西陣織物同業組合」「西陣製品」朱色

    第二種(品質證明ニ使用スル證紙及印章)

    対象織物形式指定色
    一、絹織物ニ使用スルモノ(紙證)・(章印)金色
    二、木綿織物ニ使用スルモノ(紙證)・(章印)紫色
    三、毛織物ニ使用スルモノ(紙證)・(章印)緑色
    四、麻織物ニ使用スルモノ(紙證)・(章印)藍色
    五、其他ノ織物ニ使用スルモノ(紙證)・(章印)黄色

    第百四十五條 證紙又ハ印章ハ左ノ方法ニ依リ之ヲ使用スヘシ 一、證紙ハ組合員ニ於テ織物ニ之ヲ貼付シ組合(織物貯藏場)ニ就テ其ノ契印ヲ受クヘシ 二、印章ハ組合(織物貯藏場)ニ就テ織物ニ其ノ押捺ヲ受クヘシ

    第百四十六條 組合員ハ本組合ノ地區内ニ於テ製造シタル織物ニ付テハ其ノ生産地(西陣製品)ノ證明ヲ爲スコトヲ要ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スルモノニ對シテハ之ヲ爲サヽルコトヲ得 一、幅二寸(曲尺)以下ノ織物 二、モール肩掛地 三、織物消費税ヲ免除又ハ之ヲ課税セラレサル織物

    前項ノ規定ニ依リ證明ヲ要スル織物ニシテ其ノ證明ナキモノハ之ヲ販賣シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ搬出スルコトヲ得ス

    第一項ノ規定ニ依リ證明ヲ要スル織物中疵物又ハ尺幅不足物ニハ所定ノ證明ノ外「不合格」ノ印章ヲ押捺ス但シ織物ノ規格竝檢査ニ關スル規則ヲ設ケタルトキハ其ノ規定ニ従フモノトス 織物規格及檢査規則ノ定ムル所ニ依リ檢査成績又ハ製造者ノ氏名若クハ商標其他ノ符號ヲ表示シタル織物ニ付テハ第一項ノ規定ニ依ル生産地(西陣製品)ノ證明ヲ爲ササルコトヲ得

    第百四十七條 組合員ハ前條ノ織物ニ付其ノ品質證明ヲ爲スコトヲ得

    第百四十八條 第百四十七條ニ規定スル部ハ部委員會ノ議決ヲ經テ第百四十六條ノ織物ニ付其ノ部ニ屬スル製品ニ限リ之カ品質證明ヲ爲スコトヲ得但シ前條ノ規定ニ依リ組合員自ラ其ノ證明ヲ爲スモノニ付テハ此ノ限ニ在ラス
    前項ノ規定ニ依リ證明ヲ爲サントスル部ハ豫メ組長ノ認可ヲ受クヘシ 組長ニ於テ前項ノ規定ニ依リ認可セントスルトキハ豫メ評議員會ノ議ニ付其ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス

    第百四十九條 前三條ノ規定ニ依ル證明ハ本章ニ定ムル證紙又ハ印章ニ依リ之ヲ爲スヘシ

    第百五十條 品質ヲ證明スル織物ニ對シテハ第百四十六條ノ規定ニアルニ拘ラス生産地ノ證明ハ之ヲ要セス

    第百五十一條 組合員ハ第百四十六條ノ織物ニ該當セサルモノニハ本章ニ定ムル證紙又ハ印章ヲ使用スルコトヲ得ス織物ノ品質ニ相當セサル證紙又ハ印章ニ付亦同シ

    第百五十二條 第百四十五條ノ規定ニ依リ契印ヲ受ケタル證紙ハ故意ニ之ヲ汚染毀損又ハ剥取スルコトヲ得ス
    第百四十五條又ハ第百四十六條第三項ノ規定ニ依リ契印ヲ受ケタル證紙ハ故意ニ之ヲ汚染シ又ハ消滅セシムルコトヲ得ス

    第百五十三條 概算ヲ以テ證紙ノ前渡シヲ受ケタル組合員ハ帳簿ヲ設ケ其ノ出納ヲ明カニスヘシ
    前渡ヲナシタル證紙ノ出納不正確ナル場合ニ於テ計算上不足ヲ生シタルトキハ其ノ不足數量ハ之ヲ賣却又ハ贈與シタルモノト看做ス此ノ場合ニ於テハ第二百二十二條第三號ノ規定ヲ適用ス

    第百五十四條 組合員ハ證紙ヲ賣買贈與其ノ他貸借等ヲ爲スコトヲ得ス

    第百五十五條 組合員ニ於テ品質ヲ證明スル織物ニハ其ノ證明者ノ氏名ヲ表示シタル符標ヲ付スルコトヲ要ス
    品質ヲ證明スル織物ニシテ前項ノ符標ヲ付ササルモノハ之ヲ販賣シ又ハ販賣ノ目的ヲ以テ搬出スルコトヲ得ス
    第一項ノ規定ニ依ル符標ニ氏名ハ自己ノ營業ニ専用スル商標又ハ商號ヲ以テ之ニ代用スルコトヲ得

    第百五十六條 前條第三項ノ規定ニ依リ商標又ハ商號ヲ使用セントスル者ハ其ノ商標又ハ商號ヲ豫メ組長ニ届出テ之カ占用ノ登録ヲ受クヘシ但シ商標法ニ依リ登録ヲ受ケタル商標又ハ商法ニ依リ登記シタル商號ナルトキハ本條ノ登録ハ之ヲ要セス

    第百五十七條 前條ノ規定ニ依リ登録シタルトキハ其ノ届出人ニ對シ登録番號ヲ通知スルモノトス 組合ノ登録番號ハ前條符標ニ之ヲ表示スルコトヲ要ス

    第百五十八條 第百五十六條ノ規定ニ依リ登録シタルモノト雖其ノ商標又ハ商號カ他人ノ既得ノ權利ニ屬スルモノナルコトヲ發見シタルトキハ組長ハ其ノ登録ヲ取消スヘシ 前項ノ規定ニ依リ組長ノ爲シタル取消ニ付テハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第百五十九條 第百四十八條ノ規定ニ依リ部ニ於テ品質ヲ證明スル織物ニハ其ノ部名ヲ表示シタル符標ヲ付スルコトヲ要ス

    第百六十條 組長ハ證紙又ハ印章使用ノ正確ヲ期スル爲組合ニ監視員ヲ置ク

    第百六十一條 組合員ハ證紙又ハ印章使用ニ關スル監視員ノ檢査ヲ拒ムコトヲ得ス

    第百六十二條 監視員ニ於テ證紙又ハ印章ヲ不正ニ使用シタル事實ヲ發見シタルトキハ組長ハ其ノ證紙又ハ印章ヲ使用シタル織物ノ販賣ヲ一時中止ヲ命シ若クハ領置スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ組合員ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス

    第百六十三條 本章ノ規定ニ違反シテ證紙又ハ印章ヲ使用シタル者ニ對シテハ其ノ事由ノ如何ヲ問ハス故意ニ之ヲ爲シタルモノト看做ス第百五十五條ノ規定ニ依ル符標ヲ付セサル者ニ付亦同シ

    第百六十四條 本章ノ規定施行ニ關シ必要アルトキハ評議員會ノ議決ヲ經テ組長別ニ其ノ細則ヲ設クルコトヲ得

    第十三章 製品檢査

    第百六十五條 本組合ハ組合員ノ製造スル織物ノ全部又ハ一部ニ付尺幅其ノ他必要ナル規格ヲ定ムヘシ

    第百六十六條 前條ノ規定ニ依リ規格ヲ定メタル織物ハ本組合ニ於テ其ノ檢査ヲ爲スヘシ 組合員ハ前項ノ檢査ヲ拒ムコトヲ得ス但シ本組合員ヲ以テ組織スル工業組合ニ於テ檢査スル織物ニ就テハ此ノ限ニ在ラス

    第百六十七條 前條ノ規定ニ依ル規格又ハ檢査ノ施行ニ關スル事項ハ規則ヲ設ケ之ヲ規定スヘシ
    前項ノ規則ハ組合會ノ議決ヲ經テ之ヲ定ム
    規格違反ノ織物ヲ製造シタル組合員ニ對スル制裁竝檢査方法、檢査員ノ資格、選任、解任、給與、服務紀律及懲戒其ノ他必要ナル事項ハ第一項ノ規則中ニ之ヲ規定スヘシ

    第百六十八條 前條ノ規則ハ監督官廳ノ認可ヲ得ルニ非サレハ之ヲ施行スルコトヲ得ス其ノ改正ヲ爲シタルトキ亦同シ

    第百六十九條 組合ニ於テ爲シタル規格違反ノ處分ニ對シ組合員ニ損害ヲ生スルコトアルモ本組合ハ其ノ損害ノ責ニ任セサルモノトス

    第十四章 製品販賣

    第百六十九條ノ二 組合員ノ製造シタル織物ハ買繼業者ヲ經ルニ非サレハ之ヲ販賣スルコトヲ得ス但シ特殊ノ織物又ハ特別ノ事由アルモノニシテ買繼制度施行規程ノ定ムル所ニ依リ組長ノ承認ヲ受ケタルモノハ此ノ限ニ在ラス

    第百六十九條ノ三 買繼業者ハ組長ノ指定シタル地區内ニ於テ其ノ營業店舗ヲ設クヘシ 前項店舗ニ於テハ本組合員ノ製造シタル織物以外ノ買繼營業ヲ爲スコトヲ得ス

    第百六十九條ノ四 買繼業者ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル織物ニ付テハ其ノ販賣ノ斡旋ヲ爲スコトヲ得ス 一、定款ノ規定ニ依リ生産地(西陣製品)ノ證明ヲ爲スヘキ織物ニシテ其ノ證明ナキモノ 二、定款竝織物規格及檢査規則ニ依リ檢査ヲ受クヘキ織物ニシテ檢査成績ノ表示ナキモノ但シ織物規格及檢査規則ノ定ムル所ニ依リ製造者自カラ證明スル織物ニ表示シタル標紙又ハ印章ハ之ヲ檢査成績ト看做ス

    第百六十九條ノ五 買繼業者ハ買繼制度施行規程ノ定ムル所ニ依リ組合ニ保証金ヲ納ムル義務ヲ負フモノトス

    第百六十九條ノ六 織物業者ハ織物ノ販賣ニ付テハ従来ノ慣例ニ依ル歩引、敷引其他ノ値引ハ之ヲ爲スコトヲ得ス但シ組長ノ定ムル商品掛費ヲ負擔スルコトヲ妨ケス 買繼業者ハ織物業者ニ對シ前項ノ値引ヲ勸説シ又ハ強請シ若クハ之カ値引ヲ條件トシテ販賣ノ斡旋ヲ爲スコトヲ得ス

    第百六十九條ノ七 組合員ハ本章ノ規定又ハ買繼制度施行規程其ノ他組長ノ定メタル事項ニ違反シテ織物ノ販賣代金ヲ授受スルコトヲ得ス

    第百六十九條ノ八 織物業者ハ買繼業者ヲ經テ織物ノ販賣ヲ爲シタルトキハ直ニ其ノ買繼業者ニ對シ買繼制度施行規程ノ定ムル所ニ依リ手数料ヲ支拂フヘシ

    第百六十九條ノ九 買繼業者ハ自己ノ斡旋ニ依リテ販賣シタル織物ノ代金ハ其ノ賣渡シタル織物業者ニ對シ買繼制度施行規程ノ定ムル所ニ依リ直ニ之カ支拂ノ責ニ任スルモノトス

    第百六十九條ノ十 買繼業者ハ其ノ營業ニ關シ組長ノ定ムル所ニ従ヒ帳簿ヲ設クヘシ 組長ニ於テ必要アリト認ムルトキハ組合ノ職員ヲシテ前項ノ帳簿ヲ檢査セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ正當ノ事由ナクシテ之ヲ拒ムコトヲ得ス

    第百六十九條ノ十一 買繼業者ハ自己ノ取扱ヒタル織物ノ種類、品名、數量、價格其ノ他必要ナル事項ヲ詳記シタル書面ヲ以テ組長ニ之ヲ報告スヘシ

    第百六十九條ノ十二 買繼業者指定ニ關スル事項其ノ他本章ノ規定施行ニ關シ必要ナル事項ハ評議員會ノ議決ヲ經テ組長別ニ之ヲ定ムヘシ

    第百六十九條ノ十三 本章ノ規定又ハ買繼制度施行規程ニ違反シタル買繼業者ニ對シテハ組長ハ評議員會ノ議ヲ經テ買繼業者ノ指定ヲ取消スコトヲ得
    第百六十九條ノ十五ノ規定ニ依ル義務ヲ履行セサル買繼業者ニ對シテハ組長ハ評議員會ノ議決ヲ經テ其ノ義務ヲ履行スル迄織物販賣ノ斡旋停止ノ處分ヲ爲スヘシ
    前項ノ規定ニ依リ停止處分ヲ受ケタル後尙織物販賣ノ斡旋ヲ爲シタル買繼業者ニ對シテハ第一項ノ規定ヲ準用ス

    第百六十九條ノ十四 本章ノ規定又ハ買繼制度施行規程ニ違反シ其ノ處分ヲ受ケタル買繼業者ニ對シテハ織物販賣ノ斡旋ヲ爲サシムルコトヲ得ス

    第十五章 新規考案及工業權ノ保護獎勵

    第百七十條 組合員ニシテ新ニ織物又ハ織物ノ製造ニ關スル考案ヲ爲シ斯業ニ裨益アルモノト認ムルトキハ審査ノ上組合ニ登録シテ其ノ占用ヲ爲サシムルモノトス 前項登録ノ有效期間ハ登録告示ノ日ヨリ二年トス

    第百七十一條 前條ノ規定ニ依リ登録ヲ受ケントスル者ハ其ノ考案シタルモノノ名稱、登録ノ範圍、用法ノ他必要ナル事項ヲ詳記シタル書面ニ標本ヲ添ヘ組長ニ之ヲ申請スヘシ
    登録申請人ハ其ノ申請ノ際手数料二十圓ヲ組合ニ納付スヘシ

    第百七十二條 登録ノ申請アリタルトキハ組長ハ其ノ要領ヲ五日以上告示シタル後五人乃至十一人ノ審査員ヲ選ヒ其ノ審査會ノ審査ニ付スヘシ
    審査會ニ於テ登録スヘキモノト決定シタルトキハ組長ハ直ニ之ヲ登録シ其ノ要領ヲ告示スヘシ

    第百七十三條 登録ヲ受ケタル者ハ適宜ノ方法ニ依リ該製品ニ其ノ旨表示スヘシ

    第百七十四條 第百七十條ノ規定ニ依リ組合ニ於テ登録シタル考案ハ其ノ占用權ヲ有スル者ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ組合員ハ之ヲ應用スルコトヲ得ス

    第百七十五條 他人ノ申請ニ係ル登録取消ショ請求セントスル者ハ登録告示ノ日ヨリ六十日以内ニ其ノ事由ヲ詳記シタル書面ニ取消シノ原因ト爲スヘキ資料ヲ添ヘ之ヲ組長ニ申請スヘシ

    第百七十一條第二項ノ規定ハ前項申請ノ場合ニ之ヲ準用ス但シ其ノ手数料ハ登録ノ取消ショ爲ササル場合ト雖モ之ヲ還付セス

    第百七十六條 登録取消シノ申請アリタルトキハ組長ハ七人乃至十三人ノ審査員ヲ選ヒ其ノ審査會ノ審査ニ付スヘシ
    審査會ニ於テ登録ノ取消ショ爲スヘキモノト決定シタルトキハ組長ハ直ニ其ノ旨告示シ且ツ關係者ニ之ヲ通知スヘシ

    第百七十七條 第百七十二條及前條ノ規定ニ依ル審査員ハ評議員會ノ諮問ヲ經テ組長之ヲ選定スヘシ

    第百七十八條 本組合ハ特許法、意匠法、實用新案法及商標上ノ權利取得ト奬勵竝其ノ既得ノ權利ヲ保護スル爲調査會ヲ常設ス
    前項ノ調査會ハ委員ヲ以テ之ヲ組織ス

    第百七十九條 第百七十二條及第百七十六條ノ審査會竝前條ノ調査會ニ關スル規程ハ別ニ定ムル所ニ依ル

    第十六章 賃織及從業者

    第百八十條 本章及第十七章ノ規定ニ於テ賃織業者ト稱スルハ自己ノ工場ニ於テ機主ヨリ原料及器械類又ハ原料ノミノ交付ヲ受ケ賃金ヲ得テ織物ノ製造ニ従事スル者ヲ謂ヒ從業者ト稱スルハ組合員カ自己ノ工場又ハ店舗ニ於テ使用スル店員、技術員、職工及徒弟ヲ謂フ

    第百八十一條 機主ト賃織業者ト賃織契約ヲ爲シタルトキハ其ノ期間ヲ定メ連署ヲ以テ遅滞ナク機主ヨリ組合ニ届出テ其ノ登録ヲ受クルコトヲ要ス
    組合員ハ從業者ヲ雇傭シタルトキハ組長ノ定ムル所ニ従ヒ遅滞ナク組合ニ届出ツヘシ解雇シタルトキ亦同シ

    第百八十二條 機主ハ前條ノ登録請求ノ際其ノ登録ヲ受クル賃織業者一人一年ニ付手数料二十銭ヲ組合ニ納付スヘシ登録期間ノ更改又ハ繼續スルトキ亦同シ
    登録ハ期間ノ満了ニ依リテ其ノ効力ヲ失フ

    第百八十三條 組合員ハ他人カ登録ヲ受ケタル賃織業者ニ其ノ登録有効期間中賃織セシムルコトヲ得ス但シ關係機主ノ承諾ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
    登録ヲ受ケタル賃織業者ハ其ノ登録有効期間中ニ關係機主ノ承諾ヲ得スシテ他人ノ賃織ヲ爲スコトヲ得ス

    第百八十四條 賃織業者カ二人以上ノ機主ト賃織契約ヲ爲サントスルトキハ豫メ關係機主ノ承諾ヲ得ルニ非サレハ其ノ登録ヲ受クルコトヲ得ス但シ關係機主ニ於テ正當ノ事由ナクシテ承諾セサルトキハ此ノ限ニ在ラス

    第百八十五條 賃織業者カ登録有効期間中ニ不正行為又ハ本定款違反ニ依リ機主ニ損害ヲ與ヘタル場合ニ於テ該被害者ヨリ申告アリタルトキハ組長ハ其ノ賃織業者ト他ノ組合員ト賃織契約ヲ爲スコトヲ禁止スルコトヲ得
    前項ノ規定ニ依ル禁止期間ハ一月以内トス

    第百八十六條 前條ノ規定ニ依リ禁止セラレタル者其ノ禁止ニ對シ異議アルトキハ組長ニ之ヲ申立ツルコトヲ得
    組長ハ前項ノ申立ヲ受ケタルトキハ評議員會ノ決定ニ付スヘシ
    評議員會ノ決定ニ對シテハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第百八十七條 登録期間中ト雖當事者ノ合意ニ依リ賃織契約ヲ解除シタル場合ハ連署ヲ以テ機主ヨリ其ノ旨組長ニ届出テ該登録ノ取消ショ申請スヘシ
    組長ニ於テ前項ノ事実ヲ知リタルトキハ其ノ届出ヲ侯タス該登録ハ之ヲ抹消スルコトヲ得登録ヲ抹消シタル場合ハ遅滞ナク當事者ニ之ヲ通知スルモノトス

    第百八十八條 機主カ正當ノ事由ナクシテ登録有効期間中ニ原料ノ交付ヲ停止シ又ハ器械類ヲ回収シ一定ノ給與ヲ爲サスシテ引續キ十日以上休業セシメ若クハ契約ヲ履行セサル場合ニ於テハ其ノ被害者ノ申告ニ依リ組長ハ事実ヲ調査シ申告適當ナリト認ムルトキハ其ノ登録ハ之ヲ抹消スヘシ

    第百八十九條 前二條ノ規定ニ依リ登録ヲ取消シ又ハ抹消シタル場合ニ於テハ既納ノ手数料ハ之ヲ還付セス

    第百九十條 第百八十五條ノ規定ニ依リ契約禁止ノ處分ヲ受ケタル者ハ其ノ禁止期間中名義ノ如何ヲ問ハス組合員ハ之ヲ使役シ又ハ賃織ヲ爲サシムルコトヲ得ス

    第百九十一條 組合員ハ他人ノ使用ニ係ル從業者ヲ其ノ契約期間中之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ傭主ノ承諾ヲ經タルトキハ此ノ限ニ在ラス

    第十七章 表 彰

    第百九十二條 賃織業者又ハ從業者ニシテ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ本組合ニ於テ褒賞ヲ授與シ之ヲ表彰ス

    但シ登録又ハ届出ナキモノニ對シテハ此ノ限ニ在ラス

    一、登録ヲ受ケタル賃織業者ニシテ八年以上同一ノ機主ニ對シ契約ヲ誠實ニ履行シ且ツ技術優秀、品行方正ニシテ他ノ模範ト爲スニ足ルヘキ者
    二、從業者ニシテ本規定施行後五年以上同一ノ傭主ニ勤續シ技能優秀品行方正且ツ業務ニ精勵シ其ノ功績顕著ニシテ他ノ模範ト爲スニ足ルヘキ者
    三、賃織業者又ハ從業者ニシテ考案發明ヲ爲シ斯業ノ發達ニ貢献シタル者

    前項ノ規定ニ依リ既ニ表彰セラレタル者ニシテ引續キ五年以上契約ヲ履行シ表彰要件ヲ具備スル者ハ其ノ都度之ヲ表彰ス

    第百九十三條 前條ノ規定ニ依リ表彰スヘキ者ノ資格ニ付テハ機主又ハ傭主ノ申請ニ依リ評議員會ノ議決ヲ經テ組長之ヲ決定ス

    第百九十四條 表彰ヲ受クル者ニ授與スル褒賞ハ褒状及賞品トス

    第百九十五條 褒賞授與式ハ一月ニ之ヲ行フ

    第百九十六條 本章ノ規定ニ依リ表彰シタル者ノ氏名ハ之ヲ組合ノ表彰者名簿ニ登載スヘシ

    第百九十七條 表彰セラレタル者ハ本組合ノ儀式ニ參列セシムルコトアルヘシ

    第十八章 調 停

    第百九十八條 本組合員相互間ノ営業上ニ關シ争議ヲ惹起シ其ノ調停ヲ求ムル者アルトキハ本組合ハ之ニ應シ調停スルモノトス

    第百九十九條 本組合ノ調停ハ調停委員ヲ以テ組織シタル調停委員會ニ於テ之ヲ爲ス
    前項調停員ノ定數ハ十一人トシ内一人ヲ委員長トス
    委員長ハ組長ヲ以テ之ニ充ツ但シ組長故障アルトキハ年長副組長其ノ職務ヲ代理ス

    第百條 調停委員ノ選定方法左ノ如シ

    一、争議事件ノ當事者カ第一種組合員ナル場合ハ代議員ノ被選擧權ヲ有スル者ノ中ヨリ組長ニ於テ四人ヲ選定シ其ノ當事者ニ於テ各三人ヲ選定スルコト

    二、争議事件ノ當事者カ第二種組合員ナル場合ハ第二種組合員中ヨリ組長ニ於テ四人ヲ選定シ其ノ當事者ニ於テ各三人ヲ選定スルコト

    三、争議事件ノ當事者ノ一方カ第一種組合員ニシテ他ノ一方カ第二種組合員ナル場合ハ代議員ノ被選擧權ヲ有スル者ノ中ヨリ二人及第二種組合員中ヨリ二人ヲ組長ニ於テ選定シ其ノ當事者ノ一方(第一種組合員)ニ於テ代議員ノ被選擧權ヲ有スル者ノ中ヨリ三人及當事者ノ他ノ一方(第二種組合員)ニ於テ第二種組合員中ヨリ三人ヲ選定スルコト前項ノ規定ニ依ル組長ノ選定ハ評議員會ノ議決ヲ經テ之ヲ爲シ當事者ノ選定ハ組長ノ指定シタル期間内ニ之ヲ爲スヘシ

    第二百一條 組長ノ指定期間内ニ争議事件ノ當事者カ調停委員ノ選定ヲ爲ササルトトキハ組長ハ評議員會ヲシテ其ノ當事者ニ代リテ之ヲ選定ヲ爲サシム

    第二百二條 調停委員ニ缺員ヲ生シタルトキハ第二百條ノ規定ニ準シ組長ハ直ニ其ノ補充ヲ爲シ又ハ之ヲ爲サシムヘシ
    調停委員カ就職ヲ拒ミタルトキハ組長ハ直ニ之ヲ解任スヘシ

    第二百三條 調停委員ハ調停委員就職ノ日ヨリ七日以内ニ調停委員會ヲ開クコトヲ要ス
    争議事件ノ當事者ハ調停委員長ノ指揮ニ従ヒ會議ニ出席シ其ノ關係事實ヲ陳述スヘシ

    第二百四條 調停委員長ハ調停録ヲ作成シ調停委員及其ノ争議事件ノ當事者ト共ニ署名捺印スヘシ
    調停委員長ハ調停成立又ハ不成立ニ終リタルトキハ書面ヲ以テ直ニ其ノ結果ヲ組長ニ報告スヘシ

    第二百五條 調停委員ハ調停成立又ハ不成立ニ終リタルトキハ其ノ決定日ヨリ十日ヲ經テ解任セラレタルモノトス

    第二百六條 調停ニ要シタル費用ハ其ノ調停委員會ノ決スル所ニ依リ之ヲ負擔スルモノトス

    第二百六條ノ二 削除

  • 西陣織物同業組合沿革史(7)

    西陣織物同業組合沿革史(7)

    第四章 西陣織物同業組合の解散

    一、解散の顛末と解散式

    明治三十一年以來、輝やく四十一年の歴史を有した、西陣織物同業組合は、昭和十三年三月三十一日を以て、遂に解散し、定款第二百三十五條に依り、組長長谷川市三、副組長岡村吉之助、同山中治郎。評議員會に於て互選したる評議員加藤宗三郎・栗田春吾・巽文次郎。組合會に於て互選したる代議員家島敬造・梶田繁治郎・西村淸三郎・汐瀬吉藏・奥村龜太郎の十一氏を以て淸算人に、内長谷川市三氏をその代表者として、直ちに淸算事務に入つた。

    時代の推移は、財界夫れ自身が好むと好まざるとに拘らず、滔々として自由主義より統制主義へと移行した。曩に統制經濟主義を指導精神として制定、昭和六年より實施せられた工業組合法に就いては、これによつて統制の强化を圖り得るや否や組合は實に六ヶ年に亙つて研究考慮を重ねつゝあつたのであるが、昭和十二年七月を以て勃發した支那事變は、その聖戰の遂行に伴ひ、いよいよ經濟統制の擴大强化を促し、就中その綿業統制の結果は、工業組合員にあらざれば綿絲の配給を行はれざるの制度を布かれるに至つた爲め、果して工業組合法によつて營業上の弊害を豫防し、又は矯正して、西陣機業の健全なる發達を期し得るや否や、尙未だ充分なる檢討を加ふるの遑なく、昭和十二年十一月一日を以て、取りあへず同業組合とは別個の存在として、西陣織物工業組合は創立總會を開き、十三年二月五日を以て設立の認可を得るに至つた。

    斯くて既に同業組合員の殆んど全部が、同時に工業組合にも籍を二重としたる上は、明日の西陣機業發展の推進力を、二個に分割するの必要を有せざるのみならず、一面中央商工當局の示唆もあり、機能的には漸次適格性を缺かんとする同業組合の制度機構を執拗に固守して、二元統制を行ふことは、新設工業組合の健全なる發達と、所期の目的とを遂行する爲めに、却つて諸般の事務を煩雜にするの眞ありと認め、玆に昭和十三年三月二十四日の組合會に於ては、全會一致を以て同業組合の解散を可決し、同時に組合財産たる

    項目内容・詳細
    土地今出川通大宮東入元伊佐町二六五番地ノ一、宅地五百五坪一合一勺
    建物同地上建物六棟この建坪三百二坪餘(延坪八百二十一坪餘)、他に防火塀、鐵柵等附属工作物を含む
    土地堀川通寺ノ内上ル二丁目下天神町六四六番地、宅地百五坪八合
    建物同地上建物三棟八十坪餘、他に高塀等附属工作物を含む
    土地六軒町通五辻下ル佐竹町一二二番地、一二三番地、一二四番地、一二五番地、宅地合計百四十八坪八合九勺
    建物同地上建物四棟七十五坪(延坪八十五坪)、他に板塀等附属工作物を含む
    権利電話使用權七個
    什器諸什器陳列用ケース以下四十點

    等組合財産中、淸算に要する諸經費を差引き、殘餘はこれを一切西陣織物工業組合へ寄附讓渡することを可決して、更に全組合員二千六名中千七百九十四名、即ち組合員三分の二以上の同意を得たので、三月二十四日附京都府經由商工大臣に對し解散の認可を申請し、三月三十一日附を以てその認可指令に接したのである。

    斯くて解散の事務的整理略一段落を見たる、昭和十三年七月二十日京都市勸業館に於て朝野の名士を初め、これに組合の役員代議員その他の名譽職、竝に一般組合員を合せ三千餘名參集の上、歷史的解散式は舉行せられ、更に翌々二十二日には同業組合物故功勞者五十餘氏の靈に對して、生前の德を追慕し、その功績を追頌する嚴肅なる追悼法會は、知恩院の大本堂に、各遺族參列の上執行せられ、玆に西陣織物同業組合は、輝く四十有一年間、安居樂業を日ざして同業組合機構下に於ての爲し能ふるの總てを盡し、以て單に本邦に於ける最大最古の機業地と業總親和總努力、しての名譽を保持したるのみならず、その傳統の輝やく歷史を背景として、常に淸新潑剌、時代に一歩を先んずるの抱負を堅持しつゝ、最後のピリオドを大きく打つたのである。玆に解散の顛末を明示し、また物故功勞者の功績を偲ぶため、解散式に於ける組長の挨拶、竝に同日表彰されたる現存功勞者八十四氏の氏名、及び追悼會に於ける組長の祭文竝に物故功勞者五十四氏の氏名を掲記し、以てその歷史的記錄とした。

    解散式に於ける組長挨拶

    聖戰一ヶ年、この非常時局に際し歷史ある、西陣織物同業組合の解散式を舉行するに方りまして、閣下竝に多数皆様の御來臨を辱ういたしましたることは、本組合の最も光榮とする所であります。

    顧みまするに、吾が西陣はかつては 宮廷の織部司として 皇室の特別の恩寵を蒙むり、其の由緒と傳統とを誇りとして居りましたが、明治維新以來業界漸次衰退の傾向を辿つて參りましたので、時の知事さんの指導獎勵によりまして、他の産地に率先して佛國式織法に改善され、其後いろいろと曲折がありましたが幾多の試練を經まして後、關係業者は其大同團結が西陣産業發展の根幹であるといふ事を漸次自覺して参りまして、遂に明治十八年準則組合を作つたのであります。

    越えて明治三十一年十月十四日農商務大臣の認可を得まして、玆に西陣織物同業組合の生誕を見たのであります。

    かくて初代組長に故人見勤助氏が就任されまして、爾來四十有餘年間に亙り、西陣産業發展の中心となつて組合員の福利厚生に資すべき幾多の事業施設を企畫實施しまして、一千年に亙る先輩の遺業を繼承し、今日に及んだのでありますが、時代の進運に伴ひ、戰時體制下に於ける國策の遂行は、必然的に産業統制の全面的强化となりまして、玆に綿絲統制の斷行を機會として、西陣織物工業組合の結成を見るに至りましたので、同業組合は昭和十三年三月三十一日を以て解散することに決し、諸般の手續を終りまして商工大臣の認可を得、名實共に西陣織物同業組合の解散を見るに至つたのであります。

    かゝる推移の裡に歷代組長は滅私奉公西陣産業の發展に留意貢献せられまして、時代の動きに即したる事業施設は組合員の共同福利に寄與する所洵に尠からざるものがあつたのでありますが、今その主要なるものについて之を見まするに、明治三十八年日露戰役の非常特別税として織物消費税法の實施せられたるに方り、本組合は税務當局と協力し第一次織物査定標準價格を創設し、加ふるに組合員の納税の便宜を圖り且つ政府徵税事務の補助を爲すために織物査定場を建設し、今尙組合員の納税に多大の便益を與へつゝあるのであります。更に織物の振興に資すべく組合立染織試驗場を設立してその發展に努め、後之を京都市に移管して今日の市立染織試驗場となつたのであります。次で西陣の主要原料絲たる生絲の水分檢査其他精撰の要あるに鑑み、一切の設備費を本組合の負擔とし生絲檢査所の設立を京都府に要望いたしまして、遂に現京都府生絲檢査所の設立を見るに至つたのであります。また西陣織物宣傳竝に指導機關として西陣織物の改善に資し、金融機關としては本組合が母體となり、西陣信用組合を設立して組合員の利便を計り勤儉貯蓄の精神を作興するためには西陣産業資金融立制度を實施し、西陣織物の産地證明として登錄團體標章の設定、更に製品の改善向上を期するため織物規格及檢査制度の確立、或は生産組織の合理化に、力織機の設備獎勵に、商取引の改善に、工業權の保護獎勵に、教育の普及に、名譽職以下職員優良從業員及貴織業者の表彰に、內外生産状況及商況の調査に、販路の擴張と宣傳に資するため宣傳會・販賣會・品評會竝に西陣織物大會の開催、或は內外博覽會・展覽會・見本市の出品等、あらゆる事業施設をなし、又は職業紹介による勞働力の供給、不況對策として授産施設等、凡そ同業組合としてなし得べき一切の方面に亙つて組合員の福利に貢献し來つたのであります。

    又製品の種類も時代と共に動き、その販路は內より外への發展過程を進んで、本邦各地はもとより、地中海以東の東洋市場竝に濠洲・アメリカ兩市場にまで擴大せられて居ります。その生産額は創立當時の年産一千五六百萬圓前後より、最近の七千萬圓程度に増加せられてまゐりました。

    特に銘記すべきことは 畏くも地方産業の發達に 大御心を垂れさせ給へる 聖上陛下におかせられましては、京都府知事に對し、西陣産業の現狀につき御下問あらせ給へること一再ならざる趣洩れ承つてるのであります、この宏大無邊の 大御心に對しましては、全組合員は光榮に感激し、至誠を以て 皇恩に應へ奉らむことを誓ひ、その天職とする所に邁進し來つたのであります。

    さりながら斯る榮譽と傳統に培はれて来た西陣の背後には、常に獻身的努力を以てその統率指導の重任をつくされたる先輩の苦闘のあることを忘れてはならないと同時に、又本組合の今日あるは、創立以來、京都府・市・会議所竝に百萬市民の渝ることなき熱烈なる御支援の賜なることに思ひを致し、洵に感激に堪へないのであります。

    今玆に解散式を舉行するに方り、本組合設立以降歷代組長以下關係功勞者諸彦竝に多數組合員、その他從業員諸氏の偉大なる功績と和協によつて西陣産業の今日あるを銘記し、深く感謝の意を表する次第であります。

    終りに臨みまして本日御來臨の榮を賜りました貴顯各位に深甚なる敬意を表し、併せて新たに生れました工業組合にも同業組合同様宜しく御指導と御鞭撻を賜りますよう、希望に堪へない次第であります。甚だ簡單でありますがこれを以て式辭に代ふる次第であります。

    昭和十三年七月二十日

    西陣織物同業組合元組長 長谷川市三

    解散式に於て表彰されたる現存組合功勞者氏名(敬稱略)

    加藤宗三郎大島佐兵衛山中治郎梶田繁治郎
    吉田寅之助吉川牧之助龜井亮治郎滋賀辰之助
    井林清兵衛寺尾芳之助吉田房之助西村岩次郎
    美藤富吉安田成隆久保長次郎元川喜之助
    西村孫兵衛三宅清治郎巽 文次郎小林捨三郎
    高木吉之助林 嘉一郎野村孫三郎市川藤三郎
    藤原德三郎清水甚三郎石田喜三郎半田幸次郎
    山地卯三郎細井恒次郎渡邊文七宅間佐助
    岡村吉之助木村多四郎善野辰之助西村常次郎
    栗田春吾山本恒三郎北野武三郎富田喜三郎
    寺尾太三郎奧村龜太郎加藤小市藤井彦四郎
    喜多川平八家島敬造塲田龜三郎飯盛松三郎
    藤田治郎助木野芳兵衛永尾德次郎大橋理祐
    河瀨滿治郎黑田甚三郎吉田伊三郎高島茂七
    山田九藏諏訪幸次郎野淵龜吉長谷川杢治郎
    松室以忠千野勝兵衛太田益太郎小野内清三郎
    佐野多三郎小川愛吉川本龜吉吉田盛三郎
    林 福太郎菅 善三郎安井巳之助杉本乙吉
    鳥居榮太郎岡本米次安岡巳之助本水庫太
    加藤儀三郎茨田精之輔中井米吉小關與三郎
    西村清三郎井上末吉林 榮太郎中村秀造

    追悼會に於ける組合長祭文

    維時昭和十三年七月二十二日、故池田有藏君外五十三君の靈に告ぐ。

    大人等生前常に國家隆昌の根幹は産業の發展にあるを留意せらるゝと共に、西陣機業の改善刷新に深く思ひを致し、多年に亙り本組合名譽職の重責を擔ひ、滅私克く組合員の福利厚生を念願とせられ、先輩の遺業を繼承して之が隆替に任じ、幾多の事業施設を企畫實施せられたり。其の業績後世を益し郷土産業の振興に貢獻せらるゝ所顯著にして、其の功德洵に敬慕措く能はざるものあり。茲に西陣織物同業組合の解散に方り、謹みて追悼法會を營み、靈前に微意を奠し追頑慰靈の誠を致す

    希くば降り享けよ。

      昭和十三年七月二十二日

      西陣織物同業組合元組合長  長谷川市三

    物故功勞者氏名(敬稱略)

    故 池田有藏   故 田畑庄三郎   故 時岡利七

    故 小野政次郎  故 伊 藤 虎 一  故 鐮田淸兵衛

    先々代 故人 見勘助先代 故 内藤小四郎六代目 故 伊達彌助
    先々代 故 川島甚兵衛先代 故 西村卯三郎故 山村彌太郎
    故 柏木正太郎先代 故 稲田卯八故 藤村岩次郎
    故 小林清三郎故 安本宗七先代 故 山本吉治
    故 渡邊半次郎故 林 政次郎故 竹田守意
    故 石田太郎吉先代 故 森川德次郎故 服部德三郎
    故 藤原嘉助先代 故人 見勘助故 中野德兵衛
    故 安井芳太郎先々代 故 佐々木伊之助先代 故 長谷川杢治郎
    故 長谷川與三郎故 加藤竹次郎故 山下槌之助
    故 井上力造故 小谷孫兵衛故 堀田傅七
    先代 故 中野新次郎先代 故 武田彌一郎故 榎並治兵衛
    先代 故 龜山利兵衛故 佐々木伊之助故 家島源次郎
    故 近藤喜三郎故 外池治三郎先代 故 宮田幸治郎
    故 池田篤三郎故 中村榮吉故 長尾時春
    故 四方友吉故 植田利七故 西村義民
    故 老子嘉一郎故 岡本榮治郎故 田代道太郎

    二、解散當時に於ける組合機構

    解散當時の西陣一般情勢は、これを次記組合最終の定款、及第五章統計の最終年度に於ける豫算並に決算、及運轉機臺、生産額等の數字によつて略その全般を推測し得るべく、ここには組合事務所及組合建造物の所在、役員及組合員の組織、並にその氏名等を掲記するに止める。

    イ、組合事務所及組合經營にかゝる諸建造物の所在

    西陣織物同業組合事務所京都市上京區今出川通大宮東入元伊佐町
    西陣織物館同上
    第一織物査定場同上
    第二織物査定場京都市上京區堀川通寺之内上ル二丁目天神町
    第三織物貯藏場京都市上京區六軒町通五辻下ル佐竹町

    ロ、役員・代議員及職員等の組織

    役員組合長一名副組合長 二名  評議員 九名
    代議員三十九名
    部役員部長六名副部長・部委員 若干名
    職員理事一名主事・技師・書記以下 若干名

    西陣織物同業組合定款

    第一章 總則

    第一條 本組合ハ重要物産同業組合法ニ依リ左ノ地區内ニ於ケル織物業者(着尺織物業者ヲ除ク)、買織業者、紋様業者及機業者ヲ以テ之ヲ組織ス一、京都府京都市一圓(新編入地區ヲ含ム)

    第二條 前條ノ規定ニ依ル織物業者トハ自營ノ織物製造業者及賃織業者ヲ謂ヒ買織業者トハ組合員ノ製造シタル織物ノ販賣ニ付其ノ斡旋ヲ業トスル者ニシテ組合長ノ指定シタル者ヲ謂フ

    第三條 本組合ノ組合員ヲ分チテ左ノ二種トス

    第一種組合員 自営業者  第二種組合員 賃業者 第四條 本組合ハ組合員共同一致シテ営業上ノ弊害ヲ矯正シ斯業ノ發達ヲ圖ルヲ以テ目的トス 第五條 本組合ハ西陣織物同業組合ト稱シ其ノ事務所ヲ京都市上京區今出川通大宮東入元伊佐町二百六十五番地ノ一ニ設置ス但シ事務ノ都合ニ依リ支部又ハ出張所ヲ他ニ設クルコトアルヘシ 第六條 本組合ハ其ノ設立ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業ヲ行フモノトス 第七條 本組合ハ他ノ組合ト氣脈ヲ通シ其ノ目的ヲ達スル爲同業組合聯合會ヲ設ケ又ハ加盟スルコトヲ得 第八條 本組合ノ公告式ハ本組合ノ掲示場又ハ刊行物ニ依リ之ヲ告示ス 第九條 本組合及本組合役員ノ用フル印章左ノ如シ

    第十條 組合員ハ使傭人ノ爲シタル定款及規則其ノ他諸規程ニ違反ノ行爲ニ對シ自己ノ指揮ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ責ヲ免ルルコトヲ得ス

    第十條ノ二 組合員ハ第二十六條第一項第三號ノ規定ニ違反シ組合ノ統制ニ服セス又ハ他人ヲ煽動シテ其ノ統制ヲ亂サシメ若クハ亂サシメントスルコトヲ得ス  前項ノ規定ニ違反シタル組合員ニ對シテハ、組長ハ一年間組合ノ施設物ノ使用ヲ禁止シ又ハ評議員會ノ議決ヲ經テ一年間組合経費ヲ増徴スルコトヲ得此ノ場合ニ於ケル経費ノ増徴ハ毎年度定ムル経費徴収規定ノ定率ノ二倍ヲ超ユルコトヲ得ス但シ産業積立金ニ對シテハ之カ増徴ヲ爲ササルモノトス  前項ノ規定ニ依リ組長ノ爲シタル處分ニ對シテハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス 第十一條 本定款又ハ重要物産同業組合法及同施行規則ニ規定アルモノノ外本定款施行ニ關シ必要ナル事項ハ組合會ノ議決ヲ經テ別ニ規則ヲ設クルコトヲ得

    第二章 組合員ノ加入脱退

    第十二條 本組合ノ地區内ニ於テ第一條ニ規定スル業ヲ營ム者ハ、第三條ノ種別ニ従ヒ書面ヲ以テ組合ニ加入ノ届出ヲ爲スコトヲ要ス但シ買繼業者タラントスル者ハ豫メ組長ノ指定ヲ受クヘシ  前項ノ届出テハ其ノ届書ニ最近ノ戸籍抄本ヲ添付シ組長ニ之ヲ爲スヘシ 第十三條 法人タル組合員ハ其ノ登記シタル役員又ハ支配人中ヨリ代表者ヲ定メ書面ヲ以テ組長ニ之ヲ届出ツヘシ 第十四條 本組合ノ地區内ニ分工場ヲ有スル組合員ハ別ニ工場證票ノ交付ヲ組合ニ請求スヘシ

    前項ノ分工場ニ管理人ヲ置キ其ノ住所、氏名及生年月日ヲ記載シタル書面ヲ以テ所有者ヨリ之ヲ組長ニ届出ヅベシ

    第十五條 本組合ハ第十二條ノ規定ニ依ル届出ヲ受ケタルトキハ其ノ届出人ニ本定款ヲ示シ第十七條ニ定ムル組合員證票ヲ交付ス前條第一項ノ規定ニ依リ工場證票交付ノ請求アリタルトキ亦同シ

    第十六條 證票ノ交付ヲ受ケタル組合員ハ證票一枚ニ付手数料十錢ヲ組合ニ納付スベシ但シ第二種組合員ニ對シテハ其ノ手数料ヲ免除ス

    第十七條 組合員證票ノ様式左ノ如シ

    工場證票ハ氏名ノ下ニ「工場」ノ二字ヲ記入スヘシ

    第一種組合員ノ證票ハ朱書トシ第二種組合員ノ證票ハ墨書トス

    第十八條 組合員ハ證票ノ交付ヲ受ケタルトキハ直ニ之ヲ門戸ニ掲出スヘシ

    第十九條 組合員ニシテ住所ヲ變更シ又ハ營業ノ譲渡、改名其ノ他相續ニ因ル名義變更等ノ異動ヲ生ジタルトキハ七日以内ニ書面ヲ以テ其ノ旨組合長ニ届出ヅベシ

    第二十條 組合員ニシテ證票ヲ滅失又ハ毀損シタルトキハ直ニ其ノ再交付ヲ組合ニ請求スヘシ

    組合員ノ名義異動ヲ生シタルトキハ直ニ證票ノ書換ヲ組合ニ請求スヘシ此ノ場合ニ於テハ前ノ證票ハ之ヲ返納スルコトヲ要ス

    前二項ノ規定ニ依リ請求スル者ハ一件ニ付手数料十錢ヲ組合ニ納付スヘシ

    第二十一條 組合員ニシテ其ノ營業ヲ廢シ又ハ本組合ノ地區外ニ轉住シタルニ依リ組合ヲ脱退スル者ハ書面ヲ以テ直ニ組長ニ届出ツヘシ

    前項ノ届出ヲ爲ストキハ前ニ交付ヲ受ケタル證票ハ之ヲ組合ニ返納スルコトヲ要ス

    第二十二條 第一種組合員ニシテ一年以上組合經費ヲ負擔セサルモノニハ前項ノ規定ヲ適用ス

    前二項ノ規定ニ依リ其ノ處分ヲ受ケタル組合員ハ該處分ニ對シ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第三章 組合員ノ權利義務

    第二十三條 組合員ハ本定款ノ規定ニ從ヒ權利ヲ有シ義務ヲ負フモノトス

    第二十四條 第一種組合員ノ有スル權利左ノ如シ

    一、組合ノ經營スル施設ヲ共用スルコト

    二、組合員相互間ニ生シタル營業上ノ爭議ニ關シ調停ヲ求ムルコト

    三、營業上ノ權利ヲ侵害セラレタル場合ニ於テ之カ權利回復ノ方法ヲ求ムルコト

    四、組合ノ業務ニ關シ意見ヲ開申シ又ハ建議スルコト

    五、組合ノ業務竝財産ニ關シ其ノ説明ヲ求ムルコト

    六、組合ヲ解散シタル場合ニ於テ其ノ財産ノ分配ヲ受クルコト

    七、前各號ニ掲クルモノノ外本定款ニ特ニ規定シタルモノ

    第二十五條 第二種組合員ハ前條第二號乃至第四號及第七號ニ掲クル權利ヲ有ス

    第二十六條 第一種組合員ノ負擔スル義務左ノ如シ

    一、組合ノ負擔ヲ分任スルコト

    二、組長ノ召喚及招集ニ應スルコト

    三、本定款竝規則其他ノ規程及決議ヲ遵守スルコト

    第二十七條 第二種組合員ハ前條第二號及第三號ニ掲クル義務ヲ負擔ス

    第二十八條 本定款及規則其他ノ規程ニ違反シタル行爲アリト認ムル組合員ニ對シテハ組長又ハ組長ノ委任シタル役員若クハ職員ニ於テ其ノ組合員ノ營業場ニ就キ檢査ヲ爲スコトアルヘシ此ノ場合ニ於テハ正當ノ事由アルニ非サレハ之ヲ拒ムコトヲ得ス

    第四章 役員

    第二十九條 本組合ニ左ノ役員ヲ置ク

    役職定員
    組長一人
    副組長二人
    評議員九人

    前項ノ役員ハ名譽職トス但シ組長ニ限リ有給ト爲スコトヲ得

    第三十條 役員ハ組合會ニ於テ組合ニ加入後二年ヲ經過シタル者ニシテ代議員ノ被選舉權ヲ有スル組合員中ヨリ之ヲ選舉ス但シ組長及副組長ニ限リ組合員ニ非サル者又ハ組合員ニシテ代議員ノ被選舉權ヲ有セサル者ヲ選舉スルコトヲ得

    前項但書ノ規定ニ依リ選舉セラレタル者ハ其ノ在職ノ間代議員ノ選舉權及被選舉權ヲ有ス

    第三十一條 役員ノ任期ハ四年トシ就職ノ日ヨリ之ヲ起算ス

    役員ノ任期滿了ノ場合ニ於テ其ノ後任者就職スルニ至ル迄仍在任スルモノトス

    第三十二條 役員ニ缺員ヲ生シタルトキハ直ニ補缺選舉ヲ行フヘシ

    補缺選舉ニ當選シタル者ハ其ノ前任者ノ殘任期間在職スルモノトス

    第三十三條 役員ノ職務權限左ノ如シ

    組長ハ組合ヲ代表シ組合事務ヲ統轄ス

    副組長ハ組長ノ事務ヲ補佐シ組長故障アルトキハ年長者之ヲ代理ス

    評議員ハ組長副組長共ニ故障アルトキハ組長ノ職務ヲ代理ス但シ互選ヲ以テ其ノ代理者ヲ定ムヘシ

    第三十四條 組長ハ其ノ事務ノ一部ヲ副組長及評議員ニ分掌セシムルコトヲ得

    第三十五條 組長ハ組合會ニ提出スル議案ニ付評議員會ト意見ヲ異ニスルトキハ其ノ議案ニ評議員會ノ意見ヲ添ヘ組合會ニ提出スルコトヲ得

    第三十六條 第七十四條第一項第一號乃至第四號及第二項ノ規定ハ役員ニ之ヲ準用ス

    第五章 代議員及其ノ選舉

    第三十七條 本組合代議員ノ定數ヲ三十九人トシ之ヲ左ノ如ク配當ス

    業者定数
    織物製造業三十七人
    買繼業一人
    紋樣、筬業一人

    代議員ハ名譽職トス

    代議員ノ任期ハ四年トシ總選舉ノ日ヨリ之ヲ起算ス

    第三十八條 本章ニ於テ規定スル組合經費トハ本組合經費徵收規程ニ依リ毎年度定ムル賦課率ニ基キ徵收スル左ノ賦課金ヲ謂フ但シ組長ノ認定ニ依リ徵收スル賦課金ハ之ヲ本文ノ規定ニ依リテ徵收スル賦課金ト看 做ス

    一、生産割

    二、取扱高割

    三、國稅營業收益稅割

    四、府稅營業稅割

    五、人頭割

    第三十九條 織物製造業ニ配當セラレタル代議員中第四十一條第一項本文竝本條第二項ノ規定ニ依リ選舉人ノ選舉ニ依リ三十三人ヲ選出シ第四十一條第一項但書ノ規定ニ依リ四人ヲ選定スヘシ

    前項ノ規定ニ依リ選出スル代議員ノ選舉ハ其ノ選舉人ヲ三級ニ分チ各級別ニ之ヲ行フ

    各級ヨリ選出スル代議員數左ノ如シ

    級別定数
    一級十一人
    二級十一人
    三級十一人

    第四十條 前條第二項ノ規定ニ依ル選舉人ノ所属級ヲ定ムルコト左ノ如シ

    一、總選舉ヲ行フ前年十月一日ヨリ其ノ年九月三十日迄ノ間ニ於テ組合經費ヲ最多ク納ムル者ヲ合シテ

    其ノ納ムル金額カ組合經費總額ノ六分ノ三ニ達スル迄ノ者ヲ以テ一級トス但シー級選舉人ノ數百人ニ滿タザルトキハ其ノ納額ノ最多キ者ヨリ順次百人ニ達スル迄ノ者ヲ以テ一級トス此ノ場合ニ於ケル一級選舉人ノ納ムル組合經費ハ其ノ總額ノ六分ノ三ニ相當スルモノト看做ス

    二、前號ニ定ムル期間内ニ於テ一級ニ屬セサル者ニシテ組合經費ヲ最多ク納ムル者ヲ合シテ其ノ納ムル金額カ組合經費總額ノ六分ノ二ニ達スル迄ノ者ヲ以テ二級トス

    三、前二號ニ屬セサル選舉人ヲ以テ三級トス

    兩級ノ間ニ同額ノ經費ヲ納ムル者二人以上アルトキハ年長者ヲ上級ニ入ル年齡同シキトキハ組長ニ於テ抽籤ヲ爲シ其ノ所属級ヲ決定スヘシ此ノ場合ニ於テ選舉人ハ組長ノ爲シタル決定ニ對シ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    本條ノ規定ニ選舉人ト稱スルハ選舉權ヲ有スル織物製造業者ヲ謂ヒ組合經費ト稱スルハ選舉權ヲ有スル織物製造業者ノ納ムル經費ニシテ第三十八條ノ規定ニ該當スル賦課金ヲ謂フ

    第四十一條 代議員ハ當該業者ニシテ被選舉權ヲ有スル者ニ就キ其ノ選舉人之ヲ選舉ス但シ第三十九條第一項後段ノ規定ニ依リ選定スル代議員ハ第百七條第一項第一號乃至第四號ニ規定スル部ノ部委員會ニ於テ當該部部長ヲ選出スヘシ

    前項但書ノ規定ニ依ル部委員會ノ選定ハ代議員總選舉ヲ行ヒタル年ノ十二月十日迄ニ之ヲ爲スコトヲ要ス

    選舉人ハ其ノ所属スル業又ハ級以外ニ於テハ代議員ノ選舉權竝被選舉權ヲ行使スルコトヲ得ス

    第四十二條 第一種組合員ニシテ一年間ニ組合經費二圓以上ヲ納ムル者ハ代議員ノ選舉權ヲ有ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス

    一、組合ニ加入後一年ヲ經過セサル者但シ家督相續ノ場合ニ在リテハ被相續人ノ加入期間ハ之ヲ相續人ノ加入期間ニ通算ス

    二、一年以上組合經費ヲ滞納シタル者

    三、一年以上組合經費ヲ負擔セサル者

    四、定款及規則違反ノ處分ヲ受ケタル後一年ヲ經過セサル者

    前項ノ規定ニ依ル組合經費ノ納額ニ付テハ家督相續ノ場合ニ在リテハ被相續人ノ納付シタル經費ハ之ヲ相續人ノ納付シタル經費ト看做ス

    第一項本文竝第二號ニ規定スル一年トハ前年十月一日ヨリ其ノ年九月三十日迄ノ期間ヲ謂ヒ第一號及第四號ニ規定スル一年ヲ經過セサル者トハ其ノ年九月三十日ヨリ事實ノ發生シタル日迄遡リテ計算シタル期間カ一年ニ滿タサル者ヲ謂フ

    第四十三條 組長ハ總選舉ヲ行フ年ノ十月一日現在ニ依リ織物製造業ハ各級別ニ其ノ他ハ各業毎ニ選舉人名簿ヲ調製スヘシ

    選舉人名簿ニハ選舉人ノ住所、氏名及生年月日(法人ナルトキハ其ノ所在地及名稱)ヲ記載スヘシ

    第四十四條 削除

    第四十五條 組長ハ總選舉ヲ行フ年ノ十一月五日ヨリ五日間毎日午前九時ヨリ午後四時迄組合事務所又ハ其他ノ場所ニ於テ選舉人名簿ヲ関係者ノ縦覧ニ供スヘシ
    組長ハ選舉人名簿縦覧開始ノ日前三日目迄ニ縦覧ノ場所ヲ告示スヘシ

    第四十六條 選舉人名簿ニ關シ関係者ニ於テ異議アルトキハ縦覧期間内ニ之ヲ組長ニ申立ツルコトヲ得

    組長ハ前項ノ申立ヲ受ケタルトキハ其ノ申立カ正當ナル事由アリト認メタタル場合ハ縦覧期間滿了後三日以内ニ之カ修正ヲ爲シ其ノ旨直ニ告示スヘシ

    第四十七條 選舉人名簿ハ選舉ヲ行フ年ノ十一月二十日ヲ以テ確定ス

    確定名簿ニ登載セラレサル者ハ投票ヲ爲スコトヲ得ス但シ家督相續又ハ改名(通名ヲ本名ニ改メタル場合ヲ含ム)シタル場合ニ於テハ被相續人又ハ改名前ノ氏名カ確定名簿ニ登載セラレアルトキハ此ノ限ニ在ラス

    確定名簿ニ登載セラレタル者選舉人名簿ニ登載セラルルコトヲ得サル者ナルトキハ投票ヲ爲スコトヲ得ス選舉ノ當日選舉權ヲ有セサル者ナルトキ亦同シ

    第四十八條 天災事變ノ爲必要アルトキハ更ニ選舉人名簿ヲ調製スヘシ 前項ノ規定ニ依ル名簿ノ調製、期日、縦覽、確定等ニ關スル事項ハ組合會ノ議決ヲ經テ組長之ヲ定ム

    第四十九條 選舉權ヲ有スル年齢二十五年以上ノ男子ハ代議員ノ被選舉權ヲ有ス但シ左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ此ノ限ニ在ラス 一、破産ノ宣告又ハ家資分散若クハ身代限リノ處分ヲ受ケ復權セサル者 二、禁錮以上ノ刑ニ處セラレ刑期滿了後三年ヲ經過セサル者 三、刑ノ宣告ヲ受ケ執行猶豫中ノ者

    前項第二號ニ掲クル期間ノ計算ニ付テハ第四十二條第三項後段ノ規定ヲ適用ス

    第五十條 組長ハ選舉期日前十日迄ニ選舉會場、日時及選舉スヘキ各業(織物製造業ニアリテハ各級)ノ代議員數ヲ告示スヘシ

    第五十一條 組長ハ選舉長トナリ選舉會ヲ開閉シ其ノ取締ニ任ス 組長ハ選舉人名簿ニ登載セラレタル者ノ中ヨリ二人乃至六人ノ選舉立會人ヲ選任スヘシ 選舉立會人ハ名譽職トス

    第五十二條 選舉人ニ非サル者ハ選舉會場ニ入ルコトヲ得ス但シ選舉會場ノ事務ニ從事スル者ハ此ノ限ニ在ラス

    第五十三條 第四十一條第一項本文ノ規定ニ依リ選舉スル代議員ノ候補者タラントスル者ハ第五十條ノ告示ノ日ヨリ選舉期日前五日目迄ノ午後四時迄ニ書面ヲ以テ其ノ旨選舉長ニ届出ツヘシ 前項ノ届書ニハ候補者ノ所屬業(織物製造業ニアリテハ各級)及住所、氏名並生年月日ヲ記載スヘシ

    第五十三條ノ二 前條ノ規定ニ依リ候補者ノ届出ヲ爲ス者ハ其ノ届出ト同時ニ金五十圓ヲ組合ニ預託スルコトヲ要ス 前項ノ預託金ハ第五十三條ノ三ノ規定ニ該當セサルトキハ第七十三條ノ異議申立期間經過後ニ於テ預託者ノ請求ニ依リ之ヲ還付ス但シ第七十三條ノ異議申立アリタルトキハ當該選舉ニ關係アル候補者ノ預託金ハ其ノ異議申立ニ對シ組合會ノ決定アリタル後之ヲ還付スヘシ

    第五十三條ノ三 左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ前條ノ預託金ハ之ヲ還付セス組合ノ所得トス
    一、候補者ノ得票數其ノ業(織物製造業ニアリテハ各級)ニ配當セラレタル代議員數ヲ以テ當該業又ハ級ノ有効投票ノ總數ヲ除シテ得タル数ノ十分ノ一ニ達セサルトキ
    但シ織物製造業一級候補者並第五十六條ノ規定ニ依リ投票ヲ行ハサルトキハ其ノ投票ヲ行ハサリシ候補者ニ付テハ之ヲ適用セス
    二、織物製造業一級候補者ノ得票數二票ニ達セサルトキ

    第五十四條 選舉長ハ候補者ノ届出ヲ受ケタルトキハ其ノ住所、氏名及生年月日ヲ各業(織物製造業ニアリテハ各級)ニ區分シ直ニ告示スヘシ候補者ノ届出ヲ取消シタルトキ亦同シ

    候補者ハ選舉期日前三日目迄ノ午後四時迄ハ其ノ取消シヲ爲スコトヲ得 前項ノ規定ニ依ル取消シハ書面ヲ以テ選舉長ニ之ヲ爲スヘシ

    第五十五條 第五十三條ノ規定ニ依リ候補者ノ届出ヲ爲サルトキハ其ノ者ノ得票ハ之ヲ無効トス

    第五十六條 第五十三條ニ定ムル期間内ニ届出ヲ爲シタル候補者(各業又ハ級別)ノ數、選舉スヘキ代議員ノ配當數ヲ超エサルトキハ其ノ業又ハ級ニ屬スル投票ハ之ヲ行ハス 前項ノ規定ニ依リ投票ヲ行フコトナキニ至リタルトキハ選舉長ハ直ニ其ノ旨告示スヘシ第一項ノ規定ニ依リ投票ヲ行ハサル場合ハ選舉長ハ其ノ選舉期日又ハ翌日ニ選舉會ヲ開キ候補者ヲ以テ當選者ト定ムヘシ此ノ場合ニ於ケル候補者ノ被選舉權ノ有無ニ付テハ選舉立會人ノ意見ヲ聴キ選舉長之ヲ決スヘシ

    第五十七條 選舉ノ結果又ハ前條ノ場合ニ於ケル當選者選舉スヘキ代議員ノ定數ニ至ラサルトキハ其ノ不足員數ハ之ヲ缺員トス第四十一條第一項但書ノ規定ニ依リ選定スル代議員ノ選定ニ至ル迄ノ間ニ於テモ亦同シ

    第五十八條 第四十一條第一項本文ノ規定ニ依ル選舉ニ當選シタル代議員ニ缺員ヲ生ジタル場合ニ於テ缺員定數ノ四分ノ一以上ニ達シタルトキ又ハ組合會若クハ組長ニ於テ必要アリト認メタルトキハ補缺選舉ヲ行フヘシ 第四十一條第一項但書ノ規定ニ依リ部委員會ニ於テ選定シタル代議員ニ缺員ヲ生ジタルトキハ直ニ之カ補缺選定ヲ爲スヘシ

    第三十二條第二項ノ規定ハ補缺選舉ニ當選又ハ補缺選定セラレタル代議員之ヲ準用ス

    第五十九條 代議員ノ補缺選舉ニ用フル選舉人名簿ハ選舉期日前五十日目ノ現在ニ依リ選舉ヲ行フヘキ業又ハ級毎ニ組長之ヲ調製スヘシ第四十六條第二項ノ規定ハ本選舉人名簿ニ之ヲ準用ス 補缺選舉人名簿ノ縦覽、確定等ニ關スル事項ハ組長之ヲ定メ告示スヘシ 補缺選舉ニ付テハ總選舉ニ關スル規定ヲ準用ス

    第六十條 選舉ハ無記名投票ヲ以テ之ヲ行フ 投票ハ一人一票ニ限ル

    第六十一條 選舉人ハ選舉當日投票時間内ニ自ラ選舉場ニ到リ選舉人名簿ノ對照ヲ經テ投票ヲ爲スヘシ 投票時間内ニ選舉會場ニ入りタル選舉人ハ其ノ時間ヲ過クルモ投票ヲ爲スコトヲ得 選舉人力法入又ハ未成年ナルトキハ代表者又ハ法定代理人ヲシテ投票ヲ爲サシム此ノ場合ニ於テハ代表者又ハ法定代理人ハ其ノ資格ヲ證スルニ足ルヘキ書面ヲ選舉長ニ提出スルコトヲ要ス 選舉人ハ選舉會場ニ於テ投票用紙ニ候補者ノ氏名ヲ自書シ自ラ投票函ニ投入スヘシ 投票用紙ハ組長ノ定ムル所ニ依リ一定ノ式ヲ用フヘシ

    第六十一條 投票ノ拒否ハ選舉立會人ノ意見ヲ聴キ選舉長之ヲ決スヘシ

    第六十二條 投票ヲ終リタルトキハ選舉長ハ直ニ投票函ヲ閉鎖シ其ノ鑰ハ封筒ニ藏シ選舉立會人ト共ニ封印ヲ施シ之ヲ保管スヘシ

    第六十三條 開票ハ投票ヲ爲シタル日若クハ其ノ翌日之ヲ行フ

    第六十四條 選舉長ハ選舉立會人ト共ニ投票ヲ點檢スヘシ 選舉長ハ開票ニ着手セントスルトキハ選舉立會人立會ノ上投票函ヲ開クヘシ

    第六十五條 選舉長ハ員數ヲ制限シテ選舉人ニ其ノ選舉會ヲ參觀セシムルコトアルヘシ但シ開票開始前ハ此ノ限ニ在ラス

    第六十六條 左ノ投票ハ之ヲ無効トス
    一、成規ノ投票用紙ヲ用ヒサルモノ
    二、候補者ノ氏名ヲ記載セサルモノ
    三、一投票中二人以上ノ候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
    四、候補者ノ何人タルカヲ確認シ難キモノ
    五、被選舉權ナキ候補者ノ氏名ヲ記載シタルモノ
    六、候補者ノ氏名ヲ自書セサルモノ

    第六十七條 投票ノ效力ハ選舉立會人ノ意見ヲ聴キ選舉長之ヲ決定ス

    第六十八條 代議員ノ選舉ハ有効投票ノ最多數ヲ得タル者ヲ以テ當選者トス但シ織物製造業一級ハ二票以上其ノ他ニ於テハ當該業又ハ級ニ配當セラレタル代議員ノ數ヲ以テ其ノ業又ハ級ノ有効投票ノ總數ヲ除シテ得タル數ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス 前項ノ規定ニ依リ當選者ヲ定ムルニ當リ得票ノ數同シキトキハ年長者ヲ取り年齢同シキトキハ其ノ選舉會ニ於テ選舉長抽籤シテ之ヲ定ムヘシ

    第六十九條 當選者選舉期日後ニ於テ被選舉權ヲ有セサル者ナルコトヲ發見シタルトキハ其ノ當選ヲ失フ

    第七十條 選舉長ハ選舉録ヲ作り選舉會ニ關スル顚末ヲ記載シ選舉立會人ト共ニ之ニ署名捺印シ投票其他ノ關係書類ヲ添ヘ選舉ノ結果ヲ直ニ組長ニ報告スヘシ 第四十一條第一項但書又ハ第五十八條第二項ノ規定ニ依リ部委員會ニ於テ代議員ヲ選定シタルトキハ當該部長ハ被選定者ノ住所、氏名及生年月日ヲ記載シタル書面ニ議事録ノ謄本ヲ添ヘ其ノ旨直ニ組長ニ報告スヘシ

    第七十一條 組長ハ前條ノ報告ヲ受ケタルトキハ直ニ當選者ニ當選、被選定者ニ選定ノ旨ヲ告知シ三日以内ニ當選者被選定者ノ住所氏名ヲ告示スヘシ

    第七十二條 總選舉期日後六月以内ニ第四十一條第一項本文ノ規定ニ依ル選舉ニ當選シタル代議員ニ缺員ヲ生シタルトキハ其ノ總選舉ニ於テ當選トナラサリシ者ノ中最多數ノ得票者ヨリ順次缺員ヲ補充ス但シ第六

    十八條第一項但書ノ得票ナキ者ハ此ノ限ニ在ラス
    前項ノ規定ニ依リ缺員ヲ補充スルニ付テハ選舉會ヲ開キ其ノ者ノ被選舉權ノ有無ヲ審査スヘシ
    第五十一條第五十六條第三項後段第六十八條第二項及第七十條ノ規定ハ前項ノ選舉會ニ之ヲ準用ス
    第七十一條ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ缺員ヲ補充シタル場合ニ之ヲ準用ス

    第七十三條 選舉人ニ於テ選舉及當選ノ效力ニ關シ異議アルトキハ選舉ノ日ヨリ七日以内ニ書面ヲ以テ組長ニ之ヲ申立ツルコトヲ得但シ選舉權ノ行使ニ得サル他ノ業又ハ級ニ對シテハ之ヲ爲スコトヲ得ス 組長ハ前項ノ申立ヲ受ケタルトキハ意見ヲ付シ七日以内ニ之ヲ組合會ノ決定ニ付スヘシ組合會ハ其ノ送付ヲ受ケタル日ヨリ二十日以内ニ之ヲ決定スヘシ

    第七十四條 代議員ハ左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ其ノ職ヲ失フ 一、代議員ノ被選舉權ヲ有セサルニ至リタルトキ 二、破産ノ宣告ヲ受ケタルトキ 三、禁錮以上ノ刑ニ處セラレタルトキ 四、一年以上組合經營費ヲ滞納シタルトキ 五、組合會ニ無届缺席引繼キ三回以上ニ及ヒタルトキ 六、第四十一條第一項但書ノ規定ニ依リ選定セラレタル代議員ニシテ部長ノ職ヲ辭シ又ハ之ヲ失ヒタルトキ

    第一項第四號ノ期間ノ計算ニ付テハ第四十二條第三項前段ノ規定ヲ準用ス 前項第一號ノ規定ニ依ル被選舉權ノ有無ハ組合會ニ於テ之ヲ決定スヘシ

    第七十五條 本章ノ規定ニ依リ爲シタル組合會ノ決定ニ對シテハ異議ヲ申立ツルコトヲ得ス

    第七十六條 選舉録、投票、選舉人名簿其他ノ關係書類ハ代議員ノ任期間組長ニ於テ之ヲ保存スヘシ

  • 同業會の構造

    同業會の構造

    (合資會社 篠屋 岡本義一)

    今回成立した西陣織物同業会は昭和十三年に解散した西陣織物同業組合の遺鉢を継ぐものであるが、旧組合と同一のものでない事は言うまでもなく、あくまでも有志の糾合した任意組合であって、業者はこの会に加入せずとも営業上何の差支えもないのである。むしろ会に入ると分相応の経費を出さねばならぬし、各種の会合のため、相当の時間と労力を会に提供せねばならぬという負担を生ずる位である。

    事のおこりは強力な協同組合を結成せんが為に招集せられた業者大会であった。その業者大会の結果出来た準備委員会でよく話し合ってみると、大多数の委員が協組にはこりており、今の西陣に今の業者では協組は不可というのが絶対多数であった。協組論者も、先々はともかく今は協組の時期でないと考え始め、途々経済行為をせぬ同業会を結成しようと皆の相談は決まった。

    何事も與論の時代である。民主主義は会議会議で時間が掛かり手間が取れるが、それは致し方がない。多数の欲するところが正しいという考え方である。蜷川知事もよくこの間の事情を御承知置き願いたいと思う。人を見て法を説けという事があるが時代の寵兒であり、商工中金から易々と金が借りれるという協組の魅力も同業会の皆様のお気に召さなかった次第である。民主主義の旗の下に成立した同業会は民主主義的構造をもっていなければならない。すなわちその役員や委員は会員全体に奉仕する公僕であり、その運営は会員の與論に従わねばならない。

    帯地、広幅、金欄、ビロード(規約には着尺部もあるが、西陣着尺織物協組の関連より現在着尺部は成立していない) の四部が同業会の行動の源泉である。部長副部長委員を執行機関とするこれら四つの部が同業会活動の基盤であり、これら四部門は適当数の理事を同業会自体の業務執行機関に送っている。

    理事会はその代表者として会長を、又会長の代理人とし て副会長を互選している。会長は会務の処理に際しての協力者として、総務涉外振興の三部長を委嘱している。民主主義的団体の常として経理は特に重要である。会員が拠出した尊い金である。冗費はもっての外である。勿論理事会が承認した予算案に従って、最小限の事務費等の外は帯地、 広幅、金欄、ビロードの各部へ還元交付されて各部の事業費となる。経理の為に会長は三名の会計理事を委嘱し、 こと金銭の出納に関しては会計理事の権限は絶対であって、 何人もこれを犯す事が出来ない。更にこの会計理事の提出する報告を監事が常に監査を怠らない。

    同業会はその働きの一つとして広報室を有して居る。広報室は情報の蒐集と提供に努むる。ここの情報とは英語でいうインフォメーションであって、業界関係の動向やニューズの事である。

    更に同業会の使命の一つは同業協和である。これは同業会の働きのあらゆる面に出ている特徴である。同業会が別個の団体である「西陣クラブ」に協力を惜しまぬのは当然の事である。

  • 西陣織物同業組合沿革史(6)

    西陣織物同業組合沿革史(6)

    一二、販路擴張と宣傳事業

    販路の擴張に資すべき製品の紹介宣傳事業は、産業團體の最重要事であつて、既に組合創立當時に於てさへ、組合當局はこれが實施に就て、相當の努力を爲し來つたところである。即ち各地に於て博覽會共進會等の開催される場合、西陣製品の紹介宣傳は、決して問屋仲買にのみ一任するが如きことなく、組合員を督勵して大に出品の斡旋を爲し、またしばゝゝ役員其他の委員を派して、地方の趣味嗜好並に購買力を検討する等、時代相應の努力は講じ來つたのであるが、元來宣傳といふ譯語の發生したのは大正の中葉以後に屬し、從つてそれまでの所謂宣傳事業を後年より回顧すれば、尙幼稚にして甚だ消極的であつたことは勿論である。

    然るに歐洲戰亂の末期より、時代の推移は地方機業地の強力なる進出を見、しかも彼等の製品は、しばゝゝ西陣製品と混同せられ、或は公然西陣製品を名乗る物さへあつて、到底西陣より高く、宣傳の消極に堕するを許されざるに至つた。斯くの如くにして所謂宣傳の本格化したのは、大正十五年三越と提携して、同年大阪支店及神戸分店に初めて西陣織物大會を開催し、直接阪神の消費者に對して、眞の西陣製品を認識せしめ、豫期以上の成功を収めた爲め、三越では更に翌昭和二年秋、東京本店に第一回西陣織物大會の開催を提唱し來り、組合も直ちに應諾、十一月一日より七日まで、同賣場中百九十坪を會場として華々しく開催し、畏くも高貴の御微行の光榮を擔つたのみならず、會期七日間には一日の紋日、初めての明治節たる三日、六日の日曜等すべて快晴に恵まれて非常なる盛況を呈し「西陣織物と京名所」なるパンフレット一萬五千部、大會繪ハガキ二萬部は會期半ばに出切となり、一口に二十二本の丸帶を購求したる外人等も現はれ、關東各地の宣傳會には未だかつて類例なき大成功を収め、翌三年引續き三越に於て第二回西陣織物大會を開催して大に盛況を極め本邦第一の西陣織物消費地に於て、眞の西陣を充分に認識せしめた。この東京宣傳の成功は、後年帝都各百貨店界の流行兒となつて直接消費者へ叫びかけた外、一面には東京問屋による西陣織物聯盟主催組合後援の西陣織物大會となつて、關東各地前賣店の奮起を促す基ともなつたのである。

    一方地もと京都に於ては、大正十五年以来澎湃として起つた積極宣傳の波に乗り、西陣織物商組合主催の西陣織物宣傳大會を數年に互つて協賛し、また同年より行はれた京都染織見本市を連年後援して、會場に一大異彩を放たしめ、或は組合單獨の主催としては昭和三年九月 御大禮記念西陣織物大會を京都勸業館に開き、翌十月より十二月にかけては織物館の全館を會場として 御大典記念西陣織物展覽會を催し、昭和七年二月には買繼制度實施記念片側繻子宣傳特賣會を同じく織物館に開く等、地方前賣界に對して大に呼びかけるところがあつたが、いよいよ本格化したのは、昭和七年九月、組合主催を以て第一回西陣織物大會を京都市勸業館に開催したことで、同年六月十五日部長聯合會より劃期的西陣織物宣傳大會開催の要請書が組合長に提出せられ、同月二十七日の組合會に於て、大會經費七千圓の追加豫算は評議員會及組合會に於て全會一致にて可決、七、八兩月に亘り委員会の設置、事務の分擔、京都府、市、商工會議所に對する後援方並に補助金交付の請願、全國及海外にかけて四千餘の招待狀を発送する等、大會の準備全く成つて、九月四、五の兩日京都市勸業館を第一會場、加盟四十四問屋の店鋪を第二會場として華々しく開催した。時恰も八月下旬より北米財界の好況を反映して重要諸商品、特に生絲、綿絲の躍騰といふ伴奏あり、著しく環境に恵まれ、來市者實に三千を越え、これを優待する五日午後五時からの鴨河原の夕涼みは

    「延暦聖世の跡つぎて、代々を重ねし織物の、その品々は何々ぞ、金襴金段綾錦、雲居に響く機杼の音……」

    の振りも床しき西陣舞や、

    「つれれさせせきぎりす、松虫鈴虫機織に、こゝもゆかりの紫野、何處やら遠き筬の音は、雲漏る月に背け振り、夜長を誰かギッチョンゝゝ」

    など此のため新に作られた西陣小唄に興趣湧くが如く、同時に宣傳そのものも著しく良好の成績を収め、三百萬圓に近き取引高を計上し、これを最初として、強力西陣の全國前賣に對する宣傳陣は儼として張り廻らされ、爾來西陣織物大會は

    回数年月日第一會場加盟商店來市者取引高
    第二回昭和八年九月四・五兩日京都市勸業館三八店一、〇二一人一、九九〇千圓
    第三回昭和九年二月六・七兩日京都市勸業館三三店九六五人一、七三四
    第四回昭和九年九月四・五兩日京都市勸業館三四店一、六八三人二、三九五
    第五回昭和十年二月七・八兩日京都市美術館三一店八一九人二、〇四一
    第六回昭和十年九月四・五兩日京都市美術館三三店一、五七五人二、七五八
    第七回昭和十一年二月七・八兩日京都市美術館三二店一、一〇二人一、八七三
    第八回昭和十一年九月四・五兩日京都市美術館三五店一、六六八人二、六四八千圓
    第九回昭和十二年二月五・六兩日京都市美術館三〇店一、三八二人二、三三七
    第十回昭和十二年九月六・七兩日京都市美術館三三店一、三六二人一、五八八
    第十一回昭和十三年二月七・八兩日京都市美術館三〇店一、四一〇人二、二六八

    註。第一回より第三回までは本組合單獨主催、第四回以後は西陣着尺織物工業組合との共同主催來市者の數は招待したる商店の店主又はその代理者を示し、随員として來市したる番頭・手代等を含まず

    と毎年二回、春夏物及秋冬物の取入期たる二・九兩月を以て、上記の如く連年開催し、西陣織物の精華を網羅するは勿論、會場には、或は特殊優秀品の競技會、或は製織の實演等を試み、また來市者に對する優待としては、毎回小餐を呈するの外、西陣織物又は織物を應用したる記念品を贈り、毎回多きは參百萬圓、少きも百五拾萬圓の取引を見たること感謝の印とし、第十二回以後はこれを西陣織物工業組合及着尺組合の共催に譲つたのであるが、これが齎した効果は、ひとり當日の取引額に現はれたるもの以外、將來に亘つて西陣製品消化の上に絶大なる反響を呼び、本組合員の共同福利を増進したるのみならず、本邦服飾界に於ける最大級の行事として、地方前賣店の待望するところとなつてゐる。

    此の外組合として間接に關與したる宣傳會、即ち帶地部・金襴部・天鵞絨部・新興輸出部等夫々當該部独自の機構と立場によつて、しばゝゝ宣傳會・特賣會・展示會等を開催し、組合に於ては所定の機關を經て、それが成果を擧げしむる爲適當なる援助を爲し來つたが、就中昭和十年以後しばゝゝ開催したる、神戸及横濱に於ける西陣新興輸出織物展示會の如きは、洵に前人未踏の境地を開拓したもので、ひとり兩市の貿易商のみならず、汎く海外にまでその反響を聴くことが出来たのである。

    更に見上記の如く前賣店に對する宣傳以外、直接消費大衆の耳目を目標とする宣傳特賣會も、既記東京に於ける昭和二年秋の宣傳會以来本邦各都市の百貨店を會場としてしばゝゝ行はれ、特に昭和六年七・八兩月、從前地理的に専ら關東各機業地の蹂躙に任せられたかの感があつた、北海道札幌・小樽・函館に各十日間、室蘭・旭川各五日間に亘つて開催したるが如きは、その反響の大なる、まさに特記すべきものがあつた。

    其他内外各地に於ける博覽會・共進會・見本市・展示會等の開催さるゝ場合は、組合員をして可及的多の出品を爲さしむべく、部長聯合會と提携して、諸般の手續及び事務を取扱ふは勿論、出品に關する費用の全部を組合に於て負擔し、極力目的の達成に努め、一面西陣織物の需給状況並に國内各機業地の生産配給状態等を調査して、西陣製品新販路の開拓と、製織上の參考に資する等、組合員の福利増進に寄與するところ、甚だ大なるものがあつた。

    一三、西陣信用組合の設立

    産業と金融とは車の兩輪であつて、その一を缺けば他の一方は事業として全く成立しない。西陣に於ても取引の改善、製品の向上は、所詮その根本は金融機關の協力と後援なくしては、充分の達成を見難いのは自明の理である。この見地から、有限責任西陣信用組合は西陣織物同業組合が母體となつて、大正十五年十月に創設された。當時はもとより、明治の晩年以来、西陣には既に有力なる金融機關が多数に存在し、殊に東西の大銀行は殆んど大部分が軒を並べて、こゝに支店網を張つてゐたのであるが、しかも尚中小工業者の集團たる西陣の機業組織、製品種別、取引方法等と關聯して、有力銀行の對象物としては兎角緊密化し得ざるものがあり、多數の組合員にとつては、寧ろ描ける餅の類に過ぎなかつたのである。よつて組合員の共存共榮と相互扶助の立場から、何等他力を藉らず、自らの力によつて手軽く利用し得る金融機關を持つことが出来得れば、その資金は他の地方に移動することなく、一面不況時に於ける從業者救濟問題等に備ふべき貯蓄の獎勵ともなり、洵に一石二鳥の方法であるとして、當時組合内に於ける西陣振興調査會の進言に基き、こゝに西陣信用組合は、眞に西陣化したる特色あるものとして誕生せしめらるゝことゝなり、大正十五年五月二十三日組合事務所に發起人會を開き、小委員として組合役員・組合會正副議長・團體聯合會幹事・組合顧問等二十三名を推して準備を進めた結果、六月八日の發起人會に於て、定款五十六條及び役員詮衡委員を選定し、八月二日組合長以下役員の登記を見、九月一日設立認可、同年十月十五日を以て、今出川大宮東入新事務所に於て華々しく開業の運びに至つたのである。其後十有二年、その間多少の起伏はあつたが、元來組合を母體としたものだけに、信用組合當事者にとつても西陣機業の性質には充分の認識があり、その信用状態も明確である關係上、信用組合が順調なる進路を辿り来つたのみならず、これによつて、或は織物消費税納入手續が簡易化され、或は資金の融通が迅速となり、また組合員に於てもこれを利し組合に於ても産業積立金の利殖を一任する等、相互極めて緊密なる關係を持續して、以て本組合の解散時に至つた、また組合個人としても、一部の業者にして所謂高利貸に惱まされるものゝ著しく減少したことは、大なる福利とすべきものである。

     尚西陣信用組合は、昭和七年二月名稱を有限責任西陣信用販賣購買利用組合と變更し、購買事業をも兼營したが、昭和十年三月購買事業を分離獨立せしめて、再び信用事業單一に還元した。

    因に同信用組合創業直後(昭和二年度末)に於けるその組合員は七百三十九名で、此の中工業者、即ち主として本組合員たりしものは六百名で全體の八割一分を占め、本組合解散の昭和十三年三月末に於ける信用組合員の總数は千百四十名に増加し、此の中工業者、即ち主として機業家は七百八十八名と全體の六割九分とその率は稍低下してゐるが、機業者以外の商業者二百一名、其の他百五十一名もその大半は西陣機業と密接なる連關を有する商家又は俸給生活者等であり、機業家あつての西陣信用組合たることには些の變動はない。

     尚昭和二年度末と、昭和十三年三月末に於ける、同組合の預金及貸出を示せば次の如く、預金は三倍二七、貸出は四倍七三と、何れも順調なる増加を示してゐる。

    昭和二年度末昭和十三年三月末
    預  金六一五、三五六圓二、〇一三、九一七圓
    貸  出三五八、三二六圓一、六九五、二八八圓

    一四、登録團體標章の設定

     西陣織物の豪華絢爛は、海外にまで喧傳されるものであるが、組合員の生産する織物に就ては、昭和年間に至るまで、何等西陣製品たるの證明がなかつた。蓋し我が西陣の技巧は、明治大正年代まで絕對に他の追隨し得ざるところであり、他産地製品との鑑別は、素人たる消費者も容易に認識し得たので、敢て必ずしもその證明を必要としなかつたのである。然るに歐洲大戰中の好況時より、各地織物工業の飛躍的勃興につれて、同種製品の進出次第に増加し、傳統と由緒ある西陣製品が、他機業地の製品と混同されてその聲價を失墜すること甚だ尠からざるに至つた爲め、これが鑑別を一般的に容易ならしめ、且つその聲價を堅持すべしといふ意見は、大正十年の頃より特に他機業地と混同せらるゝこと多き着尺業者の一部に於て唱導さるゝに至つた。しかしてこれが解決は遂に大正十五年一月二十九日の組合會に於て、組合定款に五ヶ條の追加が議案となつて現はれた。即ち

    一、本組合は組合員の營業上の共同利益を増進する爲め團體標章を制定す
    二、本組合の團體標章は特許局に於て登録を受けたる標章とす
    三、本組合は自己製造又は販賣に係り組合地區に於て納税する織物に付前條の標章を使用することを得
    四、本組合員にして前條の規定に違反し團體標章を使用したるものは五圓以上五百圓以下の過怠金に處す
    五、團體標章の侵害に因り組合員の損害ありたるときは其の損害及補償方法は評議員會の議を經て組長之を定む

    が可決せられ、定款の變更は同年四月十六日付知事の認可を得、直ちに商標法に依り登録を申請して、昭和三年八月二十五日特許局に登録せられ、昭和四年四月より、次の如き團體標章を實施し、以て今日に至り、西陣製品たることを市場に證明してゐるのである。

    因に右團體標章は、

    一、絹織物に使用するもの
    二、木綿織物に使用するもの
    三、毛織物に使用するもの
    四、麻織物に使用するもの
    五、上記に屬せざる織物に使用するもの

    の五種となつてゐるが、右標章は第四章組合解散當時の機構に於ける定款第十一章團體標章の項を參照せられたい。

     同時に生産地の證明、並びに品質の證明に使用する證紙及印章を制定したが、これに貼付又は捺印する形式は、第一種生産地證明に使用する證紙及印章の二種と、及び第二種品質證明に於て

    一、絹織物に使用するもの
    二、木綿織物に使用するもの
    三、毛織物に使用するもの
    四、麻織物に使用するもの
    五、其他の織物に使用するもの

    の證紙及印章夫々五種づゝ、合計十種に分たれてゐるが、これは前項標章と同じく本史第四章に於ける、定款第十二章證紙印章及織物生産地竝品質證明の項を參照せられたい。

    一五、部制度の確立

    由來西陣織物は其の種類頗る多種多様であつて、販賣の方法、原料の取引等、軌を異にするもの多く、從つてこれが進展を期するには、勢ひ業態を等しくするもののみによつて部制度を布き、或る程度独自の自治に委ねるを以て理想としたことは、既に組合創立最初の定款に於ても、十六部の部制を布いてゐるによつて明瞭であるが、當時は組合夫れ自體に於てさへ向自治の體驗に乏しく、幾多の苦難があり、况んや部の自治といふが如きは、單なる理想に過ぎなかつた。然るに時代の要求は、遂に三十年の後に至つて理想と實際との合一を見、その集團的事業は組合の手によつて行ひ、部分的な事業は各部に於て独自の機構と理想とによつて行はしむる、完全なる部制度が確立されるに至り、昭和二年十二月の組合會に於て可決され、翌年二月十七日を以て認可を得、三月より實施されたものが、次の九部制であつた。

    部名類 の 織 物 業
    一、紋廣部唐織・絲錦・厚板・繻珍緞子・縮羅・絽・紗・博多・綴織の廣帶地・肩裏地・帛紗地
    二、着尺部御召・明石・上布・平着尺・袴地・縮紬・其他の着尺織物業
    三、片側部博多綴織の九寸帶地・男帶地・單帶地類・其他九寸巾以下の帶地織物業
    四、繻子部繻子帶地・繻子袴地・伊達巻地・細帶類の織物業
    五、金襴部金襴・袈裟地・法衣地・式衣地・表具地類の織物業
    六、天鵞絨部天鵞絨・別珍類の織物業
    七、傘服地部洋傘地・肩掛地・シール・モール・服地・服裏地・リボン・ネーム・シャツ衿地・細巾装飾地・生繻子・生綾類の織物業
    八、輸出部輸出織物・チヨツキ地・襟飾地・窓掛地・卓子掛地・椅子張地類の織物業
    九、雜種部前各部に属せざる織物業及紋様・霞業

    斯くて各部には夫々部長一名、副部長及部會議員若干名の役員議員を置き、部會の職務權限として

    一、其の部に属する諸般の事項を調査研究すること
    二、組長の諮問に答申すること
    三、組長、評議員會、組合會に建議すること
    四、業務施行に必要な其の部諸規程を制定し又は變更すること
    五、其の部に属する經費豫算並に賦課徴收方法の議決及經費決算業務成績の認定を爲すこと
    六、前各號の外部長に於て必要と認めたる事項

    と定め、茲に組合は細胞組織を完整し、爾後各部は部独自の立場から、各種の事業特に宣傳會・展覽會・競技會等の事業を爲し来り、昭和六年十月、新に買繼制度の實施により買繼部を増置して十部と爲し、更に昭和八年單獨に工業組合を結成したる着尺部の削除其他各般の實情に即し、昭和九年四月一日より、これを全面的に改廢して以て解散時に至つた。

    昭和九年四月の改廢は、經濟界の實勢に即應したもので、即ち從來帶地製造者は、丸帶を主とする紋織系統、博多を主とする帶側系統、及繻子を専業とするものの三系統に分たれ、夫々独自の形態を以て、生産業者から市場を経て消費者の手に渡つたのであるが、經濟界の推移は、これを問屋側から見ても専業の形態による發展は不可能となり、大規模且つ多角的經營の行はるゝに至り、これを生産者の方面よりするも、從來の如く或は博多専業、或は丸帶専業たりし當業者も、次第に時勢の動きに順應するため、製造方針を固定することなく、時の流行嗜好の變遷に伴ひ、時に丸帶、時に袋帶と、その製品を轉化して、生産經營の多角化とその合理化を圖るに至つたのである。よつて從來の紋廣部・片側部・繻子部を併合して單一の帶地部と爲すと共に、将来輸出織物として發展の可能性ある傘服地部、及輸出部を合同して新興輸出部とし、雜種部に包括された織物業者を、紋様箴業者より分離して新興輸出部に併合せしむる等、全面的に改組して、以て解散當時にまで至つたのである、即ち左の如し。

    部名概要
    一、帶地部帶地・肩裏地・帛紗地類の織物業者
    二、金襴部金襴・袈裟地・法衣地・式衣地・漢東緞子・表具地類の織物業
    三、天鵞絨部天鵞絨・別珍類の織物業者
    四、新興輸出部前三部に属せざる織物業
    五、買繼部買繼業
    六、紋様・箴部紋様・箴業

    一六、西陣産業資金積立制度の實施

    西陣は由来中小工業者の集團である。中小工業の最大缺陷はまさしく資力の弱少にあつて、資本の充實せざる事業は、榮養に缺陷ある嬰兒に等しく、到底健全なる發展向上を望み得ざるのみならず、一朝不況時に際會せんか、業者は忽ち斷末魔の苦境に喘ぐの惧れを多分に包藏する。よつてこの缺陷を除去し、且つ勤儉貯蓄の精神を作興して、共同利益の増進を圖る目的から設置せられたのが、西陣産業資金積立制度であり、昭和五年三月十八日の組合會に於て可決され、同年四月一日より實施を見たものである。

    西陣産業資金積立規程は十三ヶ條、同施行細則は十六ヶ條より成つてゐるが、いまこれを要約すれば

    イ、組合員は織物消費税納付の際その税額の一割づつを同時に積立てる
    ロ、積立金は各自の口座により預金し組長が管理する
    ハ、利子は年二回づつ計算して元本に繰入れる
    ニ、積立を開始して三年を經過すれば元利を合して「産業資金」なる名義の下に本人に交付する
    ホ、途中で組合を脱退したる時又は死亡したる時は元利合算の上本人又はその遺族に返還する
    ヘ、積立金は二十一人の監事がこれを充分に監督する

    といふ制度であり、後年支那事變の聖戦遂行に伴ふ國民貯蓄の奨勵により、各地に無数の貯蓄組合が結成せられたが、西陣に於ては、それに先立つ八年前に於て完全なる貯蓄組合が創設せられてゐるわけである。

    而してその第一期は昭和八年三月末日を以て満了し、その積立金五十六萬五千餘圓は、産業奨励金として組合員に交付され、三ヶ年間知らず識らずの間に蓄積せられた積立金は、更めて事業の擴充資金となり、或は旧債の償還となつて現はれた。

    引続き昭和八年四月一日より第二期に入り、昭和十一年三月末日を以て滿了したが、元利合計四十五萬七千餘圓中、利子に該當する一萬九千八百餘圓を財源として、金二萬圓を組合會の決議によつて、当時復興改築中の京都市勧業館建築費の中へ寄附せられ、更に昭和十一年四月一日より開始された第三期の期間中、即ち昭和十二年七月支那事變の勃發するや、組合は他に率先して八月九日組合會を開き、規程の一部を改正し、同期の利息中より金一萬圓を國防献金として、八月十一日第十六師團司令部を経て献金したのである。本積立金は第三期の満期を待たずして組合の解散となつたが、一種の備荒貯蓄としてのこの積立金制度は、よく組合員に了解されて本来の目的を達成したるのみならず、併せて或は國家に献金し、或は公共團體に寄附となつて現はれたことは、まさしく産業と道徳との渾然たる融合であり、産業報國の實踐であつて、就中昭和十二年の如きは、時局の重壓下にあつた平和産業組合として、眞に苦難を超越した日本精神の發露ともいふべく、この制度は西陣織物工業組合によつて永く繼續され、西陣産業發展の一推進力を爲すと共に、一面亦産業報國の眞精神となるべき制度として残されるであらう。

    因に上記本組合の國防献金に就ては、昭和十二年十月一日付、下記の通り陸軍大臣より感謝状を贈られ、また京都市に於ては、上記勧業館に對する本組合の寄附に就き、市の都合により少しく遅れたが、昭和十三年四月二十九日 天長の佳節をトして、本組合を京都市篤志者として下記表彰狀を添へ篤志者徽章を贈られた。

    感 謝 狀

    國防資材ノ獻納ヲ辱ウシ感謝ニ堪ヘス 茲ニ深厚ナル謝意ヲ表ス

    昭和十二年十月一日

     陸軍大臣 杉 山  元 [陸軍大臣之印]

    京都市上京區今出川大宮東入  西陣織物同業組合員一同   
    代表 長谷川市三殿

    表 彰 狀

    西陣織物同業組合殿 貴組合ハ昭和十三年三月本市公益ノ爲メ金貳萬圓ヲ寄附セラル其ノ篤行洵ニ顯著ナリトス 仍テ本市篤志者表彰規程ニ依リ篤志者徽章ヲ贈呈シ以テ之ヲ表彰ス

    昭和十三年四月二十九日

    京都市長從三位勳三等 市 村 慶 三 [京都市長之印]

    一七、西陣振興調査會と本組合の諸事業

    西陣振興調査會は、西陣織物同業組合の事業ではなかつた。昭和四年十二月、時の京都府知事佐上信一氏は、西陣機業が千年の輝く傳統に培はれつゝ、しかも同時にその傳統の桎梏に累ひされ、漸く他の新興機業地の進出により、時に脅威を受けつゝあるの状態を呈せるを嘆き、抜本塞源的更生策を樹立して、京都府随一の産業をして大に興隆せしむべく、事務所を府廳内に置いて、自ら會長となり、副會長に京都市長、及京都商工會議所會頭を囑し、更に委員として府・市・商工會議所の主腦部、府・市會議長、京都帝大・京都高等工藝・京都市染織試驗場等の學者技術者、並に機業家・卸問屋・百貨店等三十名の學識經驗者を動員し、眞に官民を打つて一丸とする府の一大産業政策として設置せられたもので、委員中には本組合關係者として正副組合長・顧問等八名が囑託せられて員に列した。斯くて西陣織物の生産・販賣・金融等全面に亙つて會長の諮問に對し、委員は六ヶ月餘の愼重審議を重ねた結果

    一、原絲の購買
    二、生絲檢査
    三、生産技術及意匠圖案の獎勵 
    四、製品の標準化 
    五、製品檢査 
    六、同種機業の合同整理 
    七、準備工程及仕上整理 
    八、力織機の普及 
    九、輸出の振興 
    十、製品販賣機關 
    十一、取引方法の改善 
    十二、西陣織物組合の擴充 
    十三、金融の改善と貯蓄 
    十四、組合の統制

    等につき夫々適切なる答申を終へた。此の結果組合に於ても更に諸機關に諮り、自力爲し能ふるの改善は着々遂行し、既に實行せるもの、擴大強化はもとより、原絲正量取引の勵行、大衆向工業織物の指導、意匠圖案の研究獎勵、製品の標準化と製品檢査の實施、産業組合(利用組合)の設立獎勵、力織機の普及獎勵並に買機制度の實施等、各般に向つてその實行を進め、中には不幸にして理想と實情との不即により龍頭蛇尾に終つたものも無いではなかつたが、その多くは明日の西陣機業振興の警鐘となつて現はれたのである。此の中特に重要なるものに就ては、以下項を分つて記述する。

    一八、産業組合設立の獎勵

    時勢の進展に伴ひ、中小資本家の力を團結して、資本の合理的運用を爲さしむることは、中小工業者の集團たる西陣として忽諸に附すべからざる施設なりとは、上記振興會の答申中に示されたところであつた。よつて組合は昭和五年六月「産業組合設立獎勵規程」を制定、この答申案に基きその助成に力を致した。産業組合法に準據するもの、中、既設の信用組合を除き、購買組合(共同購入)、販賣組合(共同販賣)、利用組合(共同事業經營)等を對象としたもので、組合より獎勵金交付の制度を採り大に勸獎した結果、實施後僅かに一ヶ年間にして

    一、表裝衣地購買販賣組合
    一、共成購買組合
    一、ビロード第一購買組合
    一、昭和購買組合
    一、榮織購買組合
    一、唐織購買組合

    の六組合を誕生せしめたが、不幸にして當時の西陣機業界は、尙未だこれが運用につきその實情と副はざる點があつたものゝ如く、何れも豫期の成績を擧ぐるに至らざりしは甚だ遺憾とするところであるが、時勢は益々中小業者にこの種施設の緊切を要望して居り、近き將來にその再生を見るべきものと信ぜられる。

    一九、織物規格の制定と製品檢査制度の實施

    本邦に生産される織物は、明治時代までは主として絹、綿及麻に限られ、大正に入つてこれに毛織物及人絹織物の進出を見たが、しかも未だ量質共に在來の織物に比較すれば言ふに足らざる程度のものであつた。然るに昭和に入つては、これら兩織物の飛躍的發展と、更にス・フの如き新興繊維を應用進出するもの頗る顯著なるに至つた。

    西陣としては、終始絹業を以てその大部分を占め來つたが、これら新繊維を應用して大衆向織物に進出する一部は、他産地の同種新興商品と販賣市場に激烈なる競争を演ずるに至り、延いて彼我共に粗製濫造に流れ、西陣織物の聲價を失墜するの虞れ必らずしも尠しとしない一面には、一般需用者の蒙る迷惑をも考慮して、これが弊害を芟除すると共に、西陣製品の眞價を發揚して、他産地の製品と一見これが鑑別を容易ならしめることは、まさに時代の要求なることを痛感しつゝあつた際、恰も前記西陣振興會に於て略同様の答申が提出された爲め、直ちに組合は昭和六年四月一日を期し、定款の一部を變更して各種織物の全般に亙り三百數十種の規格を定め、且つ製品檢査規則を制定し、所定の手續を經てこれが實施を爲すに至つたのである、いまその檢査による合格不合格を識別する方法を示せば、次の如く登録團體標章と密接なる聯關を保つことゝしたもので、この制度は曩に明治十年七月時の知事槇村正直氏の勸獎により、西陣織物會所が製品檢査と證紙貼用の制度を實施しながら、數年を出ずして蛇尾に終つたものゝ、再生であるが、時代の推移は、遂によくその制度を活用するに至り、西陣織物の眞價を世に問ふに至つたのである。

    右檢査勵行の結果、信用ある商店に於ては、漸次不合格品は一切これを取り扱はざるに至り、一方には組合員の自覺により、漸を追うて不適格品の生産は減少し、檢査實施の初年度以來、その不合格率は次の如く概ね減退の一途を辿り、その製品は著しく向上さるゝに至つたのである。

    年代不合格率年代不合格率
    昭和 六 年〇・〇一五一昭和 七 年〇・〇一五二
    同 八 年〇・〇〇六三同 九 年〇・〇〇五二
    同 十 年〇・〇〇四〇同 十一 年〇・〇〇二八
    同 十二 年〇・〇〇三三

    二〇、買繼制度の實施

    西陣織物買繼制度は、既記西陣織物振興會に於ける取引改善の隨一策として答申されたものであり、西陣織物に對しては、明治十八年一月以來再度に亘つて時の先覺者により實施され、しかも其の理想と實情との相剋によつて再度休止され、本組合創立以後は遂に三十五年、單に理論として残され來つた制度であるが、茲に明治以來三度び學識經驗ある官民有力者によつて探り上げらるゝに至り、拔本塞源の大策として登場したものであつた。

    斯くて組合創立以來の劃期的、一大變革たる買繼制度は、昭和六年十月を以て實施されたのであるが、そもそも買繼制度とは、組長に於て一定の買繼人を指定し、買繼人は自ら製品を買取ることなく、生産者と問屋又は小賣人との中間に介在し、一定の手數料を以て賣買を斡旋し、その賣買契約の成立したる際は、賣立に對して代金の即時決濟を爲すの責めに任じ、機業家從來の金融難を緩和すると共に、步引・數引、或は金利引・浮引・點引・其他各種の不合理なる諸引物を廢し、また仕切方法の如きも、取引當事者によつて區々頗る繁雑不公正なるものを、大正味として商取引の公正單純化を期し、一面機業家は總て組合の手による産地證明なきもの、及檢査未濟品を賣ることを禁ずる等、明朗にして能率化したものであるが、然るにこの組合員に對する有效適切なる制度も、千年の商習慣が、所詮は一片の規定を以てしては容易に改革し難いことを如實に示したるに過ぎず、買繼制度に隨伴して、その年二月より開業し、西陣機業家に對する金錢の貸付、及織物の受託販賣を目的とした資本金十五萬圓(全額拂込)の西陣振興株式會社も、組合を母體とし、且つ組合による淺からざる保護指導があつたにも拘らず、業績とみに舉らず、數年ならずして遂に解散の運命に陥入り、買繼制度そのものも、理想と實情とは尙完全に握手し能はずして殆んど有名無實と化し、何等かの形に於てこれが改善更生策を講ぜられつゝある間に、遂に組合自體が解散するに立至つたのであつた。

    たゞ此の買繼制度に隨伴した西陣織物の檢査制度が、これによつて永く且つ儼に勵行せられた西陣織物の向上に資したことは、此の制度の實施による收穫としなければならぬところである。

    と共に、また更に時勢の進運と推移に伴ひ、將來は一段と理論と實際との渾然として融合したる新しき制度が誕生して、西陣機業に明朗且つ健全なる商取引が行はるるに至るべく、既に本組合解散後、幾許もなくして支那事變の聖戰遂行による物資統制下に、斯かる不合理なる步引の悪習一掃は、遂にに經濟警察の乘出すところとなり、ひいては取引制度の根本に於て、眷顧からざるを思はしむるに至つてゐる。

    二一、其他各種の事業施設

    我が西陣織物同業組合は四十一年に互る存立の期間中、實に同業組合機構による法規の許す最高限度の施設は、殆んど爲さざるところ無きまでに各種の事業を爲し、事績を擧げ來つたもので、その内上述せる二十項は比較的重要なものであるが、其の他の百般に至つては、これを一々枚擧するの煩に堪へないので、茲に更に前各項に洩れたるものゝ中、最近數年、或は十數年繼續して努力し來つた數種のものを列記して、本章を結ぶことゝした。

    イ、官公署に對する各種願書の作製及交渉等、一般組合員の利便を圖つたこと
    ロ、組合員の所得税・營業收益税等につき税務當局との中間に立つて斡旋し、或は織物消費税課税標準價格調査委員會を常設し、課税價格の公正を期する爲め各種の調査を行ひ、關係各署との交渉に努めたこと
    ハ、組合の公報機關として毎月月報『西陣』を發行し、組合の實勢並に組合員の參考と爲るべき法制・經濟・並に染織關係事項の研究を紹介し、組合員に周知せしめたこと
    ニ、組合員又はその子弟を以て組織する各種研究調査修養等の團體に對し、補助金の交付其他精神的物質的に積極的援助を爲し、これが目的の達成に努めたこと
    ホ、京都市染織試驗場と共同して新規製品の試織を行ひ、その試織品は同場に陳列して一般組合員の展覽に供したこと
    ヘ、京都府に於て蒐集されたる海外に於ける各種新規織物見本を一般組合員に展覽し、併せてこれが製織上の實地指導を爲したこと

  • 西陣織物同業組合沿革史(5)

    西陣織物同業組合沿革史(5)

    六、從業者に對する各種の獎勵と取締

    職工、徒弟及賃織業者は織物技術の第一線に立つもので、これが獎勵と取締とは西陣機業の盛衰にも關する重大事である。

    組合は夙にこれに見るところあり、組合員がこれら從業者を雇傭、又は賃契約を爲したる際は、直ちに組合に届出でしめてその統一を圖り、兩者間に於ける契約上の義務を履行せしむると同時に、專心斯業に服するの氣風を涵養せしめ、且つこれら相互間に於ける紛爭に就ては、公平無私の立場よりよく調停和合に努めつゝあつたが、更に從業者又は賃織業者中契約義務を誠實に履行し、且つ品行方正にして技術優秀、他の模範となすに足るべき者に對しては、毎年一回、 これを撰獎し、職工徒弟は明治四十四年以來二十八年間、賃織業者は大正六年以來二十二年間に亙り、表彰せられたるもの實に五百餘名に上り、更に大正十五年一月「西陣織物同業組合診 療規程」を制定、組合褒賞規程により表彰せられ、現に組合關係の織物業に従事する工務員・職工・徒弟及賃織業者に對して無料診療券を附與し來り、其後数年、これら從業員間に於ける 保健衛生思想の發達、體位向上運動の擡頭等により、これが交付を要求するの漸次減少し、 且つこれら優秀なる從業員に對しては、その雇傭たる組合員に於て夫々適切なる醫療の途を講じ來れるため、後年この制度は廢止せらるゝに至つたが、これら各種の表彰制度の實施は勞 資の協調に資するところ洵に大なるものがあつた。

    一方またこれら西陣に於ける賃織業者及職工徒弟は、從前兎角所謂職人氣質を多分に有し、 宵越しの金を持たざるを以て當然、否寧ろ誇りとなすが如き風あり、組合に於ては一家一族はもとより、延いて全西陣的觀念よりするも、この所謂職人氣質を是正改善するの緊要なるを認め、 大正七年六月「西陣織物組合貯金獎勵規則」を制定し、勤儉力行の氣風を作興せしむべく、 賃織業者及職工は賃金の百分の一以上、徒弟は賃金又は給與したる金額の十分の一以上の貯金の實行を組合員に强制し、心ある組合員はまたよく組合の趣旨を了解して相當高率の利息を以 て預入する方法を採るものあり、年を經てその金額莫大に上り、其後しば/\招來したる不況にもこれあるが爲めによく難局に耐へ、往年の所謂西陣お粥施行の如きは單なる昔の夢物語に至らしめたのである。

    七、西陣織物館の經營    

    天下に冠絕する西陣織物の精華を一堂に陳列して、外は一般大衆に公開汎くその眞價を問ひ 内にはまた一面東西の優秀織物を蒐集して、以て組合員の参考に資するの要は、既に明治三十 七八年代に於て組合識者の抱懐し、且つ唱導した意見であつた。たまたま明治四十三年組合員 が關東各機業地の視察旅行に於て、同方面が諸施設の著しく完備せるに刺戟せられてより、織 物參考館の設置は急激に組合員間の輿論となり、後 大正天皇御即位の大禮を行はせられるの盛時に際會し、これが記念として參考館の建設と、併せて兩三甚だ狹隘を感じつゝあつた組合事務所新築の議を決し、大正二年三月兩者の敷地として今出川通大宮東入ル元伊佐町に用地 を買收、四月建築委員二十名を囑託して準備に着手し、七月二十五日の組合會は二ヶ年繼續事   業金七萬三百五十圓の豫算を議決、八月十五地鎮祭を行ひ、即日より建築に着手、十一月五 日には盛大なる礎定式を擧げ、翌三年六月二十七日上棟式、七月裝飾器具及開館に要する諸經費六千圓の追加豫算を可決し、同時に織物參考館を西陣織物館と改稱した。  

    織物館の建築に對しては組合員より金品の寄附相次ぎ、物品に於ては川島甚兵衞氏の貴賓室用綴錦壁張地(見積價格金千五百圓)以下裝飾用敷物・額面・屛風、衝立、時計、清酒等二十點、 この見積額金三千五百八十餘圓、金員に於ては田畑庄三郎・鳥居榮太郎兩氏の各金一千圓以 下二百七十六氏、金六千圓に垂んとし、以て同館の錦上に更に花を添へるに至つた。

    斯くて同年十月五日朝野の名士三百餘名を招待、竣工式並に開館式を擧行、六・七の兩日に 亙り組合員千七百餘名を、八・九・十の三日間には賃織業者七千五百餘名を招待觀覽せしめ、 茲に西陣名所の一を加へるに至つたのである。本館は鐵筋コンクリート三階建各階八十四坪あ り、一階には西陣に於て製作する各種織物を陳列し、二階には織物に關する各種の參考品を展 示すると共に、機織の實演等を試み、三階には貴賓室・來賓室・圖書室等を設け、各室は夫々西陣製織物を以て、絢爛にしてしかも高尙優雅なる裝飾を加へてゐる。  

    大正四年十月の開館以來、組合解散に至る二十三年、その間參考品の陳列としては、全國著名の神社佛閣を初め、旧家好古家の秘藏にかゝる內外の古代織物、染物、刺繡の類を展觀すること数萬點を數へ、これらは一つには古代製の風韻を傳へ、二つには斯かる傑作を完成したる 先人の努力と勞苦とを偲ぶため、その優艷高雅なる文樣色彩を模寫して永遠に館内に留めるの 外、大正五年より逐年刊行して、組合員及同好の士に頒布すること十數册に及び大に世の賞讚を博し、且つ組合員の發奮興起を促すところがあつた。  

    一方かゝる古代製品等を展示するの外、本館の建造物を利用して組合員に各種の獎勵を與へたこと甚だ多く、大正四年九月開館記念織物圖案懸賞募集を行ひ、これを展示したるを初めとし、大正七年十月組合創立二十周年記念西陣織物競技會を開催、引続き大正八年十一月第二回、 大正十年十月第三回、大正十二年第四回、大正十四年第五回、昭和二年第六回と殆んど隔年毎 に全組合員の技巧と精魂を打つて一丸とする競技會を催し、後年は組合の部制確立に伴ひ、これを各部の事業として移管するに至つた。  

    また大正十二年三月より四月にかけては 聖徳太子御忌讚記念美術展覽會を、大正十三年三月より四・五兩日ににかけては 東宮殿下御成婚奉祝記念西陣織物展覽會を、大正十四年三月より五月にかけては 兩陛下御銀婚式奉祝記念西陣織春夏物新柄展覽會、昭和三年九月より十二月にかけて 御大典記念西陣織物展覽會と、夫々国家最高の慶びを奉祝して華々しき記念行 事を營み、組合員の機業報國に拍車をかけると共に、大西陣の威容を天下に顯現するを怠らず、 以て最終に及んだ。  

    一方組合員外に對する公開の成績は、元來卸賣本位の施設にあらざる爲め、その販賣金額は 言ふに足らざるものであるが、開館以來百萬に餘る觀覽者を吸引して、眞の西陣製品の粹を深くその耳目に印象せしめた功績は甚だ大なるものがあり、殊にしば/\高貴の御微行を辱うしたことは、本館の最も光榮とするところである。  

    尙茲に附記すべきは大正七年十月組合創立二十周年記念に際し、故實家に囑して館内に織物天棚機姫神を奉齋し、南都正倉院の御物を初め、帝室博物館其他各方面の文書遺物を參考として、同十年五月より彫刻を石本曉海氏に嘱し、十一年十二月完成した。天棚機姫神は 天照皇大神、天の岩戸に入りませし際、神衣を織りたまふて 大神に供進せられた神話によるものである。     

    八、織物競技會と圖案の改良    

    組合員が渾身の精力を傾到せる、自信ある製品を一堂に展示競技せしめ、以て自他の参考に 資することは、組合の創立當時に於ても、その必要を痛感されたところで、しば/\小規模な催しがないではなかつたが、これが本格的に開催されたのは、大正七年十月、組合創立二十 周年記念織物競技會であつた。出品人員三百二名、出品點數八百餘、織物館の全館を以て會場 に充て、絢爛眼を奪ふ各種織物は、その配色に、技巧に、當時の審査員たりし京都高等工藝學校、市立染織學校、市立美術工藝學校の教授教諭諸氏を初め、百貨店及問屋方面の人々をして西陣にこの獨創ありと嘆賞せしめたものであつた。  

    爾後組合又は各部に於て主催せる、各種織物の競技會は數十回に及び、製織技巧の向上に資せしめたこと、甚だ大なるものがあつた。  

    また圖案の改良に就ては、大正四年九月織物館開館記念の爲め、當時としては相當巨額の賞を懸けて廣く公募し、二百三十六葉の應募を得、これを同館に展示して組合員の参考に資し、 爾後直接組合に於て主催し、或は各種團體を後援して、西陣織物圖案の改良に寄與したることは枚擧に遑がない。     

    九、力織機の普及獎勵    

    歐洲大戰當時より、地方新興機業地の著しき擡頭は、西陣ひとりその傳統にのみ依存して、舊 式手織機法を墨守し得ざるに至り、その傳統の技巧をしてますます發揚せしむるの一面には、 製織能率の増進を併せ策せざるべからざるに至つた。

    よつて組合では大正九年二月、初めて織機獎勵規則を制定、同年四月一日より實施したのあるが、その要項は

    イ、新に力織機を据付け織物を製造する者並に織物の準備工程を爲すに當り完璧せる機械を装置して操業する者に對しては其の費用の幾分を補助し若くは貸付すること
    ロ、前號の操業者に必要なる職工の養成に努むること
    ハ、工場の新設修繕を爲し若くは第一號に該當する装置をなすに當り其の者の申告ありたる時は組合は設計實施上の指導監督其他官公署に對する交渉並に文書作製等の便宜を與ふること

    等で、引續き實施せられたが、昭和三年九月一日これを廢し、新にこれを強化して「西陣織物同業組合力織機設備獎勵規程」二十四ヶ條を制定、五ヶ年間に亙り、低利を以て力織機購入資 金を貸付け、五十九ヶ月以内の月賦償還によることとして、大に獎勵に努めると共に、力織機 操作技術を講習せしむる爲め、西陣機業青年團を主催者とし、經費は全部組合に於て負擔し、 染織試験場に於て二ヶ年繼續受講せしめ、また昭和十一年度よりは京都市の補助を得、同時に 京都市再び染織試験場と組合との共催のもとに力織機講習會を開く等、織機改良に對して大に組合員を指導獎勵し、この結果、織機獎勵規則制定前、大正八年末に於ける力織機は手機の一割二分三厘に過ぎざりしものが、昭和二年末即ち織機獎勵規則改正の前年には二割八分九厘と なり、更に組合解散の前年即ち昭和十二年末に於ては、手織機一萬一千二百二十二臺に對し、 力織機六千二百十八臺、即ち五割五分四厘にまで普及して、その製織能率を著しく向上せしむるに至つたのである。     

    一〇、生絲檢査所の建設と寄附    

    京都府立生絲檢査所は、大正十二年六月を以て生絲檢査を實施せられたが、これより先き西陣織物の主要原料たる生絲の中には多量の水分を含有すると共に、絲質亦雜駁にして千有餘年の輝く傳統を有し、世界有數の絹機業地たる西陣に於て、生絲檢査の施設を缺くことは寧ろ不可解以上であるとの意見が、既に明治年代より組合員中の先覺者によつて熱心に唱導せられ、 現に明治四十五年七月には、最も關係深き京都蠶絲商同業組合との間に、非公式ながら意見の交換が行はれ、蠶絲商組合に於ても、その幹部は原則として生絲検査の妥當を承認しつつあつたのである。しかし實際問題に當面すれば、少數の先覺者や有力筋のみが自覺せるのみでは、たとへ検査所が設備さゝるとも、到底所期の效果を擧ぐることは甚だ至難であり、先づ以て内は組合員全部がその必要性を充分に認識し、且つ大にこれを利用すべき決意を有すべきことと、外は西陣に於ける生絲業者の全部が、誠心誠意これに協力共鳴することを要し、同時にその検査は須く官權の力によつて、尠くもその水分検査は強制されるのでなければ實效は期し得られない。然るに當時に於ては、未だ全組合員にその認識あるや否やは甚だ疑はしく、且つ府に於ても充分の施設を講ずるだけの熱意ありとは、想像し得ない状態であつた。 然るに大正七八年の頃に至つては、生絲検査の絕對的必要は組合員間の輿論となり、検査所急設を組合當局に要請する時代となつた結果、組合としては大正八年十一月、組合の役員議員及事務長の一行六名をして石川福井兩縣に派遣し、夫々縣立生絲検査所の實績につき詳さに調査せしめたところ、これら調査の結果は、西陣に於ても速かに検査所を設置すべきであるとの結論に達し、同時に組合役員が各自有するところの生絲を、京都市立染織試験場に託して含水量の検査を行つた結果、その成績は平均含水量たる公定水分量一割一分を控除するも、尚二分二厘四毛を餘せることが明確となり、この平均率を、當年の西陣生絲消費量約二十二萬五千貫に乘ずる時は實に組合員は年額五千四十貫の水分を、生絲として購買しつゝあることを確認するに至つたので、茲に検査所設置の緊急は裏書きされるに至り、よつて組合は先づ以て京都蠶絲商同業組合と更めて正式協商の必要を認め、大正八年十二月十四日、初めて公式に兩組合の正事務長によつて會談が行はれ、組合側より生絲検査所急設の意見を吐露し、爾後兩者間に數回に亘る隔意なき懇談を重ねた結果、翌九年十月二日に至つて兩者の意見は完全に合致し副組合長以下役員

    一、生絲検査所は京都府立として設置すること
    二、西陣織物に使用する特殊のものを除くの外、取引はすべて正量とし、含水量検査を強制し、其他は任意検査とすること
    三、検査並に設置に要する費用は西陣織物同業組合に於て負担すること

    を骨子として協定するに至り、組合は直ちに組合會を開き、生絲検査所一切の設備を完璧してこれを府に寄附し、京都府立生絲検査所として、検査を施行せらるるべく出願することに決定、次の如き申請書を提出した。  

    大正九年十二月三日              

    西陣織物同業組合長 池 田 有 藏  
    京都府知事 馬 淵 鋭 太 郎 殿

    西陣織物の改良發達を圖る爲め當組合に於て建設に要する費用の内應分の負擔を可致候に付御府に於て生絲検査所を設置し左の事項を行はれ度此段申請候也  

    一、西陣織物に使用の目的を以て賣買譲渡する生絲の正量及撚絲に附着せる油並に其他の成分を検査せらるべきこと
    二、生絲は正量に限り検査済のものにあらざれば織物の原料として使用を禁止せらるゝこと但知事に於て其必要なしと認めたるもの並に特種の事由あるものに對しては此の限りにあらざること
    三、生絲の品質並に撚絲油分等は當業者に於て請求ある場合若くは知事に於て必要と認めたるものに對し検査せらるゝこと
    (理由略)

    同時に京都府會市部會は、西陣に生絲検査所急設の意見書を提出、同年十二月二十三日の日程に上して即決した爲め、府當局も遂に大正十一年の通常府會市部會に、大正十二年度生絲検査所豫算を提出し、市部會は直に原案を可決すると同時に「正量は強制検査をなすの必要を認む」との附帶希望を決議して、正量検査の勵行を促した。 之より先き、組合に於ては府會に於ける意見書の提出によつて、知事の發案を略推知し得るに及び、直ちに敷地の選定に着手し、大正十年十二月五萬七千五百圓を以て今出川通浄福寺東入に敷地を求め、更に大正十一年一月の通常組合會に於て、歳出豫算六萬五千四百二十二圓を可決して、正量検査は一日平均二百件、品質検査は一日平均二十件最大限五十件とし、尚其の他の検査に適應する設備を加ふるこゝとし、大正十一年九月二十八日地鎭祭を行ひ、大正十二年四月三十日を以て竣工、同時に諸機械を据付けて竣工當日試運轉を行ひ何れも満足なる成績を収めた。 よつて組合は府に對して、次の如き寄附の申請を爲し、大正十二年五月二十二日正式に寄附物件の全部を引渡し、茲に全組合員待望の生絲検査所は、組合員の自力を以てすべての献立を終り、同年六月十四日組合事務所の樓上に府營としての開所式は擧行され、同年六月二十日より京都府立生絲検査所として運営せらるゝに至り、且つ昭和七年七月生絲検査法改正されて愈々強化せられ、生絲取引の公正を確保して、以て今日に至つたのである。 尚右検査所の寄附申請書、並にその承諾書は次の如くである。

    發第六三號      

    生絲検査所設備物件寄附再願 當西陣ニ設置相成京都府立生絲検査所設備ニ要スル一切ノ物件ハ當組合ヨリ寄附可致旨去ル大正十一年十一月十五日ヲ以テ願出置候所愈該建築工事並ニ器械類ノ設備モ完璧致候ニ付別紙目録ノ通寄附可致候間御採納被成下度此段再願候也 追テ後日生絲検査所御廢止等ノ場合ハ右寄附物件ハ無償ヲ以テ全部當組合ヘ御還附被成下度候事ヲ條件ト致候ニ付爲念申添候

    大正十二年五月八日

    西陣織物同業組合長 池 田 有 藏(印)

    京都府知事 池 松 時 和 殿

       〇寄附物件目録

    一、市街宅地百七十一坪八合三勺 價格五萬七千五百圓也 京都市上京區今出川通智恵光院西入西北小路町三二四番地ノ一 九十坪三合。同區今出川通浄福寺西入北小路仲ノ町三三二番地ノ一 八十一坪五合三勺
    二、木造二階建物 百二十七坪八合一勺二五 價格參萬參千九拾八圓  
    本館木造二階建 五十四坪三合七勺五(二階全面積)  
    別館木造平家建 七十三坪四合三勺七五
    三、周圍煉瓦高塀 延長四十八間五分小門二ヶ所付 價格貳千貳百五拾圓
    四、給水設備(現形ノ儘)一式 價格百七拾參圓
    五、瓦斯設備(現形ノ儘)一式 價格九拾貳圓
    六、電燈設備(現形ノ儘)電球付一式 價格五百六圓
    七、器械配電設備(現形ノ儘)電力計二個付一式 價格貳千參百八拾五圓
    八、検査用器械器具一式 價格貳萬四千贰百四拾圓  
    内譯

    品  目數 量價  格(円)摘  要
    電氣式正量乾燥器附屬品共二四個一五、六〇〇.〇〇
    生絲原量檢査用特別製臺秤一臺四三五.〇〇
    中天秤瓦分銅付二臺三九〇.〇〇
    米國式鐵製再繰器兩側ニテ五十窓二臺九三〇.〇〇
    米國式フワリ枠伸縮付一一〇個五四四.五〇
    櫻製ボビン五〇〇個九〇.〇〇
    繊度器電氣式拾本取二臺五九〇.〇〇
    檢穎器四機連絡一臺三八〇.〇〇
    專賣KM式デニールバランス三臺九六.〇〇
    精秤器二臺一五〇.〇〇
    右用分銅五百デニール以下四分ノ一迄二組三六.〇〇
    油装置セリメートル專賣品一臺二四〇.〇〇
    金側檢力計(セリメートル)一臺六八.〇〇
    鐵製揚返器五窓連續一臺三七五.〇〇
    右用附屬揚枠一〇個四五.〇〇
    括造器附屬品共二組五六.〇〇
    回轉式溫度計二臺三〇.〇〇
    繊度絲絲捻器鐵製二組一七.〇〇
    繊度檢尺器手廻用二臺五〇.〇〇
    肉眼鑑定用黑オイルクロス六尺一三.〇〇
    精練器蒸氣式四臺附一箇九五.〇〇
    生絲抱合力試驗器絲卷器付一個四九〇.〇〇
    ゲージ試驗器(絲太ムラ檢査器)一臺九五〇.〇〇
    四分ノ一モーター直結回轉装置六臺九〇〇.〇〇再繰器 二臺
    繊度器連結 一臺
    檢頭器 一臺
    揚返器 一臺
    試験器 一臺
    セリプレーンベルト装置一臺四五〇.〇〇
    ソクスレット式脂肪浸出器四十瓦三個付一組一六五.〇〇
    ソクスレット式脂肪浸出器五瓦三個付一組一二〇.〇〇
    銅製二重壁乾燥塞暖計一個付一組三五.〇〇
    シャイプレル式玻璃製乾燥器一個一〇.〇〇
    リービック式冷却器長一尺五寸一個二.五〇
    化學バランス感量一粍秤量一〇〇瓦分銅付一臺一二〇.〇〇
    ゴム管赤ゴム各器引水用徑三分五〇尺一〇.〇〇
    右ニ要シタル運賃外雜費七五八.〇〇

    九、事務用器具 價格千百七圓
    内譯

    品  目數 量價  格(円)摘  要
    書棚四個三四〇.〇〇
    片戸卓子六個一八〇.〇〇
    同小椅子六個五七.〇〇
    小卓子一〇個一三〇.〇〇
    同腰掛二二個一六五.〇〇
    兩戸デスク一個六〇.〇〇
    腕掛椅子一個三〇.〇〇
    應接用卓子一個四〇.〇〇
    同小椅子皮張七個一〇五.〇〇

    價格總計 拾貳萬壹千參百五拾壹圓也

    京都府指令二商第六四九號

    西陣織物同業組合長 池 田 有 藏
    大正十二年五月八日發第六三號申請京都府生絲検査所用土地建物及設備寄附ノ件承認ス但寄附物件ハ生絲 検査所廢止ノ際ハ其當時ノ現状ニ依リ無償還附スルモノトス

    大正十二年五月二十一日  

    京都府知事 池 松 時 和(印)

    上記目錄價格の外、生絲檢査設備費に要した組合債六萬九千百八十五圓を、五ヶ年賦を以て償還するに就ての利子凡三萬圓を併算すれば、組合員の負擔は實に十五萬圓以上に達したのであるが、この結果同年以後生絲正量取引は實施せられ、舊來の如く、水分を生絲として購入するの不合理は、全く後を絶つに至つたのである。

    因に京都府立生絲檢査所は、大正十二年關東大震災後の輸出生絲に關する檢査の爲め、本組合の内諾を得て、同年十二月二十日より横濱生絲檢査所に對し、乾燥器の大部分及品質檢査器械の一部を貸與し、一時檢査機關を縮少したが、大正十三年六月二十日、それら器械の返還を受けて檢査機構を復し、後大正十四年三月一部檢査規則を改正、更に昭和七年七月一大改正を行ひ、品質檢査中繊度偏差、絲條斑等の檢査を嚴密にしたる外、人造絹絲、柞蠶絲等各種繊維に就いても、之を特別檢査として檢査の途を設け、生絲取引の公正竝に原絲の選擇に便し、その需給の改善に資する等、ひとり機業のみならず、本邦蠶絲業の改良發達上重要なる機關として今日に至り、昭和十二年度に於ては強制正量檢査九千四百五十四件、他に生絲の品位・練減・油分檢査・人造絹絲の正量・繊度等各種檢査一萬二千五百八十四件、合計二萬二千三十八件の多きに及び、その機能を充分に發揮しつゝあるは、これが寄附者たる本組合の深く欣快とし、且つ光榮とするところである。

  • 西陣織物同業組合沿革史(4)

    西陣織物同業組合沿革史(4)

    第三章 西陣織物同業組合存立中に於ける主なる事業及事績

    組合の存立四十一午間に於ける事業事績は、これを一々詳細に列舉すれば、その一二を採るもまた一冊子を爲すものあり、茲にはその比較的主なるものゝ中より、大小輕重を問はず、大體にその創始の年代を追うて簡單に列記するに止めることゝした。

    一、織物貯蔵場の設置と徴税事務の取扱 (附 織物組合交付金問題)

    振古未曾有の大戦日露戰役に際して、非常特別税法が發布せられ、西陣機業に對し重大關係ある織物消費税法は、明治三十八年二月を以て實施せられた、よつて組合に於ては、同年二月より七月までは組合事務所の階上を、上京税務署西陣出張所として提供し、査定價格に應じて其の一割を消費税として納付し、別に一分を組合經費として徴収することゝしたが、その狹隘を告ぐるに及んで、同年八月には今出川大宮西入ルに移轉した。元來最初は三ヶ年間を以て廢止さるべき豫定であつた同消費税は、遂に恒久的性質を帯びざるを得ざるの事情に立至つた爲め、一時は各機業地とも旺んに惡税撤廢の氣勢を擧げ、西陣に於ても、明治四十二年二月二十三日には、約五千の大衆が寺之内大宮東入ル妙蓮寺境内に集合し、手に手に白無地の提灯を携へ一大示威運動の狼火を擧げるに至つたが、しかしながら戦後國費膨張の著しき折柄、これに代るべき適當なる財源なく、殊に機業家の眞に痛苦とするところは、税そのものよりも、寧ろ繁煩なる納税手續に要する時間の浪費と、同時にそれに伴ふ商談の遅延にあり、しかも問屋、前賣の商人に至つては、廢税の結果として当然齎らさるべき在庫品の値下りを懼れ、寧ろ廢税反對の態度を堅持するに至つた爲め、此の運動は遂に龍頭蛇尾に終り、一面別項西陣織物團體聯合會の手によつて、税務當局との間に織物査定價格の標準が協定された爲め、廢税運動の興奮も沈静し、茲に恒久課税としての體制を是認するともなく承服するに至り、その結果明治四十年三月、織物貯蔵規則を制定して、組合員の納税に對する利便を計り、併せて政府の徴税事務を補佐することゝし、貯蔵場を以て織物の集合査定場とし、左記五ヶ所を提供するに至つた。

    第一貯蔵場 上京區元誓願寺通黒門東入ル寺今町五一八
    第二貯蔵場 上京區小川通上立賣下ル小川町一三二
    第三貯蔵場 上京區中立賣通浄福寺西入ル加賀屋町三九四
    第四貯蔵場 上京區室町通二條下ル蛸薬師町
    第五貯蔵場 上京區寺之内通大宮西入大猪熊町六八

    その後大正四年十月組合事務所の移轉に應じて、第一貯蔵場を上京區今出川通大宮東入ル元伊佐町に移轉し、更に第五貯蔵場を上京區智恵光院通寺之内下ルに移轉、次で大正十一年四月新に第六貯蔵場を葛野郡花園村字花園に設置して、下京税務署管内の組合員に利便を與へ、更に大正十二年八月第七貯蔵場を上京區紫野門前町八に、昭和二年八月第八貯蔵場を上京區今出川通七本松西入毘沙門町四八七に夫々増設し、越えて昭和四年二月には第二貯蔵場を上京區室町通上立賣上ル頭町二八八に移轉したが、たま/\昭和八年四月西陣着尺織物工業組合設立され、本組合より着尺部は分離した爲め、これを機として織物査定及納税事務の合理化を圖るため、第三・第四・第六各貯蔵場を廢止し、次で同年六月第五第七の各貯蔵場を閉鎖、第八貯蔵場を第三貯蔵場と改稱するに至り、またこれら貯蔵場の整理に伴ひ、第二貯蔵場を上京區堀川通寺之内二丁目下ル天神町六四六に移轉新築して、昭和八年七月一日より査定及納税事務を開始し、また昭和十年十月組合事務所の改築と共に、第一貯蔵場をも併せ新築して同月より事務を開始し、更に同年十一月には第三貯蔵場を上京區六軒町通五辻下ル佐竹町一一五に移轉新築して事務の取扱を開始し、以て解散時に至つたのである。

    茲に織物貯蔵場の設置に關聯し、特記すべきは交付金問題である、既に前述の如く織物消費税は恒久的性質を帯ぶるに至り、到底これを一朝一夕に廢止せらるることは不可能なりとの見極めをつけた後、この綜合納税に對する組合の徴税事務補佐に對し、何等の交付金をも受けざるは甚しく不合理であるとの意見を樹て、所謂織物交付金問題を提げて先頭に立つたのは本組合であつた。即ち明治四十五年五月三日を以て、組合は時の總理大臣西園寺公望侯、大藏大臣山本達雄氏に對して次の如き請願書を提出した。

    (前略)織物消費税納付手續は、主として關東地方に於ける織物の市場取引を標準として制定せられるものなるも西陣の商取引は全く關東地方と異り、頗る複雑にして納税上勞費を徒消すること甚しく、営業者の困難は實際を視るの外到底筆紙に表し能はざる所に有之候。

    茲に其概況を叙述すれば、當地の織物は織成の都度仲買商に持参して取引をなすものなるが故、織物消費税法第九條に依り先づ税務署に價格の申告をなすの必要あり、然るに我西陣を所轄する税務署は上京税務署の一あるのみにして、是迠各自の製造場よりは遠きは一里餘を距る税務署に於て査定を受け、更に十數町を距る京都本金庫に税金を納付し、其領収證を得て再び税務署に來り納税濟の證印を受けざるべからざるが如きは各自の業務に大なる障害を受け其困難名状すべからず、斯は僅か一反の御召、一本の繻子と雖も亦同様なりとす、如何に納税は國民の義務なりとは謂へ此手續を履行するが爲めに西陣二千五百の織物業者は税金以外に勢力と運搬等に日日多大の負擔を荷ひ延いて斯業の發達を阻害するの虞あるを以て、當組合は其不便利を座視するに忍びず、之を救済し併せて組合員共同の利益を圖るの目的を以て、去る明治三十八年以來組合經營の下に西陣區域内に五ヶ所の織物貯蔵場を設置し徴税の取扱をなし現に一ヶ年度金八千圓餘を支出致居候。

    此の如き施設は國民が納税上の便宜を得せしむるの一方法として、當然政府に於て公設せらるべき性質のものなりと確信致候。

    上述の如くにして該貯蔵場は獨り組合員の利便を得るのみならず、政府が税金收納上に甚大なる便宜を受けつゝあるは自明の事實に有之、則ち當組合の施設に係る納税の取扱は他に多く其例を見ざる特種のものにして恰も市町村が國税を收納すると些の差異あらざるを以て、之に對しても亦市町村同様國庫より相當なる金額を交付せらるゝことに御詮議被成下度(以下略)

    明治四十五年五月三日
               西陣織物同業組合組長 池田有藏

    これを皮切とし、組合は爾後機會ある毎に、交付金制度の妥當を力説して、しばらく衆議院に請願書を提出し、或は要路にその純理を説いた結果、西園寺・桂・山本・大隈・寺内五代の内閣を經て原内閣に至り、遂に大正八年四月一日より實施せられ
    「組合に於て織物消費税徴收上必要なる設備を爲し又は税徴收事務補助を爲したるものは織物消費税を賦課したる織物の價額千分の一に相當する金額を交付することを得」べき法律を公布せられ、同日上京税務署長より
    一、京都市上京區に於て尠くとも査定の爲め集合する現在織物の大部分を收容し其査定を爲すに支障なき程度の建物を其組合管理の集合査定場として設備すること
    二、前項の集合査定場には左の器具及消耗品を設備提供すること
     イ、卓子・椅子・度器・衡器・荷造機械鋏等
     ロ、印肉文具等
    三、組合事務員をして左に掲ぐる事務を爲さしむること
     イ、織物消費税納付金額の取纏
     ロ、收税官吏の指揮に従ひ査定場織物に納税證印を押捺すること
    四、織物取引價格申告の下調査を爲すこと
    五、集合査定場に於て爲す織物未納税の移出入及免税承認事務に就て相当補助を爲すこと
    の命令書を受けたが、これらは既に組合としてすべて設備済のものであり、同日直ちに受書を提出、規定により一貯蔵場にして納税者三十名に滿たざる第四貯蔵場を除き、他は即日より税額千分の一に相當する交付金を下附せられ、其後は査定価格標準に異動あり、或は税率そのものに増減はあつたが、大正十一年四月よりは、織物徴税價額の千分の一に相當する金額の外、其の點数五百點に付一圓の割合を以て交付金を増額下附せられる等、組合の有力なる財源となつて最終にまで及び、その貯蔵施設による組合員の福利と、更に交付金下附の音頭取として全國機業組合を潤した組合の功績は、洵に大なるものがあつた。

    因に組合に於ては織物の査定標準價格を調査し、織物消費税負擔の公平を期するため、大正十五年四月「織物消費税査定標準價格調査委員會規程」十一ヶ條を制定、委員長一名、副委員長二名、委員若干名を置き、その機能を發揮して本組合の解散に至るまで、終始納税の厳正と負擔の公平につき、大に盡すところがあつた。

    二、組合と西陣織物團體聯合會との關係

    西陣織物團體聯合會は、組合とは全然別個の存在であるが、組合の或は諮問機關として、或は援護團體として、二十五年間西陣機業發達の爲め、文字通り脣齒輔車の關係を保ち來つたものであり、これを除外することは、組合史の一面を缺くの類となるので、ここに同團體聯合會事歴の大要を掲記する。

    聯合會は組合の創立と相前後して、当時西陣各業者が夫々の製品種別により
    美奬會(高等紋織帯地) 隆織會(着尺地) 博織會(博多織) 天鷺絨會(天鷺絨) 錦成會(紋織帯地) 金欄會(金欄・袈裟・表具衣地) 研織會(高等紋織地及肩裏) 共益會(リボン) 共榮組(繻子帯地) 錦榮會
    (木綿織) 交織會(交織帯地) 金曜會(洋傘地) 箴部(箴業) 紋様同志會(紋様業) 糸文會(高等紋織帯地)
    等、夫々独自の旗幟のもとに團體を組織し、或は業務の振興、或は從業員の福利増進等の研究團體として、或はまた同業者間の親睦團體として存立してゐたものであるが、明治三十八年二月より實施せられた織物消費税に關し、組合員と税務當局との間に徴税上の摩擦を生じたる際創立日尚淺かりし組合當局の手足となつて、組合員と税務當局との中間に介在各種の斡旋を爲し、織物消費税査定標準價格の制定に乗出すと共に、一面全業者に共通する営業上の宿弊を矯正し、或は各地の博覽會・共進會・展覽會等の出品事務、其他の斡旋を爲すため大同團結したものであつて、後年
    絹召會(着尺物) 新織會(交織帯地新厚板) 綴錦會(綴錦) 肩織會(肩掛地) 錦正會(交織帯地新厚板)寶織會(リボン傘地) 美飾會(装飾リボン幅狭物)
    等相次で参加し、二十三團體、所屬人員千七百餘名を數へ、各地機業界の視察を初め、組合に對し、生絲檢査所設置の建議、組合会議員選挙の肅正運動、不況時の職方救済等各般の事績を收め來つたもので、その功績は枚擧に遑がない。

    たま/\昭和三年三月組合は定款を改正して、紋廣・着尺・片側・繻子・金欄・天鷺絨・傘服地・輸出・雜種の九部制を確立し、かつて聯合會の爲し來つた事業の總ては各部に於てよく統制實施されるに至つた爲め、昭和五年十月八日、遂に聯合會創立滿二十五周年を機として解散したものである。しかし所属各會中には尚私的團體として残されたもの多く、會員相互の親睦機關として、或は會員の使用する従業員の福利増進施設として、引續き順調なる發展を續けてゐる。

    三、染織試驗場の設置と寄附

    西陣織物は、いふまでもなく千年の歴史的背景のもとに育成せられ、その傳統の絢爛さは世 界有數の絹機業地として、海の内外にまで名聲を喧傳せられる。が傳統を重んずるの餘りに半 面進取の氣魄、新境地の開拓といふ熱意には、甚しく缺けてゐるといふのも、亦尠くも明治年 代の西陣に對する、内外識者の偽らざる忠言であつた。

    祖先傳來の精神と技巧とを受繼いだ内地向織物の製出に就ては、刻苦勵精ひとり孜々として 研鑽に努力するも、海外に輸出すべき織物、又は海外よりの輸入を防過すべき織物に就ては、特殊の一二新興會社に一任し、当時の一一般組合員としては殆んど何等の關心を有せざるが如く、舊來の墨守に甘んじ、全國に冠たる機業地としては、甚だ不見識であるとの譏を免れなかつたのである。

    組合は早くより染織試驗場を設立して、洋式の機織法を學術と實際との兩面から比較研究し、機械力使用の利得を一般組合員に周知せしめると共に、一面目まぐるしい服飾品界の變遷に應じて、新規織物の獎勵普及を圖るべく準備を進めつゝあつたところ、恰も明治三十八年より織物消費税に附帯して若干組合經費の増徴を得ることになつたので、ここに財源を見出し、明治四十年度染織試驗場の設置計劃は具體化せられ、同年五月の組合會に於て「西陣織物同業組合織物試驗場規則」十四ヶ條の草案を決定、この草案を帯して創立委員は農商務省にリボ ン製織機械其他の織機貸下げを請願し、その内諾を得て同年七月二十八日の組合會に更めて、 「西陣織物同業組合染織試驗場規則」十四ヶ條、同場會計規則二十三ヶ條を附議可決、四十一年 二月には烏丸上立賣上ル臨濟宗大本山相國寺の所有地一千坪を、同年二月より五ヶ年間は一坪 に付一ヶ月一錢五厘、其後の五ヶ年間は租税其他の公課を組合に於て負擔し賃料は据置、更に 其後の十ヶ年間は租税公課の外一坪に付一ヶ月二錢の賃借料支拂の條件を以て、向ふ満二十ヶ年間の賃借契約を爲し、七千六百餘圓を投じて直ちに着工、工場及附属家百六十坪七合五勺の建築は、四十二年三月を以て竣工を見、更に事業費、事務費其他一萬七千餘圓、四十一年度に於 て合計二萬五千餘圓の資を投下して事業に當り、工場設備も、汽機、汽罐其他七點は組合の手により購入、獨國製のジャカード付織機・絲繰機・管捲機・整理機・糊付器・瓦斯發生機等十三 點、及び瑞國製艶出機其他二點等は、これを農商務省より貸下げられ、主として右貸下げ機械を 以て細幅織物の試織及その加工の研究、並に組合員の委嘱に應じて委託製織及加工を引受け、 次で明治四十四年には、京都市より四千二百九十圓の補助を受け、琥珀地磨擦機械・紋紙編機・ 洋傘地織機・縮緬織機等を据付け、或は陳列所、事務所を増築、大正二年二月よりは色染科を併設する等専ら機能の増進に努めたが、後記京都市に對する寄附申請書に示された通り、同場 をして眞に西陣機業を啓發し、郷土産業振興の推進力たらしめるには、織物館の経営、組合事務所の新築、其他各種新事業を計畫して出費多端にある組合の獨力を以てしては到底力及ばざるに至つた爲め、大正五年一月擧げて京都市に寄附することを決定、左記申請書を提出した。  

    當組合は輸出織物の製造を指導獎勵し、併て組合員の依嘱により織物並色染の試驗を爲す目的を以て去る 明治四十年染織試驗場を設置して爾來指導經營致居候處、其間リボンの製織並再整等に對しては農商務省 より幾多機械の貸下げを受けたろに依り頗る良好なる成績を擧げ當業者に多大の裨益を與へ南清地方への輸出を増加せるのみならず、明治四十四年度に於ては御市より補助を受け、磨擦器其他の織機を購入して 當業者に利便を與へつゝ有之候得共これ以外の織物の試驗を行はんせば更に多数の織機を要するは勿論進んで海外人の嗜好に適應する織物を調査研究して適切なる試驗を行ひ、以て當當り支那向輸出織物の産出 に努むべきは目下に於て最も緊要なることと確信候、其他将来益輸入せらるべき綿天・綿繻子・毛繻子類並服地等輸入品の試驗を行ひ、大小機業家の事業啓發の素因を作らしめ、且西陣在来の織物に在ても徒に舊慣の墨守に任じ置候ては経済上大なる不利を免れ難く、此の點に就ても學術を基礎として眞摯なる試驗 を行ふの必要を相認め居候得共、奈何せん是等各種の設備を完整せんとせば勢ひ多額の費用を要し候へば 當組合獨力のみにては到底不可能のことに有之候、然らば之を國庫の補助に仰んか同業組合の経営に對し ては現行法規上此の恩典に浴する能はず、去り迎此儘坐視致居候ては益關東北陸の各機業地に先鞭を付せ られ遂には西陣特有の織物すら漸次蠶食せられ、古き歴史と光輝とを有する西陣織物の聲價をも失墜し延 いては當市の盛衰に一大影響を及すに至るべきかと日夜憂慮罷在候。

    就ては之が救済策の一として今後染織 試驗場の設備を完整し當業者をして充分活用せしむるには更に適切なる良法を施すの外無之義と存候間、 此際當組合立染織試驗場は現形の儘全部御市へ寄附致候に付何卒御市に於て可然適當に御經營被成下度 別紙財産目録其他關係書類添付此段申請候也

    大正五年一月二十八日                    
    西陣織物同業組合組長  池 田 有 藏

    京都市長 法學博士 井 上  密 殿

    京都市當局に於ても、京都随一の重要産業たる染織物の改良發達に關しては、何等か適當な る施設を爲すの必要を認めつゝあつた際なので、組合の申請を採納し、同年八月二十六日の市會に於て寄附受納並に市立染織試驗場設定の件を可決し、同年十月一日より、市立染織試驗場 として經營することになつたのである。

    組合より寄附の物件は、申請書に添付された財産目録によると、建築物及其附属物一萬四千六 百九十九圓四十九錢、機械器具一萬一千七百四十圓十六錢、合計二萬六千四百三十九圓六十五 錢であるが、創立以來八午間に投下した經常費を加ふれば、七萬圓に垂んとし、且つ其後大正七 年より四ヶ年繼續事業として市立染織試驗場の擴張せらるゝや、組合は更に率先して金四萬圓 を寄附し、最初の設立者としての責任を盡した。既に市營事業としての創業二十周年記念式 は昭和十一年末に擧行せられ、本組合は推されてその協賛會の幹事長となり、同場沿革史及記 念論文集の出版、記念講演會、展覽會の開催、一部備品の寄附等に寄與するところがあつた。

    因に京都市染織試驗場は、上記大正七年以降四ヶ年繼續の擴張により著しく面目を改め、更に昭和九年隣接しありし京都市立第一工業學校の他へ移轉に伴ひ、その舊校舎中の百九十八坪 と、敷地五百九十五坪餘の移管を受け、また同年秋本市を襲ひたる颱風の爲め一部建物の荒廢するや、経費十三萬四千餘圓を以てこれが復興と擴張とを行ひ、その經常費の如きも本組合よ り繼承したる當初の大正六年度豫算金一萬七千八百四圓に比し、最近は十萬圓を超え(昭和十 二年度豫算經常部九一、七一六圓餘、他に特別會計作業資金一一、三三一圓餘)京都染織界の發 達振興の爲め大なる拍車を興へつゝあるは、最初の設立者にして、且つその擴大を待望のもとに寄附探納を申請したる本組合の深く欣快とするところである。

    四、教育の獎勵

    組合は創立の当初より、各組合員をして夫々父祖傳統の技巧を繼承せしむる一面には、その 子弟及從業員をして、更に新しき機織の法をも傳習せしめ、新と舊、學術と實際との渾然たる融合を圖り、併せて普通學をも講習せしめ、一般常識の涵養に努力するところがあり、明治三十九年七月初めて京都市第四高等小學校の校舎を借用徒弟夜間講習所を開設し、爾後京都市染織學校を初め、西陣關係地區内數ヶ小學校舎に一校百名内外を收容して數年に亘りこれを繼續し、 また明治四十五年四月よりは、組合員の子弟にして京都市立染織學校機織科に入學するものに 對し學資補助の途を講じ、次代の中堅たるべき機業人の養成に力を致したのであるが、其後も機會ある毎にこれが徹底強化を吝ます、大正三年一月には組合が母體となつて、機業家及その子弟にして中等程度以上の學校卒業者數十名をして西陣新興會なる團體を結成せしめ、組長自 ら會長となり、會の事業の一として發行せる雜誌『西陣』を組合の機關紙としてこれに補助を與へ、或は時々諸般の調査・研究・視察等を囑し、彼等少壮機業家の眞摯なる研究の結果を容 るゝ等、精神的にも大に優遇の途を拓き、一般の向學心に拍車をかけるところがあつた。

    特に組合が最も熱意を以て當つたのは、上記染織學校の利用で、同校は明治十九年開設された京都染織講習所を發祥とし、明治二十七年十月改稱以來府廰前に校舎を置き、機織色染の學術技藝を教授しつゝあつたが、色染科が洋式染料調合等の新知識を要するが爲めに、毎年の入 學希望者相當多きに上るに反し、機織科に至つては、組合員の多くが兎角父祖傳來の技巧を墨 守して足れりとし、寧ろ商業學校に入つて商業的知識を研ぎ經營上の能力を養ひ、以て商人に 對抗せんとするの風があり、上述の如く學資補助の途あるにも拘らず入學希望者は甚だ尠かつ た爲め、組合當局はこれを明治四十二年より業務を開始したる染織試驗場に結び付け、眞に學術と實際とを包含せんが爲めには、染織試驗場の隣地に移轉の必要を痛感し、明治四十三年 の頃よりこれが運動を開始し、その敷地たる相國寺所有地の賃借料を組合に於て負擔するの條 件を以て、遂に明治四十四年三月同校を烏丸上立賣上ルに移轉新築を見るに至らしめたもので、 上記敷地料の如きは、其後同校が機織色染のみならず、大正八年他の工業諸學科を併設したる にも拘らず、尚大正十一年三月まで本組合に於て負擔し來つたのである。

    因に右染織學校は大正八年四月より京都市立工業學校と改め、大正十四年四月更に京都市立 第一工業學校と改稱し、現在は機織・色染兩科の外、工業化學・電氣・機械・建築の諸學科を置き、また第二部として機械・圖工の兩科、第二本科に電氣科等を併設し、校舎の狭隘に伴ひ、 昭和十年四月唐橋大宮尻町に移轉したが、明治二十七年以來機織科の卒業者本科別科を合せ三 百名の大部分は、我が西陣の中堅機業家として活躍せるのみならず、時代の進展に伴ひ、更に 高等の學理を究むべく、京都高等工藝學校の機織科に學ぶもの次第に多きを加ふるに至つたの は、一面組合が終始一貫向學心の涵養に努力し來つた功績に負ふところが甚だ尠くない。

    五、工業權の保護獎勵と新製品の研究

    舊套を墨守し、進取の氣魄に乏しかつた組合員に對し、染織試驗場を設置して新製品の獎勵 に努めた組合は、一方に特許・實用新案・意匠・商標上の權利の獲得を勸獎し、且つ既得の權益を保護するため、明治四十三年「工業權保護獎勵調査委員會」を設置し、組合の内外より學識経験ある人々を囑して委員に擧げ、これに組合職員中の技術者を参加せしめ、専らこれが調 査研究と獎勵保護に努め、また爭議の發生したる場合には、兩者の間に立ち仲裁裁定して圓滿なる解決を與へ、比較的複雑なる多数織物の紛議を未然に防止する等、大に組合員の福利増進に努力し來つたが、同時に織物又は織物の製造に關する新規考案をなし、斯業の上に裨益ある ものに對しては、愼重審議の上組合に登録して二ヶ午間の占用を保護し、更に新製品の研究に就ては「西陣振興調査委員會」を設置して染織試驗場と提携し、組合員中の経験あるもの、及 び染織試驗場の技術者を委員に囑託し、これに組合の技術者も参加して、西陣産業の振興、織物の新規考案並に織物の改良に關する事項に就き専ら比較研究を爲し、これが研究の結果に就て は随時組合員に發表周知せしむる等、西陣産業發展の爲めに顯著なる功績を收めた。

    尚組合に於ては組合の振興調査會に於て考案し、或は組合員よりの寄附によつて所得したる各種の特許權を所有し、これを一般組合員に無償行使せしめて、その福利を享有せしめるの制度を採り、これら特許權中、絹絲とス・フ絲とを應用したる洋服地、絹絲とス・フ絲とを繋撚絲としたる婦人子供服地及コート地等は就中組合員に汎く利用せられたところのものであつた。