(合資會社 篠屋 岡本義一)
今回成立した西陣織物同業会は昭和十三年に解散した西陣織物同業組合の遺鉢を継ぐものであるが、旧組合と同一のものでない事は言うまでもなく、あくまでも有志の糾合した任意組合であって、業者はこの会に加入せずとも営業上何の差支えもないのである。むしろ会に入ると分相応の経費を出さねばならぬし、各種の会合のため、相当の時間と労力を会に提供せねばならぬという負担を生ずる位である。
事のおこりは強力な協同組合を結成せんが為に招集せられた業者大会であった。その業者大会の結果出来た準備委員会でよく話し合ってみると、大多数の委員が協組にはこりており※、今の西陣に今の業者では協組は不可というのが絶対多数であった。協組論者も、先々はともかく今は協組の時期でないと考え始め、途々経済行為をせぬ同業会を結成しようと皆の相談は決まった。
何事も與論の時代である。民主主義は会議会議で時間が掛かり手間が取れるが、それは致し方がない。多数の欲するところが正しいという考え方である。蜷川知事もよくこの間の事情を御承知置き願いたいと思う。人を見て法を説けという事があるが時代の寵兒であり、商工中金から易々と金が借りれるという協組の魅力も同業会の皆様のお気に召さなかった次第である。民主主義の旗の下に成立した同業会は民主主義的構造をもっていなければならない。すなわちその役員や委員は会員全体に奉仕する公僕であり、その運営は会員の與論に従わねばならない。
帯地、広幅、金欄、ビロード(規約には着尺部もあるが、西陣着尺織物協組の関連より現在着尺部は成立していない) の四部が同業会の行動の源泉である。部長副部長委員を執行機関とするこれら四つの部が同業会活動の基盤であり、これら四部門は適当数の理事を同業会自体の業務執行機関に送っている。
理事会はその代表者として会長を、又会長の代理人とし て副会長を互選している。会長は会務の処理に際しての協力者として、総務涉外振興の三部長を委嘱している。民主主義的団体の常として経理は特に重要である。会員が拠出した尊い金である。冗費はもっての外である。勿論理事会が承認した予算案に従って、最小限の事務費等の外は帯地、 広幅、金欄、ビロードの各部へ還元交付されて各部の事業費となる。経理の為に会長は三名の会計理事を委嘱し、 こと金銭の出納に関しては会計理事の権限は絶対であって、 何人もこれを犯す事が出来ない。更にこの会計理事の提出する報告を監事が常に監査を怠らない。
同業会はその働きの一つとして広報室を有して居る。広報室は情報の蒐集と提供に努むる。ここの情報とは英語でいうインフォメーションであって、業界関係の動向やニューズの事である。
更に同業会の使命の一つは同業協和である。これは同業会の働きのあらゆる面に出ている特徴である。同業会が別個の団体である「西陣クラブ」に協力を惜しまぬのは当然の事である。



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