現代は効率を求められる時代だ。昨今よく言われる「コスパ」なる言葉も、費用に対する効用を指す言葉で、結局は効率を指す言葉だし、生産性も効率の言い換えと言ってもよい。
ではその効率を高める方法は?人それぞれ考え方があろうが、根本的に考えてみれば、その方法は2通りしかない。各工程の作業時間を短縮するか、工数を削るか──だ。
本ブログで言いたいことは、この因数分解で8割がた言い切っていると言ってもいいのだが。では具体的にどうすれば作業時間を短縮できるのか、工数を削れるのかが、実務上大切な問題でもある。読者諸兄にもそれぞれ方法論があると思うが、本ブログでは私の効率化論を述べさせていただく。ここでは主に資料作成をイメージしているが、割と一般的な話なので、広く応用できると思う。

(前提)工数を削るのは難易度が高い
先に述べた通り、効率化には作業時間を短縮するか、工数を削るかの2つしかアプローチがない。そして効率化といったとき、最初に挙げられるのは後者のケースが多いが、実はこれ、かなり難易度が高いことに留意する必要がある。
規模が大きければ大きいほど合意を取る必要性が増してくるし、メリットとデメリットを正確に評価する必要が出てくる。過去にその作業が生まれたのにも理由があるから、当然、その作業がなければデメリットも出てくるわけである。
だから工数を削るには、作業の意味を考える必要があるし、作業がこれまでカバーしていたデメリットが、すでに技術の進歩や体制の違いなど、他の要因でカバーされている必要がある。こうしたデメリットのカバーを行わないまま、さらに合意も得ないまま、勝手に工数を削れば、後々トラブルになってしまう。
つまり工数を削るには、交渉力や政治力、観察力や分析力が必要になるわけなので、現場レベルでは、まずは作業時間の短縮を最初のアプローチとして選ぶべきだ。では具体的にどうするか。
順番を考える
作業にもいろいろな性質がある。こちらで1から10まで完結する作業でなければ、原理上必ず待機時間が発生する。もちろん、待機時間が発生する作業は、できるだけ早くやっておいた方がよい。その時間で他の作業ができるからだ。
順番を考えるとき、それぞれの作業で共通部分がないか見るのも重要だ。調べ物もその一つで、前提知識があるだけで、「何を」「どう」「どのアプローチで」調べるか、アタリをつけやすくなる。
手戻りを減らす
順番を考える場合、手戻りをいかに減らすかも大事な論点だ。手戻りが生まれると、当該箇所すべてを修正しなおさないといけない。手戻りが生まれる可能性がある作業(資料)については、たたき台のレベルで作っておいて、本決定したら修正するのがいいだろう。手戻りが生まれないよう、関係各所とあらかじめ調整しておくのも、ある意味テクニカルではあるが、非常に大切だ。手戻りは上席の誰かの意見で生まれるのが常である。
なお、手戻りが生まれた場合に備えて、影響箇所を狭くしておく試みとして「モジュール化」がある。これは作業や情報を細分化し、あらかじめ一つのまとまりとして成立させておくことで、その目的を明確化するとともに、専門性を高める効果のあるやり方だ。定期的に研いでおく必要はあるが、急ぎの時にパッと質の高いアウトプットを出せるメリットは、事務職が持っておく一芸として十分有用だ。例えば前述の資料作成なら、あらかじめフォーマットを作っておいて、何を入れても見た目がよくなるようにしておくとよい。
このモジュール化の取り組みは、共通部分をあらかじめ作っておく観点でもかなり使い勝手が良い。似た作業があれば、そのモジュールを使って、共通の規格で、共通の情報を使って行うべきだ。これは次に述べる、思考コストの節約にもつながる。

思考コストを下げる
効率化で一番の敵は何か?余計なことを考えることだ。判断している時間が一番無駄で、一回決めたら事情がない限り変えない方が良い。
これは共通の規格を最初にバチっと決めておくことで実現できる。余計に変えないことでこちらは作業効率が上がり、成果物の受け手からしても、ノイズが排除され、内容が頭に入ってきやすくなる。
いわゆるマニュアル化も、この延長線上にある。よくマニュアルの意味を考えろと言われるが、これは作業中にautomaticalにやるべきことであって、作業中にいちいち考えてたら、一生作業が終わらない。これは最後の宿題としてメモしておいて、最後、余裕のある時に変更を加えればよい。
ちなみに、同じ道を通っているはずなのに、初めて行く場所と何度か行った場所で所要時間が全然違うと感じた経験がある人は多いと思う。これは「目的地を探す」思考のコストが削られた分の違いだ。右に行くか左に行くかをいちいち迷ったりしない分、スッと目的に向かえるのである。

緊急性の高い仕事からやる
最後に。言うまでもないが、緊急性の高い仕事からやるのは基本である。ただしここで大切なのは、多少遅れても気づかれないような作業は、いったん後回しにしてもよいことだ。たとえば何かの発送とか、何かの起案とか。他人──特に他の業者が介在する仕事は、1日くらい後回しにしても、先方はそれが僕のせいなのか、他の業者のせいなのかわからない。不確定要素の多い仕事は遅れたときの合意が得やすい。前にブログで書いたように、合意が得られるかどうかは、常に判断基準として重要だ。
ただ、もちろん、あんまり遅らせるのは迷惑だから、他の緊急性の高い仕事が片付いたら、さっさと着手して終わらせなければならない。信頼を失わないよう、誠実に立ち回ろう。
おわりに
効率化の根本は「作業時間を短縮する」「工数を削る」の2択なのは、すでに述べた。ここで述べたのが手法のすべてでは決してないが、この作業は削れるか、削れるとしたらデメリットはどうか、説得できるか、あるいは作業時間を短縮できるか……の思考は、作業前に当然巡らせておくべきである。同じ作業でも、やる人によってかかる時間が倍違う場合もある。
私が以前読んで、今でも気に入っている本に「完全無欠の問題解決」がある。問題解決を「問題を定義する」「問題を分解する」「優先順位付けをする」「作業計画を立てる」「分析をする」「分析結果を統合する」「ストーリーで語る」の7要素に分解し、それぞれのやり方を解説するもので、大いに参考になった。なかなか面白い本だったので、気になった方は読んでみるとよいだろう。



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