僕は仕事柄よく文章を書くが、何かしらの申請文書とか、メールとか、通知文とか、機関紙の記事などの面白みのないものばかりだ。しかし、他人の文章を直す機会は少なくない。古くは家族の文化祭の出し物──何かしらの演劇だったと思うが、その台本に手を入れる依頼を受けたこともある。そしてしばしば文章をお褒めいただける。

とはいえ、やっているのは全く大したことではない。その場面での言葉の使い方が適切か見るのと、いくつかのルールに従ってリライトしているだけだ。このルールの紹介は、手っ取り早く駄文を回避するには役に立つ。せっかくなのでお読みいただきたい。
1.「ということ」は省く
いらない言葉ランキングNo.1だ。5文字も使っているのに何も内容がない奇跡の言葉である。「こと」を除いた「という」が最もいらないので、ここが本質かもしれない。
例を挙げると、「私は図書館の運営という仕事をしている。公務員ということである。」なる文章があったとする。最初の「という」は当然いらない。「私は図書館運営の仕事をしている。」でいい。「公務員ということである。」の「ということ」も不要だ。結局、「私は図書館運営の仕事をしている。公務員である」でよい。文章の情報を一つも落としていないのに、なんとなく洗練された感じがする。
2.指示語は最小限に
多用すると拙くなる。指示語は結局、前か後に出てくる言葉を承けて代用する道具である。指示語が1文に2回も3回も出てくるようなら、指示対象をちゃんと明記してあげた方が、読み手にとっても親切だ。指示語の部分をそもそも書かなくていい場合もある。句ごといらないかもしれない。削れるだけ削るべきだ。
3.敬体と常体の混用は言語道断
一発アウトの案件で、こんな暴挙に出る人が一人や二人ではないのが驚きだ。もはや説明不要だが、敬体/常体は文章のスタイルを決定する要素で、これの混用は、丁寧語で話していた人が突然ギャル語で喋り出すのと似ている。それはそれで面白いが。

4.接続詞の多用は避ける
文意の隔たりがそれほど大きくない場合──単純な順接とかの場合は、抜いても差し支えないだろう。実際に抜くかは、文章の力点がどこにあるかにもよる。
「私は図書館運営の仕事をしている。だから、図書館の本なら何でも知っている」「私は図書館運営の仕事をしている。図書館の本なら何でも知っている」なる文章を仮定してみると、「だから」は要らないと感じるだろう。接続詞は抜いたほうが、読んだ際に余韻が生まれて、むしろ文章の格が上がる。読みづらくならない程度に手加減する必要はあるが。
5.語の置く場所は係る語句の近くに
語の置く場所も大切だ。ふつう文章を読むとき、文構造が確定するまで、語を頭に一時的に記憶して読む。記憶すべき分量が増えるほど、読みづらくなると言っていい。
主語を動詞の直前に移動させる手法はよくやるから、覚えておいていいと思う。特に長々と意見を述べるときは、最後の方に主語を置くくらいでちょうどいいだろう。

6.漢字が連続する場合はどちらかを開く
読みやすさを考慮したらこれも大切な心掛けだと思う。たまにいちいち漢字を多用する人が居るが、読みづらい上に普通に馬鹿そうだからやめた方がいい。漢字を知っているだけで賢そうなのは小学生までだ
ただし、やたらと開くのも僕は好きでない。いい塩梅を探して、適当に漢字を使うのが大切だ。動詞句、名詞句、副詞句などと、句ごとに境界があるけれども、その間の漢字や仮名は別種のものにすべきだ。こうすれば文章全体のゲシュタルトが保てる。
7.、・「」()/n(改行)等を使ってリズムを整える
読む側の目線に立てば、適当なところで読点なり句点なりが打ってあって欲しいものだ。しかしリズム上、読点も句点も、まだ打つには早い場合がある。
この時に使えるのがカギ括弧だ。硬派な文章はどうしても長くなりがちだが、重要な名詞をカギ括弧で囲っておけば、そこで息継ぎができるし、文章にメリハリがつく。場合によって括弧でもよい。

おわりに
内容のない単語は削除した方がよい。「個人的には」とか、「非常に」とか、なくても全く差し支えない場合は消そう。なくても前提として共有されているならば、わざわざ書く必要もなく、むしろ書いたら藪蛇だ。
概して脳内に浮かぶ言葉をそのまま出力すると、駄文になりがちだ。文章は短ければ短いほどいいので、特に意味のなさそうな文章は思い切って丸々削除するべきだ。
「文は人なり」なる言葉がある。さすがに言い過ぎの感はあるが、少なくとも、「思考が明晰な人は明晰な文章を書く」くらいは言っていいと思う。「ということ」とか指示語、無意味な句を多用する人は、思考が整理されていないのだ。自分で書いていて耳が痛いが、初校はそんなもんだと割り切っている
タイトルの通り、文章は短ければ短いほどいい。だが、いちいち文章を切って短文にして、超短文を10も20も並べるのが良いとも思えない。意味のない言葉を徹底的に削除しつつ、より短い表現があればそっちに差し替えるのが、手段として本道だろう。リズムも考慮して、ちょうどいい長さの文章を並べるのがベストだ。




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